2025年は、世田谷線三軒茶屋〜下高井戸間が開通して100年となる節目の年。東急電鉄では、このアニバーサリーイヤーを祝うため、記念ヘッドマークステッカーを取り付けた車両の運行や、開通当時から現在までの写真を紹介する中づりポスターの掲出の他、マルシェやスタンプラリーなど、沿線商店街や地域住民の皆さまと連携したさまざまなイベントを、一年を通して開催しています。

こうした100周年イベントの一つとして、2025年11月29日(土)、「世田谷線沿線これからの100年を考えるワークショップ」が開催されました。イベントでは、世田谷区に立地する大学に通う学生を中心に、企業や地域住民ら100人が一堂に会し、世田谷線沿線エリアを、人と環境に配慮した持続可能な街にしていくにはどうすればよいか、これからの未来100年を考えるワークショップ(ブレーンストーミング)が実施されました。自由な発想とパワーで、新たなアイデアが次々と生まれた当日の様子をレポートします。

100人の参加者が、世田谷線沿線これからの100年を考えるワークショップ

会場となったのは、三軒茶屋キャロットタワー4階のワークショップルーム。ここに、世田谷区に立地する大学に通う学生、企業、団体の関係者と、一般公募で集まった地域住民、総勢100人が集い、世田谷線沿線エリアの未来について考えます。隣の会場では、世田谷まちなか観光交流協会が主催する「世田谷まちなか観光メッセ」が開催された他、三軒茶屋駅前広場で「駅前マルシェ」が催されるなど、関連イベントで盛り上がる中での実施となりました。

_DSC6739.jpg
会場には東急線キャラクター「のるるん」や、東急でんき&ガスのキャラクター「てるまる」も登場して大盛り上がり!

エフエム世田谷のパーソナリティなどで活躍する、フリーアナウンサーの細田さん司会のもと、ワークショップは、世田谷線開通100周年記念事業実行委員会の事務局であるNPO法人まちこらぼの柴田さんがファシリテーターを務め、進行しました。

_DSC5876.jpg
司会を務めた細田さん
_DSC6025.jpg
 NPO法人まちこらぼ 柴田さん

大勢の参加者や関係者が詰めかける中、開会のあいさつに立ったのは、世田谷線開通100周年記念事業実行委員会の飯島委員長と、世田谷まちなか観光交流協会の桑島会長、世田谷区産業振興公社の近藤理事長です。

「次の100年に向けて、沿線地域の人たちと一緒に一歩を踏み出したい。今日はそのチャンスをいただいた」と飯島委員長が述べるなど、それぞれの言葉でワークショップ開催に向けた意気込みを語りました。

_DSC5897.jpg
世田谷線開通100周年記念事業実行委員会 飯島委員長
_DSC5911.jpg
世田谷まちなか観光交流協会 桑島会長
_DSC5941.jpg
世田谷区産業振興公社 近藤理事長

続いて、世田谷区の保坂区長と、編集者・評論家で世田谷みやげのアンバサダーを務める山田五郎氏が登壇。世田谷線と沿線エリアの魅力について、「沿線住民は、世田谷線の『ガタンゴトン』というリズムを聞きながら暮らしていて、このリズムが沿線独特ののんびりしたバイブス(雰囲気)を作り上げている」といったトークを展開し、会場の熱量を一気に高めていました。

_DSC5997.jpg
世田谷線沿線エリアを語るトークコーナー。保坂世田谷区長(左)と山田五郎氏(右)

「対象エリア」について考える“ヒント”をつかもう

次に行われたのが、ワークショップの対象となった世田谷線沿線の5つのエリアについてのプレゼンテーションです。

今回の対象エリアは、「三茶のミライ」事業で新しい街の姿を模索している「三軒茶屋駅周辺エリア」と、環状七号線と世田谷線がクロスする「若林駅+環七通りエリア」。そして、2029年に改装予定の世田谷区役所を有する「世田谷区役所+国士舘大学エリア」、さらなるインバウンド効果が見込まれる「豪徳寺+世田谷八幡宮エリア」、京王線の高架化により駅前広場が整備される「下高井戸駅+日本大学文理学部エリア」の5つです。

ワークショップの参加者は、5つのエリア(各エリア2班、合計10班)に分かれて議論します。プレゼンターは、各エリアの過去や現在の状況、および今抱えている課題を説明し、参加者が未来を考えるヒントを提供しました。

_DSC6081.jpg
三軒茶屋駅周辺エリア(世田谷総合支所街づくり課 菊池氏(左)、世田谷トラストまちづくり 小柴氏(右))
_DSC6091.jpg
若林駅+環七通りエリア(若林町会 広報部 月村氏)
_DSC6101.jpg
豪徳寺+世田谷八幡宮エリア(観光まちづくりアドバイザー 今村氏)
_DSC6128.jpg
世田谷区役所+国士舘大学エリア(世田谷区役所庁舎管理担当課 北村氏)
_DSC6267.jpg
世田谷区役所+国士舘大学エリア(学校法人国士舘 埒(らち)氏)
_DSC6362.jpg
下高井戸駅+日本大学文理学部エリア(下高井戸商店街振興組合 旦尾(あさお)氏)
screenshot_283.jpeg
プレゼンテーションでインプットした情報を基に、次々とアイデアを書いていく参加者たち

続いて、各班のファシリテーターの進行の下、参加者は一人ずつアイデアを発表し、ワークシートに付箋を貼り付けていきます。その付箋を書記担当者が、グループ分けしながら、さらにアイデアを膨らませ、最終的には、ワークシート下部の欄に文章としてまとめていきます。各班の議論は徐々に熱を帯びていき、しばらくすると、会場中に白熱した参加者の声が響き渡るようになりました。

screenshot_284.jpeg
皆さんのアイデアでどんどんワークシートが埋まっていき、各エリアの未来図が「見える化」していきました

全10班が、練り上げたアイデアを発表

1時間ほど議論をした後、発表タイムとなりました。各班の代表者が登壇し、練り上げたアイデアを3分間で披露していきます。(【資料】全10班のワークシートはこちら

最初に登壇したのは「三軒茶屋駅周辺エリア」です。

1班は「100年後も変わらない“ほどほどのサードプレイス三茶”」というビジョンを提示。未来は交通環境がより整備されていると予想されるものの、文化・芸術・人が集まる今の三軒茶屋の魅力は「変わらず残していきたい」と述べました。

2班は「みんな(宇宙を含む)が来たくなる三軒茶屋の未来」と題した未来図を紹介。三軒茶屋を、ロケットで宇宙に旅立つ玄関口にし、利用する人々がたくさん集まる街にしていくという独創的なアイデアを披露しました。

col_285.jpeg
左から「三軒茶屋駅周辺エリア」の1班・2班

次に「若林駅+環七通りエリア」です。

1班が打ち出したテーマは、「若林のブランドを際立たせる」。環七通りによるエリア分断の解消に加え、公園を増やして環境面を整備。さらに世田谷線沿いの他の街とつながるイベントを開催するなどし、若林エリアをブランド化していく案を発表しました。

2班は、まず、100年後にも「環七通りと世田谷線がクロスする景観を残す」アイデアを披露。さらに、鳥が集まるようなまちづくり「鳥と共に育つ緑プロジェクト」を進める案や、「神社仏閣を中心に地域コミュニティを活性化」するアイデアも発表しました。

col_286.jpeg
左から「若林駅+環七通りエリア」の1班・2班

続いて「世田谷区役所+国士舘大学エリア」です。

1班は、まず「人が行きたいと思う場所に成長」していくビジョンを提示。そのために、位置情報を活用したアプリ(サービス)の開発や、花と木を植えるイベントの開催、ロボット同士が対抗する運動会の実施などを通して、「来た人も、住んでいる人も楽しめる場所」にしていくアイデアを披露しました。

2班は「沖縄とつながって、世田谷に海を作る」という斬新なアイデアを発表。さらに、願い事が百発百中で叶う神社をつくる他、国士舘大学の学食で世界中の料理を500円で食べられるようにする案なども紹介し、会場の大きな関心を集めていました。

col_287.jpeg
左から「世田谷区役所+国士舘大学エリア」の1班・2班

「豪徳寺+世田谷八幡宮エリア」の1班は、招き猫や商店街を活用して、外国人旅行者にもっとお金を使ってもらう仕組みを作るアイデアを発表。その一方で、静かな住宅街である豪徳寺エリアの魅力をそのまま残すことで、将来さらにエリアの価値が上がるとし、「努力して、今を変えない」というキーワードも打ち出しました。

2班が掲げたのは「急増する需要に応え、国際化が進行する豪徳寺」というテーマ。インバウンドの急拡大から、今後もこのエリアは国際化が進むとし、同時通訳などコミュニケーションを支援する仕組みを導入する案を紹介しました。また、猫型ロボットが英語で道案内をするなど、招き猫を活用するアイデアも披露しました。

col_289.jpeg
左から「豪徳寺+世田谷八幡宮エリア」の1班・2班

次に発表したのは「下高井戸駅+日本大学文理学部エリア」の1班です。同班は「ハイパーレトロでスーパーインフラの街」というキーワードを提示。2029年にできる駅前広場では100年後、毎週末に朝市が開催されている他、映画の上映会も行われると予想。その一方で、ゴミ拾いロボットが街のゴミを回収してくれるなど、レトロとデジタルが融合する未来図を描きました。

2班は、たくさんの「個店」が営業している今の街の魅力を100年先にも残す案を提示。高架化によって交通の便が改善する一方で、下高井戸エリアには「人と人がフェイス トゥ フェイスでつながるようなアナログな関係をずっと残していきたい」と、“下高愛”たっぷりのコメントで発表を終えました。

col_290.jpeg
左から「下高井戸駅+日本大学文理学部エリア」の1班・2班

続いて、各班の発表について参加大学の先生が講評を行います。

国士舘大学 経営学部の田中教授は、「やや総花的ではあるものの、若い世代の発想が発揮されて興味深かった」とコメント。産業能率大学 経営学部の中島教授は「今ある良いものを守りつつ、新しい街を作りたいという思いにあふれていた」と評価した他、日本大学 文理学部 社会学科の後藤特任教授は、「もし次回があれば、ぜひ世田谷線という“地域の共有財産”の活用をより深く考えてほしい」と今後の取り組みへの期待を添え、発表会を締めくくりました。

_DSC7144.jpg
国士舘大学の田中教授
_DSC7192.jpg
産業能率大学の中島教授
_DSC7209.jpg
日本大学の後藤特任教授

最後に、東急電鉄 広報・マーケティング部の稲葉統括部長が登壇。「これまでの100年を振り返り、100人で100年先の未来を考えるという、まさに100万力(100×100×100)のパワーをいただきました。この先もワクワクするようなまちづくりを、皆さんに支えていただきながら、引き続き進めていきたい」と述べ、ワークショップの閉会を宣言しました。

_DSC7253.jpg
閉会のあいさつ。東急電鉄 広報・マーケティング部 稲葉統括部長

それぞれが抱く世田谷線、沿線エリアへの思い

イベントを終えた参加者に、ワークショップに参加した理由や世田谷線への思いを聞きました。

下高井戸にある日本大学文理学部に通う学生は、「いろいろな人と一緒に一枚の未来図を描いていくワークショップのテーマにワクワクして、参加を決めました」とコメント。下高井戸の街に対する思い入れも強く、下高井戸エリアの発表も担当したとのことです。「話す内容を決めず、アドリブで発表しました。私は、アドリブは本心が出ると考えているのですが、今日はどんどん口から“下高愛”があふれ出てきました。あらためて街への愛情を感じる一日になりました」。

世田谷エリアの班に一般参加した人は、「65年間世田谷に住んでいて、世田谷愛が強いため、参加した」とのこと。高校生の時に世田谷線で通学していたそうで、これから先も観光列車ではなく、「“地域の足”として長く残ってほしい」と世田谷線への思いも語ってくれました。

産業能率大学の学生は、三軒茶屋で生まれて20年以上住んでいることもあり、今回のワークショップは「特別な思いで参加した」と説明。本日の体験を通して「街への愛着がさらに増した」と、気持ちを教えてくれました。

「世田谷線沿線エリアからは、下町っぽさを強く感じます。ワークショップを通して、外から来た人も同じように感じてくれていることを実感でき、いい経験になりました。そういう良いところは残しつつ、発展すべきところは発展させていきながら、この先もずっと沿線に住み続けていきたいと思います」。

沿線住民に愛されながら、100周年を迎えた世田谷線。これから先の100年にも大いに期待が高まるイベントでした。

【資料】全10班のワークシート

1-三軒茶屋エリア(1班).jpg
三軒茶屋エリアの未来図
2-みんな(宇宙を含む)が来たくなる三軒茶屋.jpg
みんな(宇宙を含む)が来たくなる三軒茶屋の未来図
3-若林駅+環七通りエリア.jpg
若林駅+環七通りエリアの未来図
4-環状七号線×世田谷線 若林.jpg
環状七号線×世田谷線 若林の未来図
5-1班 世田谷(区役所周辺).jpg
世田谷(区役所周辺)の未来図
6-松陰神社駅前周辺.jpg
松陰神社駅前周辺の未来図
7-インバウンド×豪徳寺.jpg
インバウンド×豪徳寺の未来図
8-急増する需要に応え、国際化が進行する豪徳寺.jpg
急増する需要に応え、国際化が進行する豪徳寺の未来図
9-下高井戸駅周辺 1班.jpg
下高井戸駅周辺の未来図
10-2班 下高井戸の街(駅).jpg
下高井戸の街(駅)の未来図

掲載店舗・施設・イベント・価格などの情報は記事公開時点のものです。定休日や営業時間などは予告なく変更される場合がありますのでご了承ください。

東急電鉄

東急電鉄株式会社が展開する事業やサービスについての情報を発信します。運行情報や各駅情報、イベント・沿線情報、おトクな情報など、幅広くお届けします。