緑が丘を起点に、九品仏川緑道と呑川本流緑道を巡る緑道散歩【日々是緑日】
Urban Story Lab.
2026/8/4

「日日是好日(にちにちこれこうじつ)」とは、中国の雲門禅師の言葉で「どんな日々もかけがえのない、素晴らしいものである」という意味(諸説あり)。そんな素敵な言葉にならい、都会における「緑のある風景」の素晴らしさをあらためて探し、そして満喫しよう!というのがこちらの企画「日日是緑日」だ。
今回の舞台は大井町線の緑が丘駅。自由が丘や奥沢、大岡山に囲まれた住宅街だが、このあたりには緑道がそこかしこにある。そもそも緑道って、道の真ん中にある緑地のことっていうのはわかるけど、なぜそこにあるのか考えたことはなかった。ということで、緑が丘駅周辺にある2つの緑道で「緑」を求めて歩いてみよう!
ほしあさひ
千葉県生まれ。編集者・ライター。日々おだやかな生活を送るためにさまざまな実験を行う。散歩とサイゼリヤとデカい犬が好き。
降りた瞬間にわかった「気が良いまち」
この連載は降りたことのないまちに来れるから本当に嬉しい。今回もマジで人生で1回も降りたことがなかった「緑が丘」にやってきた。

降りた瞬間に感じたことは、すごく気持ちがいい。なんだろう、この言語化できない気持ちよさは!雲ひとつない天気の良さも相まってそう感じているのだろうか。とにかく「気が良い」という言葉を使いたくなる。これは持論だが、名前に「が丘」がつくまちは全部気が良いまちだと思っている。


説明しよう。緑が丘駅周辺には、自由が丘駅方面に伸びる「九品仏川緑道」と、都立大学方面に伸びる「呑川(のみがわ)本流緑道」がある。九品仏緑道は支流で、呑川本流緑道は本流だ。今回はこの2つの緑道を巡ってみよう。


呑川はかつてはもっと水位が高く水辺らしい景色だったみたいだけれど、都市化で湧水や田んぼの水路が減り、今の呑川はかなり人工的に管理された川となっているらしい。ぱっと見、川というよりも水の通路っぽい感じだ。

九品仏川緑道を歩いて、暗渠化された九品仏川の面影を感じよう
さてさて、まずは自由が丘方面へ伸びる九品仏緑道を歩いてみます。
九品仏緑道は、1974年に暗渠(あんきょ)化された九品仏川の上につくられた緑道だ。「暗渠」とは、地表を流れていた川や用水路が、蓋をされて地下に隠されること。かつては奥沢の浄真寺付近を源に、自由が丘、緑が丘を抜けて川が流れていたようだ。暗渠をたどることは、未だ地下に隠されている川の面影を感じる行為なのだ!
そんなことを考えながら漠然と歩いていると.....

「今日のパワーメッセージを描いてください」という張り紙の横に、引き出しのボックスが。開けてみるとメッセージが書かれたダンボールが2〜3枚ほど入っていた。手作り感のある張り紙の凝りようにも目が行ってしまう。そもそも、パワーメッセージってなんだ.....?一体誰が仕掛けたものかわからないが、路上での匿名のコミュニケーションはワクワクする。

歩き始めて速攻で素晴らしいものに出会ってしまい、ブチ上がってしまった。すごいまちだな、緑が丘。


緑に囲まれた道の真ん中に突然あらわれたのは、「キリンのようなもの」。模様とか形状は明らかにキリンだけど、足を畳んで座っているから普段動物園で見るキリンとは雰囲気が違う。でも、緑に囲まれて気持ちよさそう!

緑道って歩いてみると結構おもしろいものに出会えるんだな。そんなことを考えながら、緑が丘駅を通り越して緑道を歩いていく。トンネルをくぐると、小さなお店が立ち並ぶエリアに出てきた。

緑の多さがちょうどいい。植物が目の中にいっぱい入ってくると嬉しい。どのまちもこのくらい緑が溢れていてほしいものだ。

ここに寝転べば、上半身は自由が丘、下半身は奥沢っていうことができるわけか。大人だからやらないけど。
歩き続けると、自由が丘駅の周辺に突入。


川筋に沿ってゆるやかに続く緑道は、今や憩いの場になっている。ここに川が流れていたことをどれほどの人が知っているかはわからないけれど、緑道の緩やかな曲線やわずかな高低差には、かつての水の流れの痕跡が今も残されている。
呑川の跡地、呑川本流緑道へ
「あ〜楽しかった」と帰りそうになったが、もう1つの緑道「呑川本流緑道」を忘れちゃいけない!
そもそも呑川とは、世田谷区桜新町付近を源流として、目黒区を抜け、大田区を通って東京湾へ流れる全長約14.4kmの川だ。そのうち世田谷区深沢から目黒区大岡山の東京科学大学付近までの上流部は暗渠化されていて、今は下水道幹線として利用されている。豪雨の時は今でも大量の雨水が暗渠化された呑川を流れるんだそう。

呑川本流緑道は区間によっては自転車道も作られている。この緑の中を駆け抜ける爽快感、ありがたい!しかし、ここは川の跡地なのでカーブが多かったり道が急に狭くなったりもして、「サイクリングロード」と言えるほど直線の道が続いてるわけでもなかったりする。こういうところでも川を感じられるのは面白い。


漫画の『ひゃくえむ』とかを観て陸上選手を夢見る都会っ子がここで練習したりするんかなぁ......という妄想をしてみたりする。緑も相まってか、佇まいがかっこいい場所だ。地域の子どもたちが集まって遊べるのは良いことである。
さて、チャリを降りて(早)ふたたび歩いて緑道を散歩します。


こう見ると穏やかすぎる光景だ。しかし、もともと呑川は人を困らせる川だったらしい。というのも、雨が降ると周辺を「飲み込む」ように氾濫したことから「呑川」という名が付いたという説があるらしいのだ。昔は暴れ川だったらしい。今の穏やかな緑道を見てるとまったく想像できないな......。



都立大学駅周辺の緑道は広場っぽくなっていて、「緑道」と「公園」の中間みたいな空間が多い。「歩いてきたけどちょっと休憩......」がめっちゃ気軽にできるのだ。所々にベンチやら遊具やらがあるからか、子連れで楽しめるアットホーム感もあって、本当にありがたいまちですわ。

緑道散歩はめっちゃ楽しい!
今回、「九品仏川緑道」と「呑川本流緑道」の2つの緑道を巡ってみた。道の真ん中に続く緑地はかつての川の跡であると知るだけで散歩が楽しくなる。川は姿を消したように見えても、地下には暗渠として流路が残り、今も都市を支えているというのもすごい。特に呑川本流緑道は、道の形や高低差から地形の名残を感じやすく、歩いていて面白かった。
駅や商店街ができるより前に、まず川があり、その流れに沿ってまちが形づくられてきた。緑道を歩くことは、そんなまちの成り立ちをたどることでもあるのだと気付かされた!また別の地域の緑道も辿ってみたいなぁ。
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ライター/ほしあさひ
カメラマン/Ban Yutaka
編集/ヒャクマンボルト
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まちのいいところって、正面からだと見えづらかったりする。だから、ちょっとだけナナメ視点がいい。ワクワクや発見に満ちた、東急線沿線の“まちのストーリー”を紡ぎます。








