
親しい友人やお世話になっている方への手土産は、少しでも喜んでもらいたいと思うことはありませんか。ネット通販でなんでも手に入る時代ですが、お相手のためにお店に出向いて、お店の方に話を聞いて手土産を選ぶのも、素敵な体験です。今回は東急線沿線で買える、手土産にぴったりな和菓子の逸品5選をご紹介します。
【長原駅・wagashi asobi】世にも珍しい、パンに合う和菓子「ドライフルーツの羊羹」

池上線の長原駅から徒歩約1分。駅の目の前の通りを1本入ったところにある小さな和菓子店「wagashi asobi」。国内のみならず、海外の展覧会への参加、海外ブランドからイベント用和菓子のオーダーを受けるなど、幅広く活動してきた2人の和菓子職人が手掛けるお店です。現在の販売商品は3種類のみ。長年、和菓子職人として活動してきた2人の手作りで生み出されています。




友人に「パンに合う和菓子を作ってほしい」と頼まれたことがきっかけで生まれた、ドライフルーツの羊羹。奇抜なように聞こえますが、小豆、黒糖、いちじく、くるみ、いちごなど、パンに合う和の素材を使ってパテやテリーヌをイメージして作られています。
ラム酒のフルーティーな香り、いちじくのプチプチ感、くるみのコリコリ感、いちごの酸味。それらをまとめる餡によるハーモニー。口の中でおいしさがじゅわっと広がる瑞々しい羊羹です。
切り分けてそのまま食べるのもいいですが、パンに合う和菓子として作られたため、薄く切った羊羹を、クリームチーズを塗ったパンに乗せて食べるのがおすすめ。羊羹を挟んだパンは見かけることがありますが、これは全くの別物。初めて食べる際は、あまりの新感覚に衝撃を受けること間違いなしです。
ドライフルーツの羊羹は、どこでも買える商品にしたくない、と基本的には店舗のみで販売しています。唯一、池上線沿線というご縁から、東急百貨店オンラインストアでは毎月上旬ごろに数量限定で販売しています。
<東急百貨店オンラインストア販売ページ>
https://online.tokyu-dept.co.jp/goods/list/?cid=F02-902&hm_ccd=53004

失礼かと思いつつ、恐る恐る「これは和菓子なのでしょうか」と聞いてみたところ、立派な和菓子として作っているとお答えいただきました。
いちじく、くるみはもちろん、ラム酒だって原材料はサトウキビ。日本に古くからある素材でできています。
例えば、ポルトガルから伝わった南蛮菓子が、日本人の好みに合わせて進化を遂げたものがカステラであり、和菓子として扱われています。
言われてみれば、羊羹もルーツを辿れば中国から伝わり、日本人好みにアレンジされて皆が知る羊羹になりました。
「現代の和菓子職人が作る次世代の和菓子」。先人たちに敬意を払いながら和菓子文化のその先を考えているという、矜持を感じる回答に脱帽です。

<wagashi asobi>
・住所:東京都大田区上池台1-16-2
・TEL:03-3748-3539
・営業時間:10:00~17:00
・定休日:日曜日
https://wagashi-asobi.com/index.html
【田園調布駅・田園調布 あけぼの】色鮮やかで涼しげな琥珀糖「氷花」

田園調布駅から徒歩約1分。田園調布駅の旧駅舎から東へまっすぐ伸びる通りにあるのが、昭和7年創業の「田園調布 あけぼの」。和菓子の心・季節感を大切にしながら和菓子作りを行なう老舗和菓子店です。
上品な甘さが特徴の、自家製餡をはじめとした和菓子の数々は、店舗2階の工房で仕込みから製造まですべて行なっています。お店の外からも見えるショーケースには、季節の和菓子が並び、取材時も、季節の味を求めるお客さんが次から次へと買いに訪れていました。
美しいステンドグラスが彩る喫茶スペース「和カフェ」では、好きな和菓子と飲み物を組み合わせて楽しめます。




砂糖でコーティングされた寒天の琥珀糖。白はハッカ、赤はラム酒、青はオレンジの3色で、涼しげな氷をイメージした三角形。光が当たった瞬間の美しさはもちろんですが、箱に整然と並ぶ様子も見どころです。
お皿に出すとカラカラと音が鳴ります。ひと口食べると外はシャリシャリ、中はしっとりやわらか。最後は融けるように消えていきます。その名の通り、氷のような儚さを体現した五感で楽しめる和菓子なのではないでしょうか。

小さめの箱に入っているので、いくつか買ってひと箱ずつ配るのにも向いているかもしれません。
ほかにも、定番のまんじゅうやどら焼きを販売していますので、併せて購入するのもおすすめです。ネット販売は行なっていませんが、4代目店主さんが、人と人のつながりを大事にしているとのことで、電話での注文・発送ができます。

<田園調布 あけぼの>
・住所:東京都大田区田園調布2-51-8
・TEL:03-3721-8886
・営業時間:9:00~18:30
・定休日:日曜日
https://www.akebonokashiho.net/index.html
【都立大学駅・御菓子所 ちもと】カシューナッツ入りのふわふわ求肥「八雲もち」

東横線の都立大学駅から徒歩約3分。目黒通り沿いにあるのが、「御菓子所 ちもと」。
昭和40年に創業の老舗和菓子店。ショーケースに上質な和菓子が並び、ちもとの和菓子を求めて多くの人が訪れます。
いい素材を使うのは当たり前。余計な手は加えずに素材の本来の良さを生かす。お店に並べる和菓子の数を絞って、丁寧に和菓子を作ってきた結果、お客さんに認めてもらうことができたと2代目店主さんが話してくれました。



八雲もちは、カシューナッツが入った黒砂糖求肥の和菓子です。
ひと口食べると、卵白の入った求肥のふんわりとした口当たりと黒糖から来る甘味が広がります。やわらかさの中に細かく砕かれたカシューナッツのアクセント、不思議な食感が魅力です。
初めて食べると驚いてしまうくらい、似ているものがありそうでない唯一無二の和菓子です。日本茶だけではなく、紅茶やコーヒーとの相性も良さそう。
用途・予算に合わせて詰め合わせも可能です。発送は電話にて受け付けています。

八雲もちが生まれた背景を聞いてみると、先代がちもと総本店からのれん分けをして目黒区八雲に出店する際に、地元の銘菓になる和菓子として考案したのだとか。
総本店で販売していた白砂糖の求肥「ちもと餅」をベースに、黒砂糖で作ったらおいしいのではないか、さらに中華料理店で当時は珍しかったカシューナッツを食べて、これだ!とひらめいて生まれたのが八雲もちだそうです。
誕生から60年以上、味と配合を変えず、竹の皮で包み、紙のこよりで結ぶ作業までひとつひとつ丁寧にお店で手作りを続けているそうです。リピーターも多く、東急公式サイト編集部にもファンがいるくらい人気の逸品です。

<御菓子所 ちもと>
・住所:東京都目黒区八雲1-4-6
・TEL:03-3718-4643
・営業時間:10:00~16:00
・定休日:水曜日・木曜日
https://chimoto-yagumomochi.com/
【都立大学駅・御菓子司 つ久し】ごろごろとした黒豆の食感が楽しい「黒豆大福」

東横線の都立大学駅から徒歩約8分。柿の木坂通りに店を構える「御菓子司 つ久し」。昭和24年頃に創業し3代続く老舗和菓子店です。和菓子の伝統を守りながら、より優れた味を求めて和菓子作りを行なっています。
現在は3代目店主ご夫婦で、無理せずできる範囲で営業しています。主に和菓子作りを店主さん、販売・接客を奥様が担当していて、2人でやっているからこそ、お客さんのひとりひとりの顔を覚えていられるし、人と人の関わりを大切にされているそうです。



1日に100個ほど作るという「黒豆大福」は、丁寧に炊きあげられた上品な甘さの粒あん、黒豆の程よい塩味が効いた、絶妙なバランスで成り立っています。
丹波産の黒豆は1番大きいサイズを使用し、歯ごたえのある食感もやみつきで、ついもうひとつ、と手が伸びてしまいます。
豆大福は熱烈なファンが多い和菓子かと思いますが、これぞ豆大福、と納得していただける逸品に仕上がっています。


贈答用なら、大福よりも少し日持ちするどらやきもおすすめ。しっとりした生地からは和糖ならではのコクを感じられます。サイズも大きすぎず訪問先で分けて食べられるのもいいですね。

<御菓子司 つ久し>
・住所:東京都目黒区八雲4-5-6
・TEL:03-3724-0294
・営業時間:8:30~18:30
・定休日:火曜日
【桜新町駅・タケノとおはぎ】アート作品のような美しさ「日替わりおはぎセット」

田園都市線の桜新町駅から徒歩約8分。砧公園通り沿いにある「タケノとおはぎ 世田谷本店」はスタイリッシュなおはぎ専門店です。和菓子が苦手だったオーナーが、祖母が作るおはぎだけは好きだったというところからスタートしたそうです。
細部まで作りこまれた創作おはぎの数々は、まるでアートのよう。
箸をつけるのがもったいないくらいの美しさと、和にとらわれない新感覚のおはぎは、食べた人の記憶に残ること間違いなしです。




つぶあん、こしあん、日替わり5種の7個がセットになっていて、日替わりのおはぎは、それぞれの価格となるため、セットの金額は日によって変動します。
日替わり7種のみのセットも販売されているほか、それぞれ単品で購入することも可能です。また、日替わりおはぎセットはネット予約可能ですが、受取りは店頭のみになっています。
スタンダードなつぶあん・こしあんはオーナーの祖母から受け継いだ味。このふたつ以外は、お店に並ぶおはぎは毎日変わります。タケノとおはぎでは毎週のように新メニューが登場し、今までに販売したおはぎは800種類を超えているとか。

例えば、「ラズベリーとショコラ餅」はもち米にカカオが練りこまれていて、ラズベリーの香りがふわっと鼻に抜ける不思議な感覚。
また食べたい!と思っても同じおはぎに出会えるかはわかりません。しかし、お店に行くたびに新たなおはぎに出会える楽しさがあるので、今日はどんなおはぎが並んでいるのかを楽しみに、足を運んでみてはいかがでしょう。

<タケノとおはぎ 世田谷本店>
・住所:東京都世田谷区用賀3丁目5-6 アーニ出版ビル1階
・TEL:03-6805-6075
・営業時間:12:00~18:00
・定休日:月曜日・火曜日
https://www.instagram.com/takeno_to_ohagi
大切に味わいたい和菓子の逸品
せっかく手土産を持っていく機会なら、それをきっかけに話が弾むような手土産があれば、お相手との関係もさらに良くなるのではないでしょうか。
お店に行かないと買えない。素材にこだわった結果、賞味期限が短めということもあります。だからこそ、手土産として渡した際に、わざわざ用意してきてくれた、と印象に残ったり、和菓子に向き合って大切に食べてもらえたり、気持ちが伝わると思います。
和菓子店がまごころを込めて作った和菓子で、素敵なひとときを。
もちろん、ご自身の分も忘れずに(笑)。
※ 記事内の価格はすべて税込です。
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取材・文:鈴木皓大
編集:MaW
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