
こんにちは。東急公式サイト編集部です。
今回訪れるのは、池としては23区内屈指の広さをほこり、日蓮上人や源頼朝、勝海舟といった歴史に名を刻んだ人物と深いかかわりがある「洗足池公園」。知る人ぞ知る歴史スポットを巡りながら、洗足池公園とその周辺の魅力をお伝えします。
日蓮上人ゆかりの「洗足池」と、歴史を伝える松がある「御松庵 妙福寺」
「洗足池」は周辺の湧き水や雨水などをせきとめた池で、かつては「千束郷の大池」と呼ばれていました。「洗足池」と呼ばれるようになったのは、鎌倉時代、日蓮宗の宗祖として知られる僧侶・日蓮上人が常陸国に向かう途中で立ち寄り、 “池で足を洗った”伝承が後年伝わったことからだそうです。その折に日蓮上人が袈裟をかけた伝承のある「袈裟懸(掛)(けさがけ)の松」があるのが「御松庵 妙福寺」です。



奥に進むと、しめ縄が張られたご霊木の松の木を発見。これが日蓮上人の「袈裟懸(掛)の松」伝承地です。ただし、残念ながら日蓮上人の松は古松だったため現存しておらず、世代を超えて受け継がれた松の木が当時の面影を残しています。




美しい竹林と緑に包まれた「御松庵 妙福寺」。日蓮上人ゆかりの松がある境内は、すごくゆったりとした時間が流れていました。寺院内を散策した後は、池のボートに乗って、寺院を外から眺めてみるのもおすすめです。
■洗足池公園
住所 東京都大田区南千束2-14-5
TEL 03-3726-4320(大田区地域基盤整備第三課)
営業時間 24時間
定休日 なし
URL https://www.city.ota.tokyo.jp/shisetsu/park/senzokuike.html
■御松庵 妙福寺
住所 東京都大田区南千束2-2-6
TEL 03-3729-2338
営業時間 5時~17時
定休日 なし
URL http://www.tokyonanbushumusho.com/m/mobile_jiin.php?targ_jiin=s_myofukuji
江戸無血開城の功労者「勝海舟」の足跡をたどる「勝海舟記念館」
次のスポットは洗足池駅から徒歩6分ほど、「御松庵 妙福寺」の山門前の道を進んだ先にある「大田区立勝海舟記念館」です。文政6年(1823年)に江戸で生まれた勝海舟は、幕臣として「咸臨丸」で渡米して日本海軍の基礎を築き、慶応4年(1868年)には「江戸無血開城」を実現させました。勝海舟も洗足池にゆかりの深い人物で、新政府軍の本陣が置かれた池上本門寺へ向かう途中に立ち寄った洗足池の風景を気に入り、池のほとりに別荘「洗足軒」を設けました。

「大田区立勝海舟記念館」は、図書館機能と講堂での講義を目的とした施設であった旧清明文庫を改修し、2019年に開館しました。1階には4つの展示室とミュージアムショップ、2階には2つの展示室があり、勝海舟ゆかりの品なども多数展示されています。建物自体は補修を繰り返し行っているものの、当時の意匠や建具などは保存状態も良く、昭和初期の建築様式の美しさを現代に伝える貴重な歴史的建造物にもなっています。

「勝海舟記念館」の1階では、勝海舟が訪れた日本の各地をタッチパネル付きのモニターで紹介する「全国行脚」という展示室や、実際の資料をもとに勝海舟の一生をたどれる「海舟クロニクル」などがあります。入館料は一般300円、小中学生100円です(いずれも税込)。




続いて、建物の2階へ上がると、正面に清明文庫の時代に使われていた「貴賓室」を復元した展示室があります。漆喰で塗り固めた天井や木材を組み合わせた寄せ木張りの床など、当時の意匠を垣間見られる貴重な空間です。






■大田区立勝海舟記念館
住所 東京都大田区南千束2-3-1
TEL 03-6425-7608
営業時間 10時~18時 (入場は17時30分まで)
定休日 毎週月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始、臨時休館日
URL https://www.city.ota.tokyo.jp/shisetsu/hakubutsukan/katsu_kinenkan/index.html
勝海舟夫妻が眠る墓所には、同志・西郷隆盛をしのんだ碑も
「勝海舟記念館」の近くには、勝海舟夫妻が眠る墓所もあります。記念館で彼の生涯や功績をしっかり学んだ後は、勝海舟のお墓も訪問してみましょう。勝海舟は、明治32年(1899年)に数え年77歳でこの世を去り、彼の遺言によってこの地に葬られたそうです。



勝海舟は生前にこの地に墓を建てることを決めた際に、墓の形状まで指示したそうです。その6年後に勝海舟の妻である民子(たみこ)も逝去し、一度別の墓地に埋葬されたそうですが、改葬によって現在の地に移されたとのこと。

また、墓所内には勝海舟が「江戸無血開城」以来、親交を深めた新政府側の要人・西郷隆盛の死を悼み、彼の詩とその筆跡を残すために自費で建てたという碑もあります。

勝海舟とともに「江戸無血開城」を実現させた西郷隆盛ですが、明治10年(1877年)に自らが兵を率いた西南戦争に敗北し、非業の死を遂げました。幕府側と新政府側という立場をこえて、歴史的な和平交渉を成功させた盟友だった勝海舟と西郷隆盛。この碑をじっくり見ていると、同志を失った勝海舟の悲しみの深さがひしひしと伝わってきます。
■勝海舟夫妻墓所
住所 東京都大田区南千束2-14-5 洗足池公園内
URL https://www.city.ota.tokyo.jp/shisetsu/rekishi/yukigaya_senzoku/katsukaishuu_bosho.html
源頼朝の愛馬・池月の伝説が残る「千束八幡神社」
勝海舟のお墓を訪問したら、再び「洗足池公園」に戻り、今回ご紹介する最後の歴史スポットへ。ここまで紹介したスポットは洗足池の東側にあるのですが、もうひとつは池の西側にあります。せっかくなので、池の周囲を散策しながら向かいましょう。


ここは、鎌倉幕府を開いた源頼朝にゆかりがある「千束八幡神社」です。1180年に源氏再興のため挙兵した源頼朝は、石橋山の戦いに敗れた後、鎌倉へ向かう途中に、洗足池で宿営したと言われています。そして、ちょうどこの神社があるあたりで戦勝祈願をしたということから、「千束八幡神社」は“旗挙げ八幡”とも呼ばれています。


また、「千束八幡神社」には源頼朝の愛馬・池月の伝説も語り継がれています。源頼朝が洗足池で宿営した際に、突如、目の前に青い毛並みに白い斑点のある野馬が現れ、天地をゆらすほどの声で嘶いたそう。その野馬を一目で気に入った源頼朝は、池に映る月影のような馬の文様から「池月」と名付けたそうです。




日蓮上人ゆかりの松から源頼朝にゆかりのある神社に愛馬・池月、さらには幕末から明治までを駆け抜けた勝海舟や西郷隆盛など、周りに歴史スポットがぎゅっと詰まった「洗足池公園」。その景観の美しさは時代を越えて、時の浮世絵師の心を動かし、多くの偉人に愛されてきました。そんな歴史に思いを馳せながら、のんびりと散策できるスポットです。
■千束八幡神社
住所 東京都大田区南千束2-23-10
TEL 03-3727-7584
営業時間 9時〜16時
定休日 なし
URL http://www.tokyo-jinjacho.or.jp/ota/5395/
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取材・文:TAKEKO(東急公式サイト編集部)
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