第9章 第7節 第3項 豪州での都市・宅地開発事業

9-7-3-1 西豪州ヤンチェップ地区での展開

人口の増加が続く西豪州・パース市の郊外、ヤンチェップ地区の開発は、政府との協働で、基盤整備を進めながら、事業展開が続いている。同地では当社100%子会社のヤンチェップ サン シティ社(以下、YSC社)と豪州資本のカプリコーン社の合弁による「宅地開発事業」と、当社100%子会社の セント アンドリュース プライベート エステート社とシンガポール資本のニュー・オリオン社の合弁による「都市開発事業」を二本柱として推進してきた。

まず宅地開発事業(対象面積500ha)では、ヤンチェップ・ツーロックス地区などの宅地を需要動向に合わせながら計画的に造成し、2019(令和元)年12月末までに約1800区画を販売した。

次に都市開発事業(対象面積400ha)では、地域としてめざす「Clean Green Sustainable City」(環境共生・循環型街づくり)の実現に向けて、企業誘致や雇用促進に向けた地区計画の策定、基盤整備を進めている。2017(平成29)年9月には、産官学の連携によるイノベーション、ビジネス創出を目的とした研究教育複合施設「Y・hub」や、健康維持増進のための広域運動場(Oval)を開設した。また2009年から大型の土地を現地デベロッパーなどに売却し、売却資金でインフラ整備を進め、地区全体の価値を向上する取り組みを行った。

さらに、農業を切り口とした土地活用をアグリポリスと称し、その一環としてYSC社が管理する当社社有地(約1600ha)で、牧畜業やオリーブ栽培などの事業も進めた。

ヤンチェップ地区における研究教育複合施設「Y・hub」

都市開発事業エリア内では、西豪州の公共交通公社「Transperth」の鉄道路線の一つであるジュンダラップ線の延伸工事が進められており、2023年度を目途に「ヤンチェップ駅」への延伸が予定されている。延伸開業により州都パースとヤンチェップ地区が鉄道路線で結ばれることになる。またパースから延びる高速道路「ミッチェル・フリーウェイ」はヤンチェップ地区の南16km地点まで到達している。

交通インフラの整備や、宅地開発事業と都市開発事業の進捗により郊外都市としての存在感と質が向上すれば、社有地の活用にも新たな展開が生まれるものと期待されている。

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