第8章 第7節 第1項 人事関連制度

8-7-1-1 「東急バリュー」策定、人事賃金制度を改正

当社は2005(平成17)年3月発表の「中期3か年経営計画」において、「東急線沿線での事業連携による収益構造の変革と持続的成長の実現」を基本戦略とし、健全性の回復から成長路線へと軸足を移していくことを表明した。これを確実に実現するためには、社員一人一人が従来のモードを切り替え、会社の成長とベクトルを合わせていけるよう、仕事のやり方や取り組み方を見直す必要があった。

このため人事企画部では役員や主要部門の社員から聞き取り調査を実施、強みとは何なのか、弱みは何かを洗い出した。これをもとに、当社の「強み」を継承し、「弱み」を克服して新しい社内風土を醸成していくための指針、社員全員が共有すべき価値基準として、2006年に「東急バリュー」を策定。同年5月以降、東急バリュー会議や東急バリュー体験会を通じて社員への浸透を図った。

東急バリューでは、「顧客価値(お客さまが求める価値を追求し続ける)」「共創(互いを高め合い、知恵を結集させて連携を進める)」「挑戦(常に新しい価値の創造に向けて突き進む)」の3点を「社員が共有すべき価値観=志」と定義。その志を持ったうえで「考える」「すばやく動く」「対話する」「やり抜く」「学習する」という行動を実践することを求めた。「高い志を持ち、自ら考え、主体的にやり抜く」社内風土を醸成することで、持続的な成長をめざすことを示したものである。

2008年4月には人事賃金制度を改正した。1999年の改正時に採用した「職責」に東急バリューの考え方を採り入れて、4部門(鉄道・バス・病院・その他)別の賃金体系を導入した点が大きな改正点である。

図8-7-1 3つの「志」と5つの「行動」で構成される「東急バリュー」
出典:社内資料

8-7-1-2 [コラム]東急アカデミー

人材育成については、選抜型・公募型での研修やMBA(経営学修士)派遣なども進めたほか、グループ全体の取り組みとして2006(平成18)年7月「東急アカデミー」を開始した。これは、次世代を担う経営人材の能力・スキルを育成し、東急グループ全体の組織力、人材力を高めることを目的としたものである。東急グループ各社からの受講生同士が啓発し合い、東急グループの理念を実現する経営者として成長することを期待したもので、2022(令和4)年までにのべ750人の修了生を輩出している。

表8-7-1 「東急アカデミー」実施コース
注1:社内資料をもとに作成
※1:ILDP「Innovative Leadership Development Program」の頭文字
※2:CLDP「Creative Leadership Development Program」の頭文字
※3:ALDP「Active Leadership Development Program」の頭文字

このほかにも新任者向けの階層別研修の一部がグループ合同で行われるなど、グループ社員同士が交流する機会となっている。

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