
駅、電車と切っても切れない関係の駅そば。近頃は駅のホームに佇む立ち食いそば屋は少なくなってしまいましたが、改札内、駅ビル、そして駅の近くに駅そばは存在しています。駅そばには一家言あるという方も多いはず。駅そばはビジネスパーソンをはじめとした忙しい現代人の強い味方であり、ジャパニーズカルチャーなのではないでしょうか。
今回は、数ある駅そばの中でも東急線ユーザーにとって身近な「しぶそば」の魅力をお届けします。
しぶそばってどんなお店?
東急線沿線を中心に15店舗展開しているしぶそばは、東急線のソウルフードと言っても過言ではありません。物価高の現代でもまだまだリーズナブルな価格帯も魅力です。
東急線沿線で取材することが多い筆者は、もちろんしぶそばヘビーユーザー。例えば移動中の15分の空き時間。レストランやカフェに入ってゆっくりするには時間はないけど、何か食べておきたい。そんな時、しぶそばならサッと入って、パッと商品が出てきて、ズズッと食べて一息つけることが魅力だと感じています。

駅そばって立って食べるの?と思う方もいるかもしれませんが、しぶそばは全店舗に椅子席があるので、ゆっくり食事をすることができます。いくつかの店舗には立ち席があり、椅子席が空いているのにあえて立って食べる方もいるとか。もともと立ち食いそばの文化がある場所なので立って食べていても恥ずかしくありません。立ち食いをやったことがない方は経験してみるのも一興です。
また、かけそば、もりそばといったスタンダードメニューはもちろん、活発に新メニューも登場しています。さらに、しぶそばのかき揚げは季節ごとに種が変わり、あさり、枝豆、紅ショウガなど何度も食べたくなる工夫がされているのも魅力です。

しぶくまくんはSNS活動も活発で、Xでしぶそばについてポストすると気軽にお返事をくれたりするのが地味にうれしいポイント。筆者は、しぶくまくんグッズの再販をひそかに待っています。
ほかにもコラボメニューやイベントも豊富で、過去に行なわれたファンイベント「しぶそばナイト」は人気過ぎて抽選になるなど、ただの駅そば屋とは呼べないほどファンに愛されている駅そばチェーン店です。
15店舗展開するしぶそばは、全店同じメニューというわけではありません。店舗限定や少数店舗のみで食べられるメニューがあるので、今回は思わず行ってみたくなる3つの店舗を紹介します。
池上ならではの限定メニュー花巻そばとあんみつ

池上店には、地域と連携した限定メニューがあるのはご存じでしょうか?
ひとつめが「花巻そば」。かけそばに大きな海苔がドーン!とのった一品。冷たい花巻そばには、きざみ海苔がのっています。

花巻そばに使われている海苔は、池上にある老舗海苔問屋「米忠・並木園」の有明産の海苔を、厚さ・溶け具合など、そばにベストマッチするように開発したそうです。
パリパリのうちにちぎって食べてみると、これは高い海苔の味!
つゆに浸った海苔からは、磯の香りがふわっと立ちのぼり、食欲を刺激します。

少しずつ、ゆっくりと海苔を溶かしながら食べると絶品。
大判の海苔なので、海苔でそばを包むなど、いろいろな食べ方も試せるのが楽しいです。他のメニューにトッピングとして海苔をつけることもできるので、かき揚げそばや月見そばにつけてみるのも面白いかもしれません。

池上店の限定メニューのふたつめが「あんみつ」。池上本門寺の近くで自家製寒天を製造・販売している「村田商店」のものです。村田商店はイートインがないので、家まで待ちきれない!池上で村田商店のあんみつを食べたい!というわがままを叶えてくれます。
観光ついでにしぶそば 池上店に立ち寄ることで、さらに池上を満喫できるのではないでしょうか。

池上店は大きな窓から池上線を見下ろせるので、電車を眺めながらそばを啜るのも趣があります!
<しぶそば 池上店>
・住所:東京都大田区池上6-3-10(エトモ池上2階)
・TEL:03-6410-3331
・営業時間:平日7:00~21:00、土・日・祝日9:00~20:00、(L.O.閉店15分前)
・アクセス:池上線池上駅直結
しっかり食べたい方にオススメの綱島店の定食メニュー

定食メニューが食べられると聞いてやってきたのは、綱島店。天丼、かつ丼などは見かけますが、定食は珍しいかも。「そば屋の定食」ってワード、気になりませんか?

こちらは綱島店と大井町店のみで食べられる「生姜焼き定食」と「唐揚げ定食」。しぶそばで、そばを食べないなんて…と、後ろめたさを感じてしまいます。

唐揚げ定食と迷いましたが生姜焼き定食を注文。注文を受けてからフライパンに豚肉とたまねぎを投入し、最後に生姜を入れて炒めているのがポイントです。

一口食べてみると、生姜の風味がガツンと効いていて、ご飯が進む定食です。しぶそばだからこそ、生姜焼きのタレの隠し味にはそばつゆが使われているのかも…と思い店員さんに聞いてみたところ、実は使っていないとのこと。タレはお店で調理しているオリジナルという、手間暇がかかったメニューです。
定食は食べ盛りの若者など男性客に人気だそうです。ほかにも週末に家族で来店して、ママとお子さんはそば、パパは定食とビールを注文。なんて光景が見られているそうです。

そして綱島店には限定メニュー「宴会プラン」があります。そば屋で一杯、をしぶそばで叶えられる夢のプラン。2時間飲み放題で料理が8品。「〆のもりそば」が高ポイントです。こちらは要予約で、お一人様5,500円(税込)。つまり、ひとり飲みも可能ということです。

2階には宴会プランにぴったりな座敷席があります。ご家族でゆったり食事したいときにもうれしいですね。
宴会プランは事前に電話予約が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。
https://www.shibusoba.com/enkai
<しぶそば 綱島店>
・住所:神奈川県横浜市港北区綱島西1-1-31
・TEL:045-633-7708
・営業時間:平日7:00~22:00、土10:00~21:00、日・祝日10:00~20:00、(L.O.閉店15分前)
・アクセス:東横線綱島駅から徒歩約1分
一度は行っておきたい渋谷の本家しぶそば

2025年にオープンした「本家しぶそば 渋谷道玄坂店」。
こちらは、もともと渋谷駅にあった本家しぶそばが2020年9月に閉店したのち、5年の時を経て道玄坂に場所を変え復活した店舗です。
ここで、かつて渋谷駅2階にあった旧本家しぶそばについて紹介させてください。しぶそば好きにとって、味はもちろんですが、すごすぎて笑ってしまうような特徴があったことが根強いファンを生み出してきたと考えられます。それが驚異的な速さのオペレーション。
入口で注文すると、店員さんが厨房へつながるマイクで注文を読み上げます。会計を済ませてコップにお水を汲んで、空いている席に着いた瞬間に店員さんが「お待たせしました!」とお盆を持って立っている。この洗練されすぎた提供オペレーションには感動を覚えたものです。

実は、筆者は当時の思い出が上書きされてしまうことを恐れて、本家しぶそば 渋谷道玄坂店にまだ足を運んでいなかったのです。しかし、6年の時を経て、今回の取材のために「本家しぶそば 渋谷道玄坂店」と向き合うことになりました。


まずは入り口横のレジで注文。マイクで注文を読み上げてくれます。マイクがあるのは本家しぶそば 渋谷道玄坂店と二子玉川店のみ。しぶそばならではの光景なので、ぜひ体験してみてください。せっかく本家に来たので、かき揚げそばとさばコロッケを注文。渋谷道玄坂店は1階席と2階席がありますが(時間帯によって1階席のみ開放)、あるものを拝むために2階席へ。

あるものというのがこちら。旧店舗から一緒に引っ越してきたという木製の看板。何度この下をくぐったかわかりません。懐かしすぎて思わず手を合わせたくなります。
2階席は1階の厨房からエレベーターで料理が運ばれてくる仕組みになっています。
案内板に番号が表示されて料理を受け取ります。

まずはかき揚げそばをひと啜り。こ、これは紛れもない本家しぶそばのかき揚げそば!あの頃の記憶がよみがえるこの味こそ、筆者が求めていたかき揚げそば!6年ぶりの再会にちょっと泣きそうになりました。
もちろんほかの店舗でかき揚げそばを食べていますが、本家はやっぱり違う!ずっしりと重みを感じるどんぶり、かき揚げの油が溶けたつゆの旨味、鼻に抜ける香り。どれもたまりません。
食べ終わった後に店長さんに「やっぱり本家は味が違いますね!」と話したところ、「どの店舗も味は一緒ですよ?」とのこと。そんなはずはない。ほかの店舗のかき揚げそばもおいしいけど、本家は絶対に味が違う。
本家は取り扱いメニューと価格が違いますが、作り方は同じ。違いがあるとすれば、本家のそばは少し量が多いため、ほかの店舗で大盛の際に使うどんぶりが通常サイズとして提供されているそうです。また、どんぶりも材質が変わっているそう。もしかしてジュースがビンとコップで味が違うように感じる、口当たりの違い説かも。
ほかに思いつくのは、そば・つゆ・かきあげの割合が違うという仮説ですが、ほかの店舗でも大盛のかき揚げそばを頼めば、割合が変わって本家と同じ味わいになるかもしれません。
ちなみに、公表しているわけではないですが、しぶそばは2つの製麺所からそばを仕入れているそうです。この「そば」の違いに気づくお客さんもいるとか。筆者は全く気づいていませんでした(笑)。

そして、ここでしか食べられないメニューのひとつが、和歌山県日高町発祥の「さばコロッケ」。さばの旨味がギュッと詰まったコロッケです。そのまま食べてよし。卓上のソースをかけてもよし。そばにダイブさせてもおいしい!半分はそのまま食べて、もう半分はつゆに浸して食べました。サバとカツオ、海のもの同士相性はばっちり。やみつきになる味です。
ちなみに本家しぶそばではコロッケそばが、さばコロッケそばとなります。ほかにも「究極おかか飯」や「オールスター天丼」など独自のメニューもあるので、何度も通いたくなりますね。

食事を終えてお店を出ようとしたところ、階段の上に「しぶくまくん」のぬいぐるみを発見。なんだかお見送りされている気分になれます。
<本家しぶそば 渋谷道玄坂店>
・住所:東京都渋谷区道玄坂2-9-10
・TEL:03-6455-1231
・営業時間:平日8:00~23:00、土・日・祝日9:00~22:00(L.O.閉店30分前)
・アクセス:田園都市線・東横線渋谷駅から徒歩約1分
愛すべき東急線のソウルフード
今回取材をしてみて、よりしぶそばを知ることができて改めていいお店だな、と感じました。初めての方もおなじみの方も、しぶそばに行きたくなってきましたか?
最後に本家しぶそば 渋谷道玄坂店の店長、高砂さんよりメッセージをいただきました。
「しぶそばでは、季節限定メニューや店舗限定メニューをはじめ、定番のおそば・うどん・丼ものなど、その日の気分に合わせてお楽しみいただける豊富なメニューをご用意しております。これからも東急線をご利用のお客様の日常に寄り添う駅そばとして、愛されるお店を目指してまいります」
しぶそばはメニューが豊富で何回行っても楽しめるお店。特別なご馳走ではないかもしれませんが、いつもそこにあって、お客さんに寄り添ってくれるからこそ、愛すべき駅そばであり、東急線のソウルフードなのです。東急線でお出かけの際にはぜひ、しぶそばという選択肢を思い出してください。
最後に、“しぶそばあるある”をひとつ。
「卓上七味が思ったより出がち」
常連の方は深く頷いてくれたかと思います。思ったより出がいい容器なので、ご家庭の七味のノリで振ると真っ赤になってしまいますよ!ここはひとつ、明日のランチをしぶそばにして、確かめてみてください。
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取材・文:鈴木皓大
編集:MaW
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