
全国初の、ジャンクションの屋上公園として2013年に開園した「目黒天空庭園」。ループするジャンクションそのままの敷地形状が、とても個性的な都市公園です。
要塞のような高い外壁を見上げると、まるで中世ヨーロッパのコロシアム。園内の展望台から見晴らせば、緑をトッピングしたドーナツが空に浮かんでいるような姿。公園としてだけでなく、構造物としても一見の価値があります。通りかかるたびに気になっていた、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな都会の“天空”で、ぶどうや野菜が育てられていると聞き、訪れてみました。
首都高「大橋ジャンクション」の屋上

田園都市線「池尻大橋駅」のほど近く。周辺のマンションやオフィスビルとは一線を画す、とても目を引く構造物があります。首都高速道路の3号渋谷線(地上約35m)と山手トンネル(地下約35m)という、高低差のある2つの道路を接続する「大橋ジャンクション」です。
ジャンクション自体は、上り下り交互に4層のループ構造となっています。この一周約400m、約175m×約130mの楕円の屋上に広がるのが、「目黒天空庭園」。今回は、東~南~西と中断することなく散策できる屋上ループを中心に歩いてみました。
再開発によって生まれた、まちの顔

「目黒天空庭園」は、地域住民や東京都、首都高速道路、そして目黒区の4者が協働する「まち・みち・再開発一体型プロジェクト」の中で誕生したスポットです。
“緑の多い施設を”という地元の要望を受けて、別名は「大橋グリーンジャンクション」。都会の真ん中で、さまざまな条件を満たした結果が、この個性的な構造物なのです。道路として、公園として、街づくりとして2013グッドデザイン賞や土木学会デザイン賞2015など数々の賞を受賞しています。
ちなみに、「大橋ジャンクション」が誕生する前、この場所は東急バスの操車場で、さらにその昔は“玉電”の車庫だったということで、東急とのご縁が深い場所でもあります。
特徴は、“リング形状”と“高低差”

地上部分の高低差は約24m。複数の出入口のうち最も高いところは、一体開発された高層建物の9階で、「大橋図書館」などの目黒区立施設と接続しています。この出入口のすぐそばには展望台「富士見台」が設置されており、その名の通り、天候や時間によって富士山が望めます。
庭園の全景に目を移すと、結構な高低差!とはいえ、歩いてみるとそれほどキツさは感じません。勾配は約6%、園内に自転車は入れませんが、もしも自転車ならサドルに座った状態で上っていけるくらいの緩やかさです。
展望台から管理棟まで、歩いてみました














“収穫”を楽しめるコミュニティスペース

「コミュニティスペース」は庭園の西側。暮らしの中で親しまれている花木、野菜、つる植物、実のなる柑橘類などが植栽されています。主にボランティアグループの「目黒天空庭園栽培ガーデニングクラブ」が活動するゾーン。きれいに整った花壇や畑を見れば、充実した活動であるのは容易に想像できます。土に触れる時間は無心にもなれそうです。
「目黒天空庭園」は、その誕生から運営まで多くの地元の方が関わっています。「NPO法人大橋エリアマネジメント協議会」が橋渡し役で、毎年「収穫祭」や「桜まつり」、お子さまにうれしい「収穫体験」などを企画しています。通りがかりの方から“収穫祭が楽しみ。今年はいつ?”と、ボランティアの皆さんにお声がかかるなど、イベントも定着しているようです。



ワインをつくる「目黒天空庭園栽培ガーデニングクラブ」

毎月第2・第4土曜日に定期活動している「目黒天空庭園栽培ガーデニングクラブ」。代表の高橋さんに、お話を伺いました。
「『目黒天空庭園』の畑は私たちが管理していますが、地域みんなの畑です。家のそばで土に触れ、植物の成長を感じることのできる体験は都会では特に貴重。自身で育て、収穫したものは味も格別です。また、ここの目玉は、やはり開園以来の“ぶどう棚”。マスカット・ベーリーAという赤ワインに適した品種で、収穫祭に向けて毎年、300本のワインを醸造しています。代表として10年になりますが、限られた環境の中で毎年さまざまな苦労があり、それさえも楽しいです」とのこと。
足りないぶどうや醸造については山梨県甲州市勝沼のワイナリーの協力を得ており、「いつか100%目黒天空庭園産のぶどうで」という目標は、クラブメンバーみなさんの想いです。
ご近所の方、“ぶどう”を目当てに、同僚に誘われて、と入会理由はさまざまですが、メンバーのみなさんが植物と向き合う姿は一様に楽しそう。今年のワインの仕込み、花壇や畑の状況などを、作業前の定例会議や休憩時に話し合います。休憩ではなんと、採れたて野菜がお茶請け。日差しの下での作業後、何より勝るお味ではないでしょうか。





<目黒天空庭園栽培ガーデニングクラブ>
・活動内容:ぶどうの栽培、ワインイベント、無農薬野菜の栽培、収穫還元、ボランティア清掃・除草
・活動日:第2・第4土曜日 9:30~(夏季など天候等により9:00~の場合もあります)
・年会費:1,000円(税込/2026年度時点)
・お問い合わせ:現地で直接活動をご確認のうえ、お声がけください。または目黒区役所道路公園課(03-5722-9242)を経由してお問い合わせください
・イベント告知・ワインの予約などはこちら(NPO法人大橋エリアマネジメント協議会)
https://machi-oohashi.net/
楽しみ方自在な都会の緑を訪ねて

渋谷からひと駅。田園都市線池尻大橋駅より徒歩約3分という都会で、今回は「空」と「緑」と、「土」を感じる散策が満喫できました。多くの花木が届ける季節を見つけに出かけるのはもちろん、中目黒駅からも徒歩20分ほどなので目黒川散策の目的地のひとつに、グルメを堪能した後の腹ごなし散策にと、気軽な立ち寄りにおすすめの場所。お近くなら、四阿やベンチでランチを広げるのもいいでしょう。車も自転車も目に入らない、なだらかな散歩道は空も広く、心が落ち着く景色です。






地上から見る9階分の壁の高さは壮観。壁内の「オーパス夢ひろば」は約3,000平方メートルの広さがあり、一般利用のほか団体予約や夜間(有料)利用ができます。訪問日も、サッカー練習をするキッズたちが頑張っていました。開園時間や利用ルールが庭園とは異なりますのでご注意ください。
なお、換気所屋上にも緑が見えますが、こちらは首都高が整備する自然再生緑地「おおはし里の杜」です。目黒川を軸としたエコロジカルネットワークの拠点になっていて、生き物への配慮等のため一般公開は年に数回。地域の小学生が稲作体験をしたりしているそうです。
このほか、「目黒天空庭園」の利用ルールは以下の通り。ルールを守って気持ちよく利用したいですね。
- 目黒天空庭園の利用ルール
- 園内禁煙
- いきものの採取/損傷禁止
- 自転車走行禁止
- スケートボード使用禁止
- 火の使用禁止
- 夜間/早朝の騒音注意
- ゴミは持ち帰り(ゴミ放置禁止)
- ペットの利用ルール
- ペットと一緒に利用できるのは園路のみ
- 引き綱をつける(フリーリード不可)
- フンは持ち帰る
- ペットの直接的な水飲み使用禁止
- エレベーター利用時はペットを抱える
- ペットお散歩登録証を見えるように携帯する
※ペット同伴で利用する方は、目黒天空庭園管理棟で「ペットお散歩登録」をして、ルールを守ってご利用ください(お散歩登録証の有効期間は、登録した年の翌年12月末まで。有効期間が過ぎた場合は再度登録手続きが必要です)
<目黒天空庭園>
・住所:東京都目黒区大橋1-9-2
・アクセス:田園都市線池尻大橋駅より徒歩約3分
・TEL:03-3464-1612(音声自動案内電話)
・開園時間:7:00~21:00
・入園料:なし
・休園日:なし(荒天など気象条件によっては閉園する場合があります)
(情報は2026年8月取材時点のものです)
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取材・文:haruta kana(東急公式サイト編集部)
編集:MaW
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