旧東横線の「線路跡」を辿って。「渋谷リバーストリート」を歩いてみた

東急公式サイト編集部

2025/6/9

今回、東急公式サイト編集部が散歩したのは、かつて地上を走っていた東横線の線路跡。渋谷ストリームから渋谷ブリッジ方面をつなぐ約600メートルの遊歩道「渋谷リバーストリート」には、地上を走行していたころの東横線の残り香がたっぷりです。2013年の渋谷駅地下化のあと、新たな「場」として生まれ変わった線路跡を辿ってみます。

2013年まで地上駅だった東横線 渋谷駅

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地上駅だったころの東横線渋谷駅。かまぼこ屋根と目玉壁がアイコンだった。

現在は地下を走行する東横線ですが、2013年までは地上に駅があり、電車も地上を走行していました。この地上駅の跡地とその周辺を利用して2018年に誕生したのが、大規模複合施設の「渋谷ストリーム」。今回歩いてみる「渋谷リバーストリート」は、渋谷ストリームの2階を通じて渋谷ブリッジ方面へと続く遊歩道です。

地下化のあと整備されたのは約600メートルの遊歩道「渋谷リバーストリート」

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稲荷橋に掲出された地図。渋谷川に沿った遊歩道であることがよくわかる。

東横線渋谷駅の地下化のあと、もともと地上にあった線路跡は約600メートルにおよぶ遊歩道に生まれ変わりました。現在では、渋谷川に沿って渋谷三丁目から東一丁目まで続く、「渋谷リバーストリート」になっています。渋谷ストリームの真横にある稲荷橋からはじまり、金王橋・八幡橋・徒歩橋・並木橋・新並木橋と6つもの橋を通過する遊歩道です。それでは、渋谷リバーストリートを歩いてみましょう。

「渋谷ストリーム」にのこる、東横線の面影

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渋谷ストリームの「国道246号横断デッキ」。真下に国道246号が通っている。

まずは、渋谷ストリームから出発。渋谷ストリームの2階にある「国道246号横断デッキ」は、現在の渋谷駅や渋谷スクランブルスクエアとつながる重要な動線。ここでは、旧東横線渋谷駅の高架橋が再利用され、旧駅舎のアイコンだった「かまぼこ屋根」や「目玉壁」が再現されています。

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渋谷駅側から渋谷ストリーム2階に入ってすぐの通路の足元。レールがカーブを描く。

足元に目をやると、2本のラインが伸びています。実はこれ、旧東横線をイメージしたレール!そして、レールに沿って書いてある番号は、高架橋の支柱の管理番号です。電車が走っていたところを歩いていると思うと、なんとも不思議な気分です。ついついレールの上を歩いてしまいます。一部は本物のレールだそうで、鉄道ファンのみなさんにはたまらない仕掛けなのでは?

渋谷ストリーム 稲荷橋広場から、清流へと再生された「渋谷川」沿いを進む

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国道246号側から渋谷川と渋谷ストリーム 稲荷橋広場を望む。広場ではイベントなども開催される。

「渋谷ストリーム」を出て渋谷川方面の地上にあるのが「渋谷ストリーム 稲荷橋広場」。この場所から、渋谷側に沿って代官山の方向へ遊歩道が伸びているんですね。ちなみに今では清流になった渋谷川ですが、かつてはお世辞にも清流とはいえない川だったのだとか。渋谷ストリームや遊歩道の整備にあたって、官民連携で清流へと再生されたそうです。

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護岸の上部から再生水が流れ出すようす。川沿いの建物は意外とレトロ。

渋谷川の再生に利用されているのが、護岸の壁伝いに水を流す「壁泉」という仕組みです。ちょうど、シャーっという音とともに護岸の上部から水が流れ出ているところに遭遇!落合水再生センターから再生水を流しているのだそうです。綺麗な水を流しているから、清流に再生できたんですね。

再開発でどんどんと姿を変えていく渋谷のまちですが、川沿いの建物はまだまだレトロなままだったりします。「これまで」と「これから」の対比もまた味わい深いですね。

金王橋にもあるレールと「金王桜」

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緑の中にひそむレール。
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金王八幡宮から枝分けされた金王桜が植えられている。

稲荷橋から進んで2つめの橋である金王橋に差し掛かると、生い茂る緑の中にレールが見えてきました。かたわらには金王桜の紹介もあります。金王橋ってなんだか歴史のありそうな名前だな〜と思っていたのですが、それもそのはず。「金王八幡宮」がその名の由来で、ルーツを同じくする金王桜が植えられているというわけです。

八幡橋にはかつての高架橋跡が現存する

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かつて実際に使われていた東横線の高架橋。
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高架橋の歴史が記されている。
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高架橋の足元にはかわいらしいビオトープも。
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少し進むと、2020年に誕生した「KISS, TOKYO ベンチオブジェ」が登場。

さらに進むと見えてきたのは巨大な構造物!コンクリートの上に架かっているのは、どこからどう見てもレールです。かつてこの場所にあった高架橋の跡なんですね。八幡橋の上を通っていて、地下化されるまで約85年も東急線の輸送を支えていたそうです。足元にはビオトープが作られていました。都会のオアシス感がすごい。

徒歩橋・並木橋にはたくさんの支柱跡と「旧並木橋駅」のホームが

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41番。ベンチになっているので散策の休憩にもぴったり。
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42番。ちょっと腰掛けてみることもできそう。
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57番。これも柱の跡。
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59番。なんとこれは1927年から1946年まで存在した「旧並木橋駅」のホーム!

渋谷ストリームにある「1番」からはじまって、いったい何番まであるのでしょうか。ちなみに、この日の散策で見つけた最も大きな番号は、このあと訪れる渋谷ブリッジにあった「79番」でした。

新並木橋を渡って、終点「渋谷ブリッジ」へ

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新並木橋のすぐ脇にまたもや橋脚が登場。

新並木橋を渡ったところに、これまた遺構がありました。ここも旧東横線の高架橋脚だったんですね。今はもう単体でしかのこっていませんが、この橋脚は61番=61本目ということ。現役のころはきっとこの橋脚がずらりと並んでいたはずで、それはそれは力強い眺めだったのではないでしょうか。

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右奥に見えるのが「渋谷ブリッジ」。

橋脚の奥に複合施設の「渋谷ブリッジ」が見えてきました。しましま模様の建物です。なにやらのんびりできそうな芝生のエリアも見え隠れしています。

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遺構のある広場とカーブした建物が特徴的。
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渋谷ブリッジのマップ。渋谷川からそれて、代官山方向へカーブしたつくりになっている。

カーブしている建物が特徴の渋谷ブリッジ。マップを見ると、稲荷橋からずっと渋谷川沿いだったのが、代官山方面に向けてカーブしているのがわかります。これは、渋谷ブリッジが「旧東横線の線路のカーブ」に合わせて建てられたからです。

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渋谷ブリッジ(A棟)の中にも支柱の管理番号が。天井の照明がレールを表現しているよう。

渋谷ブリッジの中にある時計が、とってもレトロ!駅のホームにある時計がモチーフなのでしょうか。足元のタイルもそうなのですが、天井の照明もカーブにそって設置されていて、下を見ても上を見ても線路を走っている気分になれます。

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かたわらのベンチにはレールのモチーフが。
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渋谷ブリッジ(A棟)の終点から渋谷方向をパシャリ。

渋谷ブリッジの通路を抜けると、ここが渋谷リバーストリートの終点。なんだか名残惜しくて歩いてきた方向に向かって撮ってみました。頭上の看板も駅のホームがモチーフになっていそうですね。

約600メートルに詰め込まれた旧東横線の記憶

さて、今回は約600メートルの渋谷リバーストリートを歩いてみました。短い距離ではあるものの、「記憶」は濃厚!そこかしこに旧東横線にゆかりのあるものがのこっているので、鉄道ファンの方には特におすすめしたい散策路でした。この日は渋谷ブリッジを終点として歩いてみましたが、渋谷ブリッジまで来たら代官山や恵比寿はすぐそこ。そのまま歩いていくこともできますよ。みなさんもぜひ渋谷リバーストリートを歩いてみてください。

■渋谷ストリーム
住所:東京都渋谷区渋谷三丁目21番3号
https://shibuyastream.jp/

■渋谷リバーストリート
住所:東京都渋谷区渋谷三丁目〜東一丁目
https://stream-hall.jp/square/riverstreet/

■渋谷ブリッジ
住所:東京都渋谷区東1丁目29-3
https://shibuyastream.jp/special/?cd=000018

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取材・文:SABO(東急公式サイト編集部)

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