第4章 第5節 第2項 相次ぐ関連会社の設立やグループ入り

4-5-2-1 東急コミュニティーと東急リバブルの設立

前述の多摩田園都市や全国での開発事業の進展に合わせ、不動産開発に関連する会社の設立が相次いだ。この内、東急グループの主要会社として成長したのが東急コミュニティーと東急リバブルの2社である。

東急コミュニティーは1970(昭和45)年4月に東急不動産の子会社として設立された。これは、同社が多摩田園都市をはじめ各地で建設したオフィスビルやマンション(集合住宅)などのアフターサービスや、物件の共用部分にあたる機械や電気設備などの保守点検、建物の補修や清掃といった業務を、自社業務から独立・発展させる形で専業会社化したものであった。とくに分譲マンションにおいては、点検・補修・清掃といった費用は各戸の入居者から負担金を集めて対応するため煩雑で、物件数が増加するなかで一部署としての対応に限界を迎えていた。そこで、専業会社として自社開発物件のみならず他社開発物件からもこうした業務を代行し拡大させ、収益事業につなげようという狙いがあった。設立時の管理物件は当社の分譲マンションが12件、東急不動産の分譲マンションが3件、そのほか店舗や駐車場など合計28件であった。

こうして同社は当社や東急不動産など東急グループの開発物件のみならず、全国で数多くの建物・マンションなどの管理業務を受託し、マンション管理事業は最大手、ビル管理事業も売上高で上位に成長した。

一方、不動産の仲介売買事業として業界大手の一角に成長したのが東急リバブルである。東急不動産が取り組んでいた不動産流通市場の形成について、全国の営業所間での物件情報の管理がオンライン化されたことをきっかけに不動産の売買仲介事業を本格展開化させるためであった。

1972年に同社子会社のエリアサービスとして設立され、中央線沿線に「東急リビングガイドチェーン」と名づけた店舗を開設し営業を開始、1978年に東急不動産地域サービスに商号変更し他エリアへ店舗拡大した。1988年1月に東急リバブルと再度商号変更して新たなスタートを切り、売買仲介の周辺業務も含め拡大していった。

東急コミュニティーは1998(平成10)年、東急リバブルは1999年にそれぞれ株式上場を果たすことになる。

  • 東急コミュニティー巡回管理の様子
    出典:『ふれ愛 20年 東急コミュニティー』
  • 東急リバブルの創立当初に展開された「東急リビングガイドチェーン」高円寺店(1974年)

4-5-2-2 関連事業会社が続々と発足

このほかにも開発事業の進展・拡大に合わせてさまざまな関連会社が設立された。この内、上述2社同様に東急不動産により設立されたのが同社の設計監理部門を分離独立させた東急設計コンサルタントである(1973〈昭和48〉年4月設立、現在は当社と東急不動産の合弁会社)。設立当時は業界大手の一つであった。

造園会社としては、1971年7月に当社が高村造園(現、東急グリーンシステム)をグループ入りさせると共に、石勝エクステリアを当社などが出資する形で1972年1月に設立した。1978年3月に東急不動産により設立された東急リゾートは「東急リゾートタウン蓼科(後述)」の別荘地販売営業を手始めに、会員制リゾートホテルやゴルフ場会員権などの販売仲介事業をてがけていく。そして、当社、東急不動産に続き大規模な開発事業をしていこうとしたのが次項で述べる東急土地開発である。

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