植物はさまざまな生き物たちの生命を支えるだけでなく、人の心を癒やして気持ちをなごませてくれます。昔から季節ごとの草木や花々などを楽しむ文化がある日本では、人々の生活にとって身近な存在。

季節の花が咲きほこる庭園や、植物についていろいろな角度から学べる植物園など、植物に親しめる施設も多数あります。そこで、今回は東急線沿線のおすすめの植物園をご紹介します。

日本で一番小さな植物園「渋谷区ふれあい植物センター」

渋谷駅から徒歩約12分、渋谷のまちの喧騒から少し離れたところに建つ、日本で一番小さな植物園が「渋谷区ふれあい植物センター」です。

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2023年にリニューアルした建物は全部で4フロア。1階はショップやシアター、ガーデンなど、2階はカフェやイベントルームなど、3階は多目的なホールスペース、そして4階には屋上ファームがあり、小さいながらも見どころが盛りだくさんです。

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1階の入り口を入り中へ進むと、広々とした吹き抜けの空間「ガーデン」です。窓ガラスからは明るい光が差し込み、バナナやマンゴー、ライチなどの熱帯果樹が栽培されています。

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ガーデンで栽培されているバナナ

そこから奥の壁の方に向かって行くと、太陽光と土の代わりにLEDと水で栽培する「水耕栽培室」があります。ここで育てているのはレタスやルッコラなどのサラダ野菜。食べることができる植物を育てているのがこの植物園の大きな特長です。

普段スーパーなどで並んでいる野菜や果物が、どのように育っていくのかを興味深く観察することができるので、子どもの学習にもぴったり。

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「水耕栽培室」ではサラダ野菜が栽培されています

また、水耕栽培室で育てた野菜を2階のカフェで味わうことも。カフェにはサラダのほかにも、有機野菜を使ったピッツァや有機フルーツを使ったジュース、お茶やコーヒー、アルコールドリンクなど、大人も子どもも楽しめるメニューがそろっています。

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開園時間は10時から21時まで(入園は20時30分まで)、カフェも21時まで(フードのラストオーダー20時、ドリンクのラストオーダー20時30分まで)営業しているので、仕事の帰りに立ち寄れるのが嬉しいですね。緑に囲まれてリラックスできる時間を過ごせそう。日常の延長にちょっと立ち寄れる、そんな気軽さも「渋谷区ふれあい植物センター」の魅力です。

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また、ここで使用する電力は、向かいに位置する渋谷清掃工場においてごみを焼却する際に発生する熱を活用して発電した電力を利用しているとのこと。地球環境にもやさしい植物園です。

<施設情報>
・住所:東京都渋谷区東2-25-37
・開園時間:10:00〜21:00まで(入園は20:30まで)
・休園日:月曜日(祝日または振替休日の場合は翌平日)
・入園料:小学生以上/100円(税込)※未就学児は無料
※屋上ファームはイベント時のみ入場できます。
https://sbgf.jp/

薬に使われる植物を学べる「星薬科大学 薬用植物園」

星薬科大学は、池上線の戸越銀座駅から徒歩で約8分、目黒線の武蔵小山駅からは徒歩約15分(大学の正門まで)の場所にあります。大学の敷地内で、医薬品に使われるさまざまな植物を収集・栽培しているのが「星薬科大学 薬用植物園」です。

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1941年に星薬学専門学校(星薬科大学の前身)の開校とともに設置された薬用植物園は、現在も学生が薬学を学ぶための教材として使用されています。また、都心にはこのような施設があまりないことから、学外の方にも無料で開放されています。

大学正門横の警備室で薬用植物園の見学を申し出て、そのままイチョウ並木を進むと右手に見えてくるのが「星薬科大学 薬用植物園」の入り口です。

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約3,000平方メートルの広さがある薬用植物園には、薬用を中心とした有用植物が約800種類も栽培されています。園内は「樹木園」「水生植物園」「標本園」「野草園」「温室」などに区分けされていて、よく知られている民間薬や漢方薬、医薬品の原料となる植物など、普段なかなか見ることができないような珍しい植物も見学できます。

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薬に使われるものだけでなく、有毒植物や、染料・食用に用いられる植物、スパイスの原料となる植物などもあるそうです。

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バニラの花。甘い香りは果実のもので、花には匂いがない

栽培されている植物にはいずれもラベルがつけられていて、植物名や薬効・成分などが紹介されているので、それを見るだけでも勉強になりますね。

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星薬科大学では、一般市民を対象とした「講演会」や「薬草見学会」も実施しているそうなので、興味がある方は参加してみてはいかがでしょうか。詳細は星薬科大学の公式サイトでご確認ください。

<施設情報>
・住所:東京都品川区荏原2-4-41
・開園時間:平日 9:00~16:30、土曜 9:00~12:00
・休園日:日曜日・祝祭日、大学の休暇期間、入学試験等大学の定めた日
・入園料:無料
※学外の方は大学正門横の警備室に見学の旨申し出てください
https://www.hoshi.ac.jp/gaiyou/medicinal-plant-garden/

都市砂漠の中のオアシス「国立科学博物館附属自然教育園」

目黒線目黒駅の正面口(中央口)から徒歩約9分のところにある「国立科学博物館附属自然教育園」。約20万平方メートルもの広さをほこるこの植物園は、今から400〜500年前には豪族の館、江戸時代には高松藩主の下屋敷、明治時代は陸・海軍の火薬庫、という歴史を経てきました。

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その後、大正時代には宮内省帝室林野局の所管の「白金御料地」となり、1949年に「旧白金御料地」として天然記念物および史跡に指定されてからは国立自然教育園として広く一般に公開され、1962年に「国立科学博物館附属自然教育園」となり現在に至っています。

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江戸時代の面影を伝える「物語の松」

園内にはイヌシデやケヤキなどの落葉樹、カシ類・マツ類などの常緑樹が広がります。ススキやヨシの草はら、池や小川などもあり、自然を活かした整備がされています。

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山野の道ばたに生育する野草類が見られる「路傍植物園」や、池や湿地に生育する多様な植物が見られる「水生植物園」、武蔵野の草原や雑木林の面影が残る「武蔵野植物園」など、生育環境ごとにさまざまな植物を見ることができます。

また、園内では定期的な毎木調査や生物相調査などが行われていて、1,473種の植物のほか、約2,130種の昆虫、約130種の鳥類が記録されているとのこと。「水生植物園」ではメダカなどの魚や、カルガモやアオサギ、カワセミなどの野鳥が、「武蔵野植物園」では野鳥のシジュウカラがよく見られるそうですよ。チョウやトンボなどの昆虫もいろいろな種類が見られるようです。

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園内ではカワセミが見られることも

さまざまな展示やイベントも開催されており、中でもおすすめなのは、土日を中心に開催されている「自然教育園ツアー」。個性あふれるガイドボランティアと一緒に園内を回り、楽しみながら自然観察ができます。

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ガイドボランティアと一緒に園内を回る「自然教育園ツアー」

四季折々で多彩な風景や生き物が見られるので、参加するたびに感動の瞬間や新しい発見があるのではないでしょうか。

<施設情報>
・住所:東京都港区白金台5-21-5
・開園時間:9月1日~4月30日/9:00~16:30、5月1日~8月31日/9:00~17:00 ※入園は16時まで。
・休園日:毎週月曜日 (ただし、祝日・休日の場合は開園し、火曜日が休園)、祝日の翌日(ただし、土・日の場合は開園)、年末年始(12月28日~1月4日)
※上記の休園日でも臨時に開園することがあります。
・入園料:一般・大学生/320円(税込・現金のみ)
※65歳以上の方および18歳未満の方(満18歳に達する日以降の最初の3月31日までの方を含みます)は無料です。年齢が分かる証明書等を提示してください。
※ 5月4日(みどりの日)、5月18日(国際博物館の日)および11月3日(文化の日)は入園料が無料です。
https://ins.kahaku.go.jp/

馴染みのある植物たちを深く知る「横浜市こども植物園」

横浜駅からバスで30〜40分ほどのところに、「横浜市こども植物園」があります。

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1979年に国際児童年を記念して、小麦の研究で著名な植物遺伝学者の木原均博士の研究所の跡地に開園しました。

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約3万平方メートルの広さの園内には、2020年にリニューアルして約150種類300株のバラが植栽された「クラシックローズガーデン(バラ園)」や、柿、ぶどう、柑橘類など馴染みのある果物が栽培されている「くだもの園」、さまざまな種類の竹や笹などが植栽された「竹園」など、多種多様な植物が展示されています。

横浜の開港150周年記念のバラ「はまみらい」や、エジソンが電球を作った時に使った京都のマダケ、横浜の名前がつけられたササのヨコハマダケなど、横浜にちなんだ植物が多く展示されている点にも注目です。

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明るいサーモンピンクのバラ「はまみらい」

「くだもの園」に植栽された柿は、最も古い品種で神奈川県産の「禅寺丸」をはじめ約100種を一堂に集め、植物園では全国一の柿コレクションとなっているそう。

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季節を通じて多彩な花々を観賞できる「花木園」や「アジサイ園」、秋には美しい紅葉が見られる30メートル以上の高さのメタセコイアの並木など、季節ごとに見どころがあり、何度も訪れたくなります。

園内28か所に植物クイズパネルが設置されているほか、展示研修館では企画展が定期的に開催、さらに体験しながら自然と親しめる子ども向けの講座も開講されているので、子どもたちは楽しみながら植物について学ぶことができます。

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ガーデニング教室やフラワーアレンジメント教室などの大人向けの講座もあるので趣味の学びを深めたい方にもおすすめですよ。また、庭木・花木から野菜作りなど、植物全般に関する質問ができる「緑の相談所」が併設されています。

<施設情報>
・住所:横浜市南区六ツ川3-122
・開園時間:9:00~16:30
・休園日:毎月第3月曜日(休日の場合は、翌日)、12月29日~1月3日
・入園料:無料
https://www.hama-midorinokyokai.or.jp/kodomo/

圧巻のバラの風景を堪能する「横浜イングリッシュガーデン」

横浜駅西口のりそな銀行前から無料送迎バスが出ている「横浜イングリッシュガーデン」は、約2,200品種のバラを中心に、横浜の気候風土にあった草花や樹木を育てている英国式庭園です。

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バラには、春のみに咲く「一季咲き」と、一定の気温以上で繰り返し咲く「四季咲き」がありますが、この庭園では特に香り高い四季咲きのバラをふんだんに使っていて、春から秋までバラを楽しむことができます。特に4月下旬~5月中旬頃が、バラが最も美しく咲く見頃のピークです。

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「ローズ&クレマチスガーデン」

庭園内にはワイン・レッドやパープル、ダーク・マルーンのバラを主役にクレマチスなどを組み合わせたシックな印象の「ローズ&クレマチスガーデン」、白バラを主役に白色の宿根草などを組み合わせたピュアな印象の「ローズ&ペレニアルガーデン」など、趣の異なる6つのガーデンがその美しさを競い合います。

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「ローズ&ペレニアルガーデン」

バラの種類によって放つ香りも異なり、「ローズ&クレマチスガーデン」ではダマスク系の香り、「ローズ&グラスガーデン」ではスパイス系やティー系の香りが楽しめます。

ぜひ一度は訪れていただきたいのが5月中旬頃。庭園入り口からおよそ50メートルにおよぶ「ローズトンネル」が見頃を迎えます。つるバラを這わせた大型アーチがいくつも連なり、一面バラに囲まれる圧巻の風景は、まるで物語の世界に迷い込んでしまったかのような幻想的な美しさです。

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「ローズトンネル」

また、アジサイのディスプレイや、クリスマスやハロウィンなどの季節のイベントのディスプレイの展示など、バラ以外の見どころもたくさんあります。

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そのほか、バラの育て方を学べるバラ育成講座「ローズカレッジ」なども開催されているので、知的好奇心も満たしてくれます。

バラを心ゆくまで堪能したら、庭園に併設のカフェでローズティーやバラにちなんだスイーツをいただくのはいかがでしょうか。ショップではバラに関する小物や雑貨、お菓子やローズティーなどが購入できるのでお土産にもおすすめです。

<施設情報>
・住所:横浜市西区西平沼町6-1 tvk ecom park
・開園時間:3月~11月/10:00~18:00(最終入園17:30)、12月~2月/10:00~17:00(最終入園16:30)
※庭園内のショップ・カフェの営業時間:3月~11月/10:00~18:00  12月~2月/10:00〜17:30(「横浜イングリッシュガーデン」に入園せずショップ・カフェだけの利用も可能)
※自然美を尊重するため庭園内には外灯を設置していませんので、営業時間内であっても日没後はご覧いただけません。
・休園日:年末年始(メンテナンス等により臨時休園する場合あり)
・入園料:時期により異なります。公式サイトにてご確認ください。※未就学児は無料
※無料送迎バスは毎週水曜日運休となります(祝日の場合は運行)。混雑時は定員に達し乗車できない場合があります。運行ダイヤは公式サイトにてご確認ください。
※バスの所要時間は時間帯や交通状況により異なります。
https://y-eg.jp/

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今回はおすすめの植物園を5つご紹介しましたが、気になる施設はありましたか。
身近な自然を見つめ直して新たな発見をしたり、趣味や興味の学びを深めたり、草花や木々の美しさに感動を覚えたり、さまざまな楽しみがある植物園は休日のおでかけにもぴったりです。みなさんもぜひ、訪れてみてはいかがでしょうか。

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取材・文:古川なおみ(東急公式サイト編集部)

掲載店舗・施設・イベント・価格などの情報は記事公開時点のものです。定休日や営業時間などは予告なく変更される場合がありますのでご了承ください。

東急公式サイト編集部

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