
東急病院は、1953(昭和28)年の開院以来、沿線のお住いの皆さまの健康と、東急グループ企業の社員・家族の健康を育むための地域に開かれた企業立病院として診療を行っており、2023年には創立70周年を迎えました。
2007年に大井町線・目黒線の大岡山駅上に移転後、駅直結という立地のもと、日常の外来診療から、救急や訪問診療、健康診断、人間ドックなどを提供し、地域の皆さまに身近な存在であるように努めています。
2020年は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、医療現場がかつてない対応を迫られ、東急病院でも医療物資の不足や感染管理への対応などに見舞われました。
本記事では、2020年当時の現場で何が起きていたのかを、2021年に作成した記事をもとに、病院スタッフの声を通してお伝えします。
※新型コロナウイルス感染症への各種対応は当時のものとなり、現在とは異なりますので、あらかじめご了承ください。
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【写真中央】東急(株) 東急病院 呼吸器内科 橋本 直方医長
東京都出身。昭和大学医学部卒。昭和大学医学部第一内科学教室(現内科学講座呼吸器・アレルギー内科学部門)入局。昭和大学病院、国立(現国立病院機構)相模原病院、菊名記念病院、小田原市立病院、昭和大学横浜市北部病院などを経て2015年に東急病院着任。当院にて感染管理を担当。趣味は鉄道グッズ収集。
【写真右】東急(株) 東急病院 入院病棟 渋谷 由紀子看護師長
北海道出身。2006年入社。2012年より師長として病棟を担当。趣味は、美味しい物を食べる事。
【写真左】東急(株) 東急病院 管理部 原 寛一課長
宮城県出身。1996年入社後にホテル事業、経営企画、ケーブルテレビ事業、電力小売事業を歴任。趣味は料理、野球観戦。
※学校名、役職名は、2021年時点のものを使用しています。
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企業立病院として、地域と社員の健康を守る
——東急病院は昭和28年に開院したそうですが、東急の企業立病院として大切にしてきたことを教えてください。

橋本医長:当院は企業立病院として設立されましたが、開院当初から東急グループ関係者だけでなく、地域のみなさまにもご利用いただける病院として営業してきました。現在もその姿勢は変わらず、また、大岡山駅直結という立地もあり、地元の方だけでなく、遠方から通ってくださる方もいらっしゃいます。
また、いまは従業員の健康も企業の状態を評価する指標として見られるようになりましたが、健康診断などを通して東急グループの健康経営に貢献してきたと自負しています。
緊急事態宣言下、病院が直面した現実
——2020年4月、1回目の緊急事態宣言が発出された際、院内はどのような状況だったのでしょうか。
橋本医長:感染症診療と感染制御を二つの柱とし、その上で東急病院にかかわる方々の安全を守ることを大きな方針としました。
発熱した患者さんの受診は後を絶ちません。そこで外来では基本的に受け入れ制限を行わず、発熱した患者さんと一般の患者さんの動線を分けました。発熱症状のある患者さんはいったん隔離ブースへ案内し、そこで問診や検査などを行いました。
新型コロナウイルス陽性と診断され、入院が必要な患者さんについては、病棟のゾーニングなどの上、受け入れを行いました。
原課長:状況が日々変化する中で、迅速な判断が求められました。行政からの通知も頻繁に更新されるため、その都度、外来、入院、手術、透析などについて関係者で協議し、対応方針を決めていきました。
また、人間ドックや健康診断は感染拡大時には一時営業を休止し、再開にあたっては安全な受け入れ体制を整えることを最重要事項として進めました。

——職員の勤務体制や感染対策については、どのような工夫をされていましたか。
橋本医長:感染力の強いウイルスでしたので、「誰が感染してもおかしくない」という前提で対策を行いました。院内のレイアウトを見直して距離を確保するとともに、体調に変化があった場合には、速やかに相談・報告できる環境づくりを心がけました。
渋谷師長:感染疑いのある患者さんを受け入れる際には、通常より多くのスタッフが必要になります。一方で、現場に入る人数が増えるほど感染リスクも高まります。そのため、必要最低限の人数で対応できるよう、外来と病棟の間で相互に応援に入れる体制を整えていました。
橋本医長:結果として、職員の感染例はありましたが、院内での集団感染は起きませんでした。
ひっ迫する医療用物資と現場の工夫
——特に1回目の緊急事態宣言時には、防護具やマスク、消毒薬など、医療用物資の不足が問題になりました。現場ではどのような状況だったのでしょうか。

渋谷師長:新型コロナウイルスの感染が疑われる患者さんに対応する際には、医療用の防護具を着用する必要があります。しかし当時は、マスクや防護具が十分に確保できない状況でした。
コロナ禍以前は毎日交換していたN95マスク(高機能マスク)も、ウイルスが死滅するとされる5日間の期間を置いたうえで再利用していました。また、それ以外の場面では、20リットルのゴミ袋を切ってエプロンの代わりにするなど、現場で工夫しながら対応していました。当時、多くの病院がそうであったように、東急病院も現場の工夫で何とかしのいでいました。
原課長:防護具が不足する中で、まずは在庫状況を確認し、必要性の高い部署に優先的に配分しました。それでも十分とは言えず、医療用グローブについては、職員がホームセンターに出向いて購入することもありました。
そうした厳しい状況の中で、東急グループの各社から物資供給に関する情報を共有してもらい、何とか急場をしのぐことができました。
見えない敵との戦いをチームで乗り越える
——コロナ患者の受入状況についても教えてください。
橋本医長:コロナ感染が確定した患者さんや、感染疑いの患者さんを受け入れてきました。また、感染患者が急増した局面においては、より大きな病院から、回復しつつある患者さんの転院を受け入れることとしました。
——具体的には、どのような受け入れ体制をとっているのですか。
橋本医長:病棟内でゾーニングを行い、入院していただく形を取りました。スタッフの負担は大きかったと思います。

渋谷師長:コロナの患者さんと接する際には、防護具や高機能マスクを着用する必要があります。例えば、高齢で難聴の患者さんとお話しする場合は、どうしても大きな声で、長時間の会話になりがちで、その分、飛沫感染のリスクも高まります。
通常は看護師1人で4〜5人の患者さんを担当しますが、コロナ関連の患者さんについては、看護師2人1組の体制で対応しました。また、防護服を着用した状態で長時間対応することは負担が大きいため、1時間ごとに交代する体制をとっていました。
隔離エリアの清掃やシーツ交換についても、リスクを伴うため、看護師が担当しました。特に夏場は、防護服を着用したまま看護と清掃を行う必要があり、肉体的に非常に厳しい状況でした。

——非常に厳しい環境の中で、どのようにチームとして支え合ってきたのでしょうか。
渋谷師長:正解が分からない状況の中で、常に声をかけ合いながら、患者さんを守ることと、自分たち自身を守ることの両方を意識して対応してきました。
橋本医長:危機を乗り越えなければならないという共通の目標があったことで、職員同士の結束は強まったと感じています。限られた設備と条件の中で、集団感染を発生させることなく対応してきた職員を誇りに思いますし、心から感謝しています。

今後のワクチン接種の動きについて
——今後、ワクチン接種が本格化していきますが東急病院はどのような役割を担う予定ですか。
橋本医長:当院の職員に加え、近隣にある医療機関の職員の方々や患者さん、一般の方へも順次接種を行っていく予定です。具体的な日程は、ワクチンの搬入時期が決まり次第、順次ご案内することになると思います。
※ワクチンに関する内容は2021年時点のものとなり、接種体制や運用は現在と異なります。なお東急病院は地域の方への接種のみならず、東急グループ企業の従業員を対象にいち早く職域接種を実施し、2021年に約2万5千人の従業員に新型コロナウイルスワクチン接種を実施しました。
「私は大丈夫」ということは絶対にない

——最後に、日常生活を送るうえで、読者に伝えたいことがあればお願いします。
橋本医長:感染症は過度に恐れる必要はありませんが、正しく恐れて行動することが大切だと考えています。
渋谷師長:感染状況が改善されると、どうしても気持ちが緩みがちになりますが、常に感染に対する意識を持っていただけたらと思います。
<東急病院>
・住所:東京都大田区北千束3丁目27-2
・受付時間:平日 8:30〜11:00、13:00〜15:00 ※診療科・診療時間は曜日により異なります
・診療科:内科(消化器・腎臓・糖尿病・循環器・呼吸器)、外科(消化器・肛門・乳腺)、整形外科、泌尿器科、眼科、リハビリテーション科、皮膚科、耳鼻いんこう科、心療内科
・アクセス:目黒線・大井町線 大岡山駅(駅直結)
https://www.tokyu-hospital.jp/
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以上、本記事では、コロナ禍の東急病院で何が起きていたのかを、2021年の記事をもとにお伝えしました。これからも地域の皆さまの健康を支える身近な存在であり続けたいと願っております。引き続き、東急病院の活動にご関心をお寄せいただけますと幸いです。
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