
「遊ぶことが子どもにとってどれほど大切か」この問いにきちんと答えられる大人はどれほどいるでしょうか?
世田谷区ではそんな問いかけに向き合い、国連で定められた6月11日の「国際遊びの日」を起点とし、6月を「あそび月間」として、大人に子どもの育ちに不可欠なあそびへの理解を促し、子どものあそびの充実を目指して取り組みます。これは “あそび”が昔から果たしてきた役割を理解し直し、子どもたちの健やかな育ちや、社会の意識変容を促すためのプロジェクトです。
このプロジェクトに取り組む、世田谷区 子ども・若者部 児童課長の渡邊祐士さんにお話を伺いました。詳細は こちらのツクリテ内プロジェクト紹介ページ からもご覧いただけます!
「あそび月間」とは?
世田谷区では、区内で外遊びを推進する民間団体「そとあそびプロジェクト・せたがや」と協働し、外遊びを推進する仕組みづくりや、外遊びに関心を持ち協力してくれる大人が増えていくよう、外遊びの大切さを伝え、地域で外遊びを推進するための人や団体のつながりをコーディネートする取り組みを進めています。
今回のあそび月間では、「そとあそびプロジェクト・せたがや」との連携企画として、まちの中にある区が保有する土地を利用して外あそびの機会をつくる「空き地あそび」「広場あそび」や、6月15日に開催された記念シンポジウム「子どもは遊びでできている」、そして区内にある幼稚園、保育園、児童館、学校などとも協力しあい、遊びの維持、促進をめざします。
「遊び」に込めた想い
「今の子どもたちは遊べていない」。そんな声を耳にしたことはありませんか?
スマホやタブレットが日常の一部となり、公園でのびのび遊ぶ姿が少なくなった現代ですが、実は子どもにとって“遊び”は勉強と同じくらい、いや、それ以上に大切なものだということを、改めて知っていただきたいという思いが強いです。
私たち大人が子どもの頃の遊びを振り返るワークをやると、「怒られたけど楽しかったな」とか「あの時のワクワクが忘れられない」なんていう意見が次々出てきて、とにかくみなさん楽しそうにお話されるんですね。
それでは今の子どもたちが大人になった時には、どういった思い出を語るのでしょうか。
子どもたちと保護者に放課後の過ごし方について聞いてみると、子どもは「思いっきり遊びたい」保護者は「習い事や知識の拡充」と意見が違っています。
子どもの権利が注目される昨今、もっと本質的に子どもの意見を受け止めなくてはなりませんし、「思ったように遊べていない」ことが世界的な課題になっているからこそ、国連が国際遊びの日を設定したのだと思います。
日本の調査データはないものの、実際どの国でも、より多く外で遊ぶ子どもの方がより幸せであるという結果も示されていることから、外遊びの機会は子どもの幸福度に関係していることがわかっています。
世田谷区は、日本で初めて「プレーパーク」が誕生した地としても知られていて、そこでは木に登ったり、火を使ったり、泥だらけになったり、子どもたちが自分の責任で自由に遊ぶための環境が整えられていることは素晴らしいことだと感じていますが、遊びの環境を整えるだけではなくて、しっかりとした遊びによる効果のエビデンスを示しつつ、保護者をはじめとする社会の大人に向けて普及啓発をしていくことも重要であり、それが私たちの役目だと考えています。
6月の「あそび月間」のこだわり
シンポジウムでは、子どもの発達において思い切り遊ぶことで得られる興奮が前頭葉を発達させ、「心を育てる」ことに繋がるということなどに関してデータや研究をもとに、子育て中の方々や保育・教育関係者に向けてわかりやすく伝える場を設けます。
「心を育てる」ということは、“非認知能力”(思いやり、がまんする力、創造性など)を育てることでもあり、それには内発的動機から始まる遊びが不可欠となります。
大人が「遊んでばかりいないで勉強しなさい」「汚れるから、危ないからここでは遊ばないで」と言う前に、まず遊びの価値や効果を正しく理解し、子どもたちが遊ぶことに対して寛容な社会を一緒に作っていきたいと考えていますので、大人の意識変容も大きなテーマになります。
こんな声が届いています
商店街の空きスペースで人工芝を敷いてくつろぎと遊びの空間をつくり、アスファルトにチョークで絵をかいたり、そりすべり・布遊び・縄跳びだったり、牛乳パックで作ったボールで遊んだり、外で絵本を読む、なんてことを実施した時に、保護者から「公園まで行かなくても、こういった身近な場所で遊べてよかった、こういう場をもっとつくって欲しい」との意見がありましたが、きっちりしっかりやるのではなく、「ふわっと遊べる(作りこんだものではない)」空間づくりをやることでも、十分に遊びについて考えるきっかけになると思っています。

今回の「ツクリテ」になると?
現在も行政として様々な団体と連携していますが、このような普及啓発の活動を支えるには地域の方々の力が不可欠だと思います。
今回は運営サポートを募集していますが、まずは子どもの遊びの環境や課題を知って頂いた上で、
「子どもの遊びって、実は社会全体の課題だと思う」
「遊びの意義とその効果について改めて考えてみたい」
そんな想いを持つ方にぜひ関わっていただきたいプロジェクトですし、新しい価値や意義を感じてもらえると思っています。
今回お話を聞いて、遊びの大切さとその普及啓発の難しさを同時に感じました。世田谷から始まるこの新しい取り組みが、多くの地域に広がっていくことを願ってやみません。この記事を読んでくれたあなたも、「あそび」の仲間として、まずは“ふわっと”参加してみませんか?
お話を聞いた方

「ツクリテ」募集内容
【国際遊びの日inせたがや】
まちの中の区有地を活用して、外遊びの機会をつくります。
何気ない空き地に人工芝を広げたり、コンクリートの広場にチョークでお絵かきをしたり。
身近な場所で、子どもたちがもっと豊かに遊べるように一緒に遊び場をつくりましょう!
募集内容の詳細/参加へのお申込みは こちらのツクリテ内プロジェクト紹介ページ から!
「ツクリテ」とは?
『ツクリテ』は、主催者が「ちょっとしたお手伝い」や「楽しみながら参加できるイベント」などをWebサイト上に登録し、参加希望者が気軽に見つけて応募できる、地域ファンづくりのためのマッチングプラットフォームです。
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ツクリテ
『ツクリテ』は、地域での様々な体験を通して「あなたの好き」と「まちの魅力」が出会う、地域ファンづくりの場です。