
みなさんは「とにかく口いっぱいに〇〇をほおばりたい!」と思うことはありませんか?
例えば、生クリーム。
よくシュークリームを買っているけど、冷静に考えると生クリームを摂取したくてシュークリームを選んでいるのかもしれません。実はエクレアでもよかったりして(笑)
このように、料理名ではなく、素材や材料から逆算して考えてみると、いま自分が本当に食べたいもの見つかることがあります。
そんな“逆算グルメ”を紹介するのは、東急公式サイト編集部員。取材先や立ち寄ったまちで見つけたおすすめをお届けします。
今回の逆算テーマは「あんこ」。
筆者の家族は特別に和菓子好きということもなく、家に届くお歳暮や手土産に頂いた和菓子のほとんどは筆者が食べて育ちました。その結果、今では羊羹を切らずに一棹を丸かじりするくらいあんこ好きになってしまいました。
そして時は経ち、現在は、東急線沿線のさまざまなまちに赴き、取材をしています。その日の仕事のご褒美と称して、訪れたまちのお店に寄って和菓子を食べるのが楽しみのひとつに。
そんなあんこ好き編集部員が、実際に食べておいしいと思った、あんこのスイーツをご紹介します。
【旗の台】行列必至!老舗お米屋さんの「おはぎ」

旗の台駅が最寄りの「沖田精米」は大正時代から続く老舗のお米屋さん。各種メディアでも多く取り上げられ、お米屋さんがつくるおはぎを求めて行列ができるほどの人気です。あんこ好きとしては避けて通れません。
以前に筆者がこのお店を訪れた際、到着したのは11時過ぎ。すでに残りわずかだったおはぎをなんとか購入し、そのおいしさに感激しました。
今回は「より出来立てに近いものを食べたい!」と思いが募り、開店時間の10時を目指し、大井町線・池上線の旗の台駅へ。



開店時刻の5分前、お店に到着すると、平日にも関わらず数人が並んでいました。
筆者も列の最後尾へと並ぶと、どんどんお客さんが集まり10人以上の行列に。
そして10時ぴったりにシャッターが開いて開店。炊き立てのお米のいい匂いがお店から流れてきます。



邪魔にならないようにお店の方にお話をうかがい、筆者もおはぎを購入。赤飯に目移りしつつも今日はおはぎでおなかを満たすと決めていたため、おはぎのパックを2つ手に取りレジへ。

5代目店主さんにうかがったお話では、沖田精米の基本的なおはぎは、もち米だけ使い、あんこの粒の触感を楽しめるように甘さ控えめに仕上げているとのこと。他に、もち米に雑穀を混ぜたおはぎも販売しています。
おはぎというと、もち米をあんこで包んだスタイルを思い浮かべますが、沖田精米のおはぎは、あんこをかけるスタイル。それはもう、林間学校のカレーのようにダイナミックで、あんこ好きにはたまらないビジュアルです。

見てください、この迫力。箸で持ち上げるのが大変なくらい、ずっしりとした立派なおはぎです。
おはぎは箸で切って食べるものでもないし…と、そのままかぶりついてみると、どっさりとかかったつぶあんの控えめな甘みが口に広がります。そして、さすがお米屋さん。もち米がとてもおいしいです。
おにぎりかと思うくらいしっかりとお米の形が残り、ほんのり塩味が効いていておいしい。パックに残ったあんこだけを食べるのもおいしい。「おいしい」しか言えない。2個入りのおはぎをものの数分で食べ終えました。
この日は夕食もおはぎにする気満々だったので、雑穀入りの3個パックを抱えてほくほくと家路につきました。
大井町線・池上線をご利用の際は「沖田精米のおはぎ」をぜひ味わってみてください。あんこ好きなら、並んででも食べる価値があるおいしさです。
<沖田精米>
・住所:東京都品川区旗の台4-6-3
・TEL:03-3781-6557
・営業時間:10:00〜19:00
・定休日:日曜日・月曜日・祝日
https://www.instagram.com/okitaseimai
【下丸子】特注の鉄板でつくる「丸いたい焼きとせいろ膳」

続いて紹介するのは東急多摩川線の下丸子駅が最寄りの「たいやきカフェ しし丸」。
こちらは、2025年に鵜の木から移転オープンしたたい焼き屋さん。たい焼き屋さんはよく立ち寄るのですが、しし丸のたい焼きは「食べやすくておいしかった」と記憶に残るお店だったため、今回取材に伺うことにしました。



こちらのたい焼きは丸い形をしているのが特徴。丸いけどちゃんと鯛のデザインは施されていて、食べやすいんです!
あんこは粒あんのみですが、季節ごとにバリエーション豊かな味が販売されるのも魅力的。

店主さんにお話をうかがうと、丸いたい焼きの鉄板は特注品。アレルギーなども考慮し、卵と砂糖を使わずに“甘くない生地”にすることで、ボロネーゼやクリームシチューといった、甘くないたい焼きもコンスタントにつくることができるそうです。

見てください。このビジュアル。中の具材がはみ出すほどの、サンドしたタイプのたい焼きです。あんこは北海道産の小豆を銅釜で練り上げたつぶあん。生地が甘くないので、控えめな甘さでもしっかりとあんこの風味を感じられるたい焼きになっています。
おそらく筆者が感じていた食べやすさの正体は、丸い形と甘くない生地の仕業でしょう。口当たりがすごくいいと改めて実感しました。
ついでに季節のたい焼きのバターチキンカレーたい焼きも注文。
ペースト状のちゃんとしたバターチキンカレーを挟んだたい焼き。カレーパンとは違う不思議な食感でおいしい。こちらは男性客がよく買っていくそうです。確かに部活帰りにバターチキンカレーたい焼きが売っていたら、思わず買いたくなる気持ちがわかります。
たい焼きを楽しんでいると、店主さんから、「少し前にたい焼きせいろ膳を始めたんですが食べていきます?」とお誘いが。「膳…?」と驚きつつも、ここはたい焼きカフェ。ランチメニューがあっても不思議ではありません。これは気になる。せっかくなので注文してみることに。

10分ほどして運ばれてきたのは、帆立出汁が香る小豆粥、ヨーグルトソースで食べる季節の野菜とたい焼きをせいろ蒸しにした珍しい膳。
小豆粥は帆立の旨味がたまらない優しい味。そして、蒸したたい焼きはもちもち感がアップ。たい焼き屋さんでこんなヘルシーなメニューが食べられるとはびっくりです。丸くて甘くない生地、せいろ蒸し…たい焼きってこんなに自由でいいんだ!と、筆者のたい焼きのイメージが凝り固まったものだったことに気づかされました。
取材中も近所の方が入れ替わり立ち替わり買いに来たり、店内で食事を楽しんだり。まちに愛されている様子を目の当たりにしながら取材を終えました。
店主さんのこだわりのたい焼きメニューを味わえる、ちょっと不思議で楽しいたい焼き屋さん。下丸子周辺にお越しの際は立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
さすがに食べきれなかったので、たい焼きはテイクアウトにしてもらいました(笑)

<たいやきカフェ しし丸>
・住所:東京都大田区下丸子3-8-2-C室
・TEL:070-9079-2319
・営業時間:9:30〜18:00
・定休日: 火曜日・金曜日
https://www.instagram.com/taiyaki_shishimaru
【新丸子】あんこにこだわる老舗和菓子屋の「新丸子まんじゅう」

続いて向かったのは東横線・目黒線の新丸子駅。
筆者は、あんこ好きと言っても、味の違いはそんなにわかっていないタイプ。それでも、桔梗屋で食べた「みかぼ焼き」のあんこは、「なんかおいしかったな」と漠然と感じていました。
きっとあんこづくりに秘密があるに違いない、そう思い、お店へ向かいました。



「菓心 桔梗屋」は1958年創業の新丸子に根付いた和菓子屋さんです。店内には、地元川崎の銘菓や焼き菓子など、たくさんの和菓子が並びます。

実は以前食べて印象深かった「みかぼ焼き」という、いわゆる大判焼き、今川焼、回転焼きなど地域によって呼び方が異なるあのスタイルの和菓子を紹介したかったのですが、販売時期が10月~4月のため、取材時は残念ながら期間外。今回は桔梗屋で一番人気の「新丸子まんじゅう」をいただくことにしました。
桔梗屋のあんこがおいしかったという記憶が頭に焼き付いていたので、お店の3代目にあんこについて聞いてみると、「あんこは“和菓子の心臓”と考えているので、こだわりを持っている」とのことでした。
桔梗屋の和菓子に使われているあんこは、すべて自家製あん。ここ、大事なので流さないでくださいね。桔梗屋のあんこは全部が自家製です。
実は、つぶあんはこだわって自家製あんを使うお店が多いのですが、こしあんは、製餡所のものを使うお店が多いとか。
こしあんは、つぶあんと違い、小豆の皮を分ける作業が重労働であるため、こしあんまで自家製にするお店は少ないとのこと。そんな中、桔梗屋は川崎では数少ない、自家製こしあんをつくっているお店。だからこそ細部までこだわれるそうです。
もちろん製餡所で購入したこしあんが悪いわけではありませんが、「自家製こしあん」という文字を見かけたら、あんこに相当こだわっているお店という目印になりますね。
こしあんづくりの工程は省きますが、話を聞くかぎり、つぶあんよりもかなり手間がかかっています。同じ和菓子でも、こしあんには一層感謝して食べなければ…と思ってしまうほどでした。

「新丸子まんじゅう」は1個90円。掌に収まるひと口サイズで、自家製のこしあんを、波照間産の黒糖を使った生地で包んだまんじゅうです。黒糖の風味をしっかりと感じられるように仕上げているとのこと。
ひと口サイズですが、ひと口で食べるのはもったいないので半分に割ってみることにしました。

口に入れた瞬間、黒糖の香りが鼻に抜け、その甘味もダイレクトに広がります。それでいて、自家製こしあんもしっかりと存在感がある!
黒糖の味が強すぎてこしあんの味が埋もれてしまう、なんてことはなく、黒糖の甘味とこしあんの甘味がどちらも味わえる、しかし甘すぎない絶妙なバランス。これは熱いお茶と一緒にいくつも食べたいタイプのまんじゅうです。
余談ですが、新丸子まんじゅうを帰省の手土産にしたところ、普段は甘いものを好まない祖父が「おいしい、おいしい」と2個続けて食べてくれてほっこりしました。

3代目店主さんは、本当はもっとお客さんに「桔梗屋のあんこのこだわり」について語りたいと思いつつも、相手のことを考えて控えているそうです。
興味のある方はぜひ、つくり方からこだわりまで丁寧に話してくれるので、新丸子まんじゅうをはじめ和菓子を買いに行く際は、3代目にあんこについて聞いてみてくださいね。
<菓心 桔梗屋>
・住所:神奈川県川崎市中原区新丸子町754
・TEL:044-722-2755
・営業時間:10:00~18:00
・定休日:日曜日 (節句、彼岸は営業)
https://kikyoya.net/
【宮の坂】めずらしい&見た目も楽しい「青豆大福」

続いて向かったのは、世田谷線の宮の坂駅。電車内から見える和菓子屋「まほろ堂 蒼月」です。
実は、これまで一度もお店に行ったことがありません。
テレビで紹介されているのを見て、「食べたいな~」と呟いたら友人が買ってきてくれて食べたことがあったのです。
生地に練りこまれた見慣れない緑(青)の豆、上品な甘さのこしあん。そのおいしさが忘れられず、また食べたい!と思っていた豆大福です。今こそお店へ足を運ぶタイミングなのでは!そう意気込み、宮の坂駅へ向かいました。




お店の中は白を基調とし、モダンでお洒落な空間。カフェスペースも用意されています。
店主さんにお話を聞いてみると、並んでいる和菓子は全て店内で手づくり。「大きなお店ではないので種類は多くありませんが、自分たちができる範囲でおいしい和菓子を届けていきたい」と語ってくれました。
招き猫で有名な「豪徳寺」の近くということもあり、海外からのお客さんも多いそうです。




豆大福では一般的に赤えんどう豆が使われることが多い中、「まほろ堂 蒼月」では、店主の和菓子のルーツからインスパイアされた青えんどう豆を使用。もち米は弾力があってもちっとした感触を楽しめる新潟産の「こがねもち」。
中のこしあんは店内で半日くらいかけて炊き上げた自家製です!こだわりの自家製こしあんだからこそ、また食べたくなるおいしさにつながっているんだと納得しました。…最近知った知識ですけど(笑)
大福を食べてみると、コロコロとした青えんどう豆のアクセントが小気味良く、しっとりとしたこしあんと相まって口の中が幸せです。
個人的には程よい硬さを感じられる豆と塩味、なめらかなこしあんの甘味が調和した豆大福が好みなので、改めてまほろ堂 蒼月の青豆大福は、筆者の理想的な豆大福でした。

青豆大福はもちろんおいしかったのですが、店主の和菓子に対する姿勢や素敵な店構えを見ていると、ブランディングがしっかりされていると感じました。
これはメディアが取り上げたがるわけだ、と得心してお店を後にしました。
世田谷線周辺は豪徳寺や商店街など散策にもぴったりのエリア。まほろ堂 蒼月にも、ぜひ立ち寄ってみることをおすすめします。
<まほろ堂 蒼月>
・住所:東京都世田谷区宮坂1-38-19 ウィンザーパレス103
・TEL:03-6320-4898
・営業時間:10:00~18:00
・定休日: 月曜日(祝日の場合は火曜)、不定休あり
https://mahorodou-sougetsu.com/
「あんこ」から和菓子を探す逆算グルメ
今回は“逆算グルメ”として、東急公式サイト編集部員による、あんこを味わえる和菓子のお店を紹介しました。気になるお店はありましたか?
どのお店も東急線沿線で、それぞれの最寄り駅から徒歩10分かからない距離。筆者のお気に入りのお店ばかりです。
好きな素材から食べたいものを探す、逆算グルメ。視点を変えてみると、いつもと違うグルメに出会えるかもしれません。お出かけの際の参考にしてみてください。
※記事内の価格はすべてテイクアウト時の税込です。
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取材・文:鈴木皓大
編集:MaW
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