都市と緑が重なる。目黒川がつなぐ公園を巡る散歩【日々是緑日】
Urban Story Lab.
2026/1/27

「日日是好日(にちにちこれこうじつ)」とは、中国の雲門禅師の言葉で「どんな日々もかけがえのない、素晴らしいものである」という意味(諸説あり)。そんな素敵な言葉にならい、都会における「緑のある風景」の素晴らしさをあらためて探し、そして満喫しよう!というのがこちらの企画「日日是緑日」だ。
今回の舞台は目黒区。都心近くの住宅・商業地が多い割に、緑地や公園がかなり整備されており、散歩・自然を感じるのにはうってつけの場所。今回はどんな緑に出会えるのだろう?
ほしあさひ
千葉県生まれ。編集者・ライター。日々おだやかな生活を送るためにさまざまな実験を行う。散歩とサイゼリヤとデカい犬が好き。
目黒区のまちに突然現れる巨大な庭園
目黒区は、実は緑の宝庫だ。林試の森公園のような自然地や駒場野公園、碑文谷公園のような地域密着型の緑地など、緑のバラエティに富んでいるのだ。「アクセスよく暮らしたいけど、自然も捨てたくない」という欲張りな都会人がたくさん暮らしているまちだ。

目黒区って歩いていると若干緊張する感じがある。謎のクリエイターがいっぱい住んでいるまち、というイメージだからだ。個性的なファッションをしている人とすれ違うと、なんの職業の人なのか気になって仕方がない。

ぼーっと歩いていても絶対に視界に入ってくる、まるで“要塞”のような大きな建物が出現。これが目黒区最大の緑スポット「目黒天空公園」である。

目黒天空庭園は、東京都目黒区大橋にある屋上庭園型の都市公園。首都高速道路・大橋ジャンクションの屋上に広がる、ちょっと不思議な場所だ。ぐるりと円を描くそのかたちは「ドーナツ型の公園」とも呼ばれ、まち街の中にぽっかりと浮かぶ空中庭園のよう。

なんでこんな巨大な施設がここに!?と不思議に思ったので調べてみると、もともと大橋ジャンクションの周辺ではただ高速道路を建設するだけでなく「住宅」「図書館などの公共施設」「緑地」「商業施設」などをまとめた再開発を行う都市計画が進められていた。
この再開発の一環として「ただのコンクリートと道路ではなく、住民にとって快適で持続可能な街にする」という考えのもと、屋上緑化・屋上庭園の導入が検討され、最終的に公園として整備されることになった。つまり、高速道路ジャンクションと再開発地区 、住民の緑地ニーズをひとつにまとめた複合まちづくりの成果なのだそう。

日本で一番空に近い庭園!?


奥には「富士見台」といわれる展望台があり、晴れていれば富士山を見ることができるらしい。

高さは地上から約 11〜35メートル。天空庭園という文字通り「空に近い庭園」だ。地上の道路や建物の上に空中の緑地をつくることで、都市の地上と空が同じ視線に重なり合う。都会の中にいるのに、まるで別世界にいるかのような光景が楽しめる。


ここはなんと言っても庭園が魅力的なのだ。コンセプトは「和風の回遊庭園」。五葉松や赤松など、和を感じさせる植栽が目立つ。おしゃれさはあるんだけど、何だか茶室のような落ち着く感じがある。


ドーナツ型になっている庭園はぐるりと見て回ることができる。こんなにも豊富な緑に囲まれているから地上の公園を歩いているような気持ちになるけど、ふと外を見ると同じ目線にビルがあったりして不思議な感覚になる。まるで空を散歩しているような気持ちになり、とっても心地がいい〜!


これは「コミュニティスペース」の野菜畑で、季節ごとにジャガイモやエンドウマメ、ネギやナスや唐辛子などさまざまな野菜が植えられている。近隣の子供たちが収穫をしたりしているらしい。こういう食育の場をちゃんとつくっているところがいいなぁ。




4,700本以上の樹木、32,000株以上の地被類(背丈が低い植物)があるこの庭園。ここまで緑があふれていると自然と穏やかな気持ちになる。庭園を訪れていた人たちはお昼寝したりお散歩をしたり読書をしたり、思い思いに過ごしていた。こういう場所が近くにあるのが羨ましいなぁ〜!!

ジャンクション × 緑の奇跡の融合
この庭園の特徴はなんといっても「ジャンクションの上にある」ということ。緑に包まれた庭園を歩き進めていくと、その構造がふと姿を現し、自分がいま首都高速の中心に立っていることに気づかされる。


こんなにも近いとちょっと面白くなってくる。庭園が穏やかすぎたため、そのギャップにもグッとくる。

この庭園は国道246号線側の入り口から入ることもできる。この道がまた面白い!

どこもかしこも緑が植えられていて、都会と緑が融合した風景が次から次へと出てくる。上に道路、下にも道路という変わった場所だが、道の狭間で緑に囲まれることができてとっても癒される。こういうのにいちいち反応しちゃう!



ただの庭園ではない、癒しと驚きが満載の目黒天空庭園。気軽に非日常を感じたいひとはぜひ行ってみてほしい!
住民の憩いの場、菅刈公園
せっかくなので、目黒区のほかの公園にも足を伸ばしてみることに。

目黒川沿いを少し歩くと、あっという間にたどり着くのが菅刈公園だ。規模こそ大きくないが、近隣の方々にしっかりと根づいた場所で、この日も思い思いに過ごす人々でにぎわっていた。
中目黒駅や代官山駅から徒歩15分前後で行ける好立地も理由のひとつだろう。

菅刈公園の敷地は、かつて江戸時代「岡藩(豊後国・岡藩)」の下屋敷であった地。さらに明治期には西郷隆盛の弟で実業家・ 西郷従道の屋敷があり、洋館や和館、滝や池を備えた池泉回遊式の大名庭園があった場所だそうだ。今も日本的な雰囲気を味わえる公園で、癒し効果抜群だ。

芝生広場が整備されており、お弁当を広げてピクニックをする人も多く、のんびり過ごすのにぴったり。

奇跡の眺めが拝める、西郷山公園
せっかくなのでもうひとつ、目黒川沿いの公園をご紹介!

西郷山公園は、丘の上にある展望公園。菅刈公園と並び、目黒区青葉台エリアを代表する公園だ。散歩コースの中でセットで巡る人も多いスポット。

展望公園なので、いい景色を拝むためにはこの急な階段を登らなければならない。ただでいい景色が見られるわけじゃないのだ。
名前のとおり、この一帯はかつて西郷隆盛の弟・西郷従道の邸宅があった場所。もともとは菅刈公園と一体の敷地だったそうで、緩やかな高低差、眺望の良さが屋敷地らしさを感じさせる。

この公園の魅力は、なんといっても展望テラスからの眺望だ。渋谷方面の高層ビル群が見渡せ、夕暮れ〜夜景はとても美しい。都市の気配と緑が溶け合う独特のロケーションで、ドラマやMVの撮影にもよく使われるそうだ。


芝生広場では、寝転んで過ごす人の姿が目立った。都心にほど近いのに不思議と開放感があって、読書をしたり、おしゃべりをしたり、ピクニックをしたりと、ここでは誰もが思い思いのゆるい時間を過ごしている。
天空公園と同様、ビルと同じ視線になる。一日の終わりをこんな景色のいい場所で過ごせたら最高だろうなぁ。夕方とかにここに散歩にこれるような余裕のある暮らしを送りたいものだ。



都会の中で緑を感じられる公園たち、ありがとう
今回は、目黒川をつなぐ3つの公園を回った。ただ歩いているだけなのに、思っていた以上に癒された。公園で自由に自分の時間を過ごしているひとたちが思った以上にたくさんいて、羨ましく感じた。
やっぱり、忙しく暮らしている人ほど緑が必要なのだろう。都心の近くにせっかく緑豊かな気持ちのいい場所があるのだから、公園でひと息つく時間をもっと自分でつくっていかなきゃな、と素直に思った。
<本日めぐったスポット>
目黒天空庭園
・住所:目黒区大橋1-9-2
・アクセス:「池尻大橋駅」から徒歩3分前後
菅刈公園
・住所:目黒区青葉台2-11-25
・アクセス:「中目黒駅」「代官山駅」から徒歩15分前後
西郷山公園
・住所:目黒区青葉台2丁目10-28
・アクセス:「代官山駅」から徒歩15分前後
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ライター/ほしあさひ
カメラマン/Ban Yutaka
編集/ヒャクマンボルト
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