第9章 第3節 第1項 沿線自治体などとの連携で進む新たな街づくり

9-3-1-1 横浜市との「次世代郊外まちづくり」の進展

東急線沿線の各地域で高齢化や生産年齢人口の減少が進むなか、地域の価値を維持・向上させることは、当社のみならず沿線自治体にとっても大きな課題であった。

こうしたなか、当社は横浜市との間で2012(平成24)年4月に「次世代郊外まちづくり」の推進に関する協定を締結、たまプラーザ駅北側地区をモデル地区として、郊外住宅地が抱えるさまざまな課題を、産学公民の連携、協働によって解決していく、住民参加型の活動を進めてきた。

こうした活動を踏まえて2017年4月に横浜市との間で包括協定を更新し、同年5月には「次世代郊外まちづくり」の情報発信や活動拠点の場として、美しが丘2丁目に「WISE Living Lab」を全面オープンした。

次世代郊外まちづくりの活動拠点「WISE Living Lab」

協定更新を機に、2016年7月に都市計画決定した地区計画に基づき、より多様な住まいや保育所などの地域利便施設を導入すること、これを盛り込んだ「美しが丘1丁目計画」を推進することとした。また、「コミュニティ・リビング」の考え方をもとにした郊外住宅地の再生を、沿線各地の特性に合わせながら展開していくこととした。

「コミュニティ・リビング」は、郊外住宅地の一定のエリア、歩いて暮らせる生活圏のなかで、暮らしの基盤となる住まいと、住民の交流、医療、介護、保育や子育て支援、教育、環境、エネルギー、交通・移動、防災、就労といったさまざまなまちの機能を、密接に結合させていく考え方であり、東京大学先端科学技術研究センターが提唱したものである。

図9-3-1 コミュニティ・リビング(めざすまちの将来像)のイメージ
出典:横浜市・当社ニュースリリース(2017年4月)

「美しが丘1丁目計画」の推進により、駅至近のマンション「ドレッセWISEたまプラーザ」の低層階に、「コミュニティ・リビング」を具現化する地域利便施設「CO-NIWAたまプラーザ」を2018年10月に開業した。同施設には「多世代コミュニティ交流機能」、「身近な就労機能」、「保育・子育て支援機能」を持たせたテナントが入居。一般社団法人ドレッセWISEたまプラーザエリアマネジメンツを設立し、同施設を拠点としたエリアマネジメント活動にも取り組むこととした。

地域利便施設「CO-NIWAたまプラーザ」

たまプラーザ駅北側地区で培った知見とノウハウをもとに、青葉台エリアでは青葉台郵便局の空き区画(建物の2〜3階)を活用し、地域交流機能と働く機能が併設・連携した「スプラス青葉台」を2021(令和3)年7月に開設した。コロナ禍のさなか、「郊外」に職・住・遊が備わった自律分散型の機能が求められ始めたことを踏まえ、同施設内にはワークラウンジやコミュニティラウンジ、イベントスペースを設けた。

2022年4月には、横浜市との包括協定を更新し、「田園都市で暮らす、働く、楽しむ」をテーマに、モデル地区以外の田園都市線沿線全体(横浜市北部地域)にも取り組みの範囲を広げていくこととした。

9-3-1-2 nexus構想と「nexusチャレンジパーク早野」の開業

当社は2022(令和4)年1月、多摩田園都市エリアにおいて、生活者起点で取り組む新たなまちづくり「nexus構想」を始動することを発表した。「nexus」はつながり・連鎖を意味する言葉で、郊外における生活者起点での自由で豊かな暮らしを実現するために、「職」「住」「遊」「学」が近接・融合した「歩きたくなるまち」を創り出していく構想である。

nexus構想の推進にあたっては、行政をはじめとしたアライアンスを念頭に、構想に共感の意思を示す行政や企業などを「バディ(仲間)」と捉え、多様な「仲間」と連携し、生活者起点のサステナブルな地域ネットワークを構築していくものとした。

「nexus構想」の取り組みの第一弾として2022年4月には、川崎市と横浜市の市境付近にある虹ヶ丘団地、すすき野団地エリアに「nexusチャレンジパーク早野」を開業。同地の自然豊かな環境を生かして、シェアリング型の会員制コミュニティIoT農園「Niji Farm」、焚き火を楽しみながら火の使い方や防災について学ぶ「Fireplace」、養蜂やカブトムシの育成を通じて生態系を学ぶ「生き物の森」、地産地消マルシェや各種イベントなどで多目的に活用できる「nexus Lab(ラボ)」の、四つのエリアで構成した。

「nexus構想」は、「住まう=郊外中心、オフィス・商業=都心中心」という従来の考え方から離れ、生活におけるさまざまな共助を増やし、新しい価値を創り出す取り組みである。「nexusチャレンジパーク早野」では「農と食」をテーマとしてスタートしたが、「エネルギー」「モビリティ」「資源循環」「ウェルネス」「教育」といったサステナブルなテーマも加えて取り組んでいる。

「nexus構想」の概念
出典:当社「nexus構想」WEBサイト
https://nexus-dento.com/
開業した「nexusチャレンジパーク早野」

2023年3月にはnexusチャレンジパーク早野を中心としたエリアで「Hello neighbors!-歩きたくなるまち週間-」を開催。キッチンカーやサービス・物販カーが一堂に集まり出店する「移動販売マルシェ」、地元小学校が企画・製作した「あおぞら図書館」、スマートフォンアプリを活用した健康増進を目的とした「まちあるきイベント」、自動運転車両の遠隔監視により運行管理する「自動運転バス実証実験」といったサステナブル要素も含めた企画を実施した。

また、「次世代郊外まちづくり」と同様に、田園都市線のほかのエリアでも取り組みを開始した。2022年10月には桐蔭学園、当社、東急電鉄で教育・エネルギーをテーマにした相互連携に関する協定を締結。教育では、次世代郊外まちづくりとも連動するまちづくりをテーマに、学校・nexusチャレンジパーク早野を活用して行うほか、エネルギーについては、東芝が開発した「ペロブスカイト太陽電池」を鉄道施設に設置した発電システムの実用化に向けて横浜市も協力して取り組むこととした。

さらに、2023年1月には、たまプラーザ駅近くにシェアキッチン「FORT MARKETたまプラーザ」を併設した「grow up commons」を開設した。平日は社会的な価値を生み出す創業支援の場として、休日は飲食店開業をめざすなど「食」を通じた活動の場としてまちのにぎわい創出を図るなど、さまざまな取り組み、実験を進めている。

「grow up commons」ロゴ
出典:ニュースリリース(2022年12月15日)

9-3-1-3 横浜市、昭和大学と藤が丘駅周辺のまちづくりで連携

藤が丘駅周辺は、土地区画整理事業により都市基盤が整備されて以来半世紀が経過し、駅前施設などの機能更新が求められる情勢となってきた。また、駅前に立地する昭和大学藤が丘病院は1975(昭和50)年に開院して以来、地域医療の中核を担ってきたが、耐震化や医療高度化への対応に向けた再整備が必要になっていた。

こうしたことから、横浜市、当社、昭和大学は、2018(平成30)年10月に「まちづくり推進に関する協定」を締結し、「駅前施設・病院・公園」が一体となった新たなまちづくりに取り組むこととした。計画検討状況の取りまとめとして「藤が丘駅前地区再整備基本計画(素案)」を2020(令和2)年4月に公表し、地域住民の意見を聞きながら具体化をめざしている。

「藤が丘駅前地区再整備基本計画」北東側からの鳥瞰イメージ
出典:横浜市・当社・昭和大学「藤が丘駅前地区再整備基本計画原案(案)説明会」資料

9-3-1-4 町田市「南町田拠点創出まちづくりプロジェクト」の推進

町田市と当社は、町田市が2015(平成27)年6月に策定した「南町田駅周辺地区拠点整備基本方針」の実現と、南町田駅周辺地区の持続的な発展をめざして、「南町田拠点創出まちづくりプロジェクト」を共同で推進することで合意し、2016年2月、町田市の基本方針に基づく土地区画整理事業の共同実施にかかわる基本協定を締結した。

同プロジェクトは、南町田駅周辺に位置する鶴間公園・鶴間第二スポーツ広場とグランベリーモールを中心とした約22haの地域において、官民が連携・協働して、都市基盤、都市公園、商業施設、都市型住宅などを一体的に整備し、郊外住宅地の魅力を再構築するための「新しい暮らしの拠点」を創り出していくものである。

土地区画整理事業、歩行者ネットワーク整備事業、鶴間公園・融合ゾーン魅力創出事業など、展開する各種事業の計画検討や法的手続きなどが進み、工事に着手した。これに伴って、2000年4月に開業したグランベリーモールの営業を2017年2月に終了した。

営業を終了したグランベリーモール

2018年3月には、鶴間公園および商業施設を含む「まち」の名称を「南町田グランベリーパーク」、グランベリーモール跡地に整備する商業施設の名称を「グランベリーパーク」とすることを発表。併せて公園と商業施設をつなぐ「まち」の中央部分にコミュニティ形成の場「パークライフ・サイト」を設けることとした。

パークライフ・サイトは、「スヌーピー・ミュージアム」のほか、本を媒介とした交流を図る「まちライブラリー」、子どもクラブ(児童館)、ワークショップスペース、カフェを備えたゾーンで、隣接する公園や商業施設と一体的な活用を図ることで、多世代の人々が新たな時間の楽しみ方を発見できる場所になることをめざした。

「南町田グランベリーパーク」は、2019(令和元)年11月13日に「まちびらき」を迎えた。

図9-3-2 南町田グランベリーパーク全体配置図
出典:町田市・当社「南町田拠点創出まちづくりプロジェクト」WEBサイト

官民が連携・協働して、駅・商業施設・都市公園の一体的な整備を行い、シームレスな街づくりを実現したことが評価され、2020年6月には令和2年度都市景観大賞「都市空間部門」において、大賞にあたる国土交通大臣賞を受賞した。

まちびらき当日のグランベリーパーク

また、国際的な環境認証制度LEED認証の取得に取り組み、駅舎部分について2020年6月に「LEED NC(新築部門)」のゴールド認証を取得したほか、約15haの申請エリア(駅舎、グランベリーパーク、パークライフ・サイトの全エリアと鶴間公園の一部エリア)については同年7月に「LEED ND(まちづくり部門)」のゴールド認証を取得した。駅舎建築物(新築部門)および駅舎を含むエリア(まちづくり部門)のゴールド認証はいずれも国内初であった。「LEED NC」では、駅舎をまちの高揚感を味わえる開放的な空間とすると共に、効率的な雨水の再利用を図った点や照明計画においてエネルギー効率化を図った点が評価された。「LEED ND」では、歩車分離によるシームレスでウォーカブル(居心地がよくて歩きたくなる)なまちの構造や、エリア全体で取り組んだグリーンインフラを生かしたランドスケープデザインが評価された。

さらに、上記の取り組みに加え、商業施設「グランベリーパーク」の一部に太陽光発電システムパネルを設置したこと、エリア全体に雨水の自然浸透機能を施したことなどが評価され、2023年3月、「第31回地球環境大賞」の大賞(グランプリ)を町田市と共に受賞した。当社では、2016年の二子玉川ライズに続く、二度目の栄誉であった。

〈商業施設「グランベリーパーク」の開業〉

このプロジェクトのなかで、惜しまれつつ営業終了したグランベリーモールは、商業施設「グランベリーパーク」として生まれ変わることとなった。

コンセプトは「生活遊園地〜くらしの『楽しい』があふれるエンターテイメントパーク〜」とし、隣接する鶴間公園と一体的にデザインされた緑豊かな街並みに、新たな発見が生まれる買い物空間と体験の場、多様な楽しみ方ができる七つの屋外広場と、それぞれが異なるコンセプトを持つ六つのパビリオンを配置。2019年8月に全テナントと全パビリオンの詳細が決定した。商業施設内の店舗数は従前の倍に相当する234店舗(2022年3月現在は244店舗)、内4割がアウトレット業態、3割が飲食・食物販で、そのほかアウトドアやエンターテインメントなど個性豊かな店舗が入ることとなった。

なお、2019年10月1日、まちびらきを前に、南町田駅の名称を南町田グランベリーパーク駅に改称し、田園都市線および大井町線のダイヤ改正を実施した。これにより、平日・土休日を問わず田園都市線の全急行列車が南町田グランベリーパーク駅に停車するようになった。

駅名改称し、新たな装いとなった南町田グランベリーパーク駅

9-3-1-5 大田区「池上エリアリノベーションプロジェクト」の推進

池上線池上駅の周辺エリアは、古くから池上本門寺の門前町として栄え、老舗の店舗が連なる参道や地域密着型の商店街など、多様な魅力を有したエリアである。当社は、2017(平成29)年1月に大田区と「池上駅周辺のまちづくりの推進に関する覚書」を締結し、これに基づき池上駅の駅舎改良と駅ビル開発計画を、2017年4月に始動した。

この計画は、利用者の安全性や利便性の向上に向けて、改札口を橋上化して改札内の構内踏切を廃止し、駅ビルには店舗や生活支援機能を設けるもの。駅ビルは5階建てで、池上本門寺を中心とした門前町の歴史が感じられるデザインを取り入れ、駅と街の一体感を形成した。2020(令和2)年7月に橋上駅舎の供用を開始し構内踏切を解消。2021年3月に駅ビルが全面開業した。4階には大田区立池上図書館が開館した。

この間、木造駅舎であった旧池上駅の記憶を継承するため、「みんなのえきもくプロジェクト」を実施した。これは、旧駅ホームで長く利用客に親しまれてきた木製の長いベンチをはじめ、駅ビル工事で発生する廃木材を、新たな駅施設や駅ビルで再利用するもの。池上図書館の椅子の一部や図書返却ポスト、保育施設の遊具、カフェの店内のアートパネルなどに、これらの木材が再利用されており、木製の長いベンチも駅構内に再現された。

開業した池上駅ビル

また、駅周辺エリアの活性化に向けては、空き家のリノベーションプランを考え、空き家のオーナーにプレゼンテーションを行う「リノベーションスクール@東急池上線」を2017年3月に開催。大田区の担当部署と共に公民連携研究会を行いながら課題意識を共有し、2019年3月には、大田区と「地域力を活かした公民連携によるまちづくりの推進に関する基本協定」を締結。池上エリアを協定のモデル地区とする「池上エリアリノベーションプロジェクト」がスタートした。

9-3-1-6 川崎市「鷺沼駅前地区第一種市街地再開発事業」の検討

川崎市と当社は2015(平成27)年6月、誰もが暮らしやすい、持続可能な街づくりの実現に向けて、東急線沿線を対象に包括連携協定を締結した。連携・協定事項は、「駅を中心としたまちづくりやアクセス向上に関すること」「沿線の暮らしやコミュニティの発展に関すること」「沿線の魅力向上に関すること」の3点であった。

川崎市は、2016年3月に「川崎市総合計画」を策定し、このなかで鷺沼駅周辺を、民間活力を活かした駅前広場の再整備等による、多様な都市機能の集積および交通結節機能の強化に向けた取り組みを推進する地区と位置づけた。

鷺沼駅前地区は、狭小な交通広場や低未利用地の点在などによる、まちのにぎわいの喪失などが課題とされ、川崎市の地域生活拠点にふさわしい整備が求められていた。このため、駅を中心に商業、都市型住宅、文化・交流施設など多様な都市機能の集積を図ると同時に、交通広場整備など交通結節機能の強化を図るため、「鷺沼駅前地区第一種市街地再開発事業」が行われることとなり、2017年8月に鷺沼駅前再開発準備組合が設立された。

今後整備される予定の鷺沼駅バスターミナル(2015年)

当社は準備組合に加入し、準備組合員の一員として基本計画の検討に参加し、駅前街区と北街区に高層ビルの建設を計画した。しかし、2020(令和2)年からのコロナ禍および社会状況などの変化に伴って、計画を再検証することになった。再検証にあたっては、オープンスペースの重要性や職住近接のニーズに対応し、将来にわたり、安心・快適に利用できる施設計画や機能についての検討や、駅・駅前広場・周辺市街地を一体的に捉え、将来の魅力的な街づくりの中核を担う「駅まち空間」の実現へ向けた検討を行っている。

9-3-1-7 そのほかの自治体などとの連携

第2節で空港運営事業について述べたが、それ以外にも行政と連携しながらPFI制度などを活用して公共施設運営の取り組みを進めている。その内容を記述する。

〈渋谷区内初のPark-PFI事業「渋谷区立北谷公園」〉

渋谷公園通りそばにある渋谷区立北谷公園について、渋谷区は、にぎわい創出や活性化の拠点となる公園にするため、区内の公園初のPark-PFI制度を活用することにした。

同制度は2017(平成29)年の都市公園法改正による新しい仕組みで、民間による公園内施設(飲食・売店などの施設)の設置で得られた収益を、公園の整備・管理に活用する制度である。当社を代表企業としたコンソーシアムがその整備事業者に選ばれて整備を行い、2021(令和3)年4月にリニューアルした。

公園の運営は、指定管理者制度により、当社が参画する「しぶきたパートナーズ」が実施。新たに設置された2階建ての建物内にカフェを出店したほか、屋根付き広場を設けて、展示会やワークショップなどのイベント開催や、キッチンカー出店などを通じ、新たなにぎわい創出に取り組んでいる。2022年10月には、公益財団法人日本デザイン振興会主催の2022年度グッドデザイン賞を受賞した。

新たなにぎわいが生まれた北谷公園

〈国内初の都市公園リノベーション協定に基づいた川崎市「こすぎコアパーク」〉

こすぎコアパークは、第8章で述べた武蔵小杉駅南口地区の再開発事業で整備された駅前の都市公園である。川崎市と当社は、2019年8月に「こすぎコアパーク及び周辺地域のさらなる魅力向上に向けた覚書」を締結。これまでも四季折々で地域住民や商店会などによるイベントが開催されていたが、さらなる魅力付けとして日常的なにぎわい、憩いの創出や駅も含めた周辺の回遊性、利便性向上などに取り組むこととした。

官民一体で都市公園と周辺の街の回遊性向上に取り組むことは、前述の「南町田グランベリーパーク」がその先例の一つとされ、国としてこうした公園へのリノベーションを進めるべく、都市再生特別措置法等の改正が2020年6月に成立。居心地が良く歩きたくなるまちなか(まちなかウォーカブル)の形成に向けた「都市公園リノベーション協定制度」が開始されることとなった。

同年8月の整備協定に続き、2021年3月に同制度に基づいた設置管理協定が締結された。広場や武蔵小杉駅構内と公園との間の壁を撤去するといった一体的な歩行空間整備を実施。飲食施設2店舗を設置した。同制度を適用した国内初の取り組みとなった。

リニューアル整備された「こすぎコアパーク」

〈川崎市「等々力緑地再編整備・運営等事業」〉

等々力緑地は川崎市の多摩川沿いに位置する総合公園で、サッカーチーム川崎フロンターレのメインスタジアムである等々力陸上競技場をはじめ、バスケットボールやバレーボールのプロチームの拠点として知られている。

川崎市は、公園開設から50年近く経過し、各種施設の老朽化が進んでいたことから、公園全体の再整備方針を2010年4月に策定していた。そして、2017年の都市公園法改正もあり、市は民間活用も含めて公園の魅力向上につながるアイデアを公募し、最終的にPFI法を活用した等々力緑地の再整備を行うこととした。

2022年11月に「等々力緑地再編整備・運営等事業」について当社を代表企業とした9社で構成するコンソーシアムが事業者に選ばれた。2023年1月に、その事業を行う特別目的会社(SPC)となる川崎とどろきパーク株式会社を設立し、同年4月から運営を開始する予定である。

等々力緑地再編整備イメージ
出典:川崎市 プレスリリース「等々力緑地再編整備・運営等事業に係る落札者を決定しました」(2022年11月8日)
https://www.city.kawasaki.jp/530/cmsfiles/contents/0000144/144843/houdouhappyou_todoroki_221108.pdf

〈東京都「代々木公園整備・管理運営事業」ほか〉

東急不動産、当社など東急グループ4社は、 東京都立公園として初のPark-PFI制度を適用した「代々木公園整備・管理運営事業」の事業者に選ばれ、2022年3月に東京都と実施協定を締結した。同公園は渋谷と原宿を結ぶ「広域渋谷圏」に位置し、公園運営を担うことによる公園来園者からの新たな価値が、地域全体の魅力向上につながるとして当グループとしても期待しており、2024年春の開業をめざして整備中である。

そのほか、「愛知県新体育館整備・運営等事業」についてもPFI事業として、前田建設工業を代表企業とした8社で構成するコンソーシアムの1社として参画。2021年2月に事業者に選定され、新体育館の建設を進めている。

代々木公園整備外観イメージ
出典:東急不動産・当社・石勝エクステリア・東急コミュニティー ニュースリリース(2022年5月9日)

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