「芸術は爆発だ」の原点を知る。代表作がずらりと並ぶ「川崎市岡本太郎美術館」を訪れてみた
東急公式サイト編集部
2026/2/6

岡本太郎氏(以下、敬称略)は、1911年に川崎市高津区で生まれました。「芸術は爆発だ」という言葉とともに、生命力あふれる作品を次々と生み出した、戦後の日本を代表する芸術家です。特に、大阪万博(EXPO'70)の「太陽の塔」は私たちもよく知る名作のひとつでしょう。
「川崎市岡本太郎美術館」は、川崎市にゆかりのある岡本太郎によって、およそ1,800点におよぶ作品・資料が寄贈され、1999年10月に開館。展示は岡本太郎だけでなく、同じく芸術家であった父 岡本一平・母 岡本かの子の実績なども幅広く紹介されています。
とにかく展示作品が豊富で、誰もが一度は目にしたことのある有名作品にも出会えますよ。
※「川崎市岡本太郎美術館」では改修工事に伴い、2026年3月30日~2029年3月末(予定)の期間、展示室での展覧会は休止となります。2026年度は館内のギャラリースペースにて小規模展示「ちょこっとTARO」を開催。岡本太郎の立体作品などをお楽しみいただけます。
川崎市屈指の広大な「生田緑地」の中に所在

生田緑地は、ほかにも日本民家園、かわさき宙と緑の科学館などの施設があり、見どころも満載です。

「川崎市岡本太郎美術館」は小田急線の向ヶ丘遊園駅が最寄りとなる東口「生田緑地東口ビジターセンター」からは徒歩約8分、専修大学がある西口からは徒歩約6分です。ほかにも田園都市線溝の口駅からのバスもあります(詳しくは公式HPの交通案内をご覧ください)。
当日は「生田緑地東口ビジターセンター」から歩いてみましたが、地図や案内も豊富にあるので、美術館までの道のりはそこまで難しくありませんでした。



「川崎市岡本太郎美術館」は常設展示室のほか、企画展示室(取材時は閉室)、カフェテリアやミュージアムショップなどで構成されています。そのほかにもワークショップなどが開かれる創作アトリエ(建物2階部分)や大画面で岡本太郎を紹介する映像が上映されるガイダンスホール(多目的ホール)などもあります。
さっそく、館内へ。岡本太郎の絵画や彫刻など多数の作品に出会う

まずはエントランスホール内の券売機にてチケットの購入を。入館料は一般700円(税込)、高・大学生・65歳以上500円(税込)、中学生以下無料です(展覧会により異なります)。 コインロッカーも用意されているので、荷物が多くても快適です。
受付を済ませて、右側の入口から入館します。館内の岡本太郎の作品は自由に撮影が可能。また、展示作品の解説(自動音声)を聞くことができる「ポケット学芸員」という無料アプリもダウンロードできます。より理解を深めたい方は、入ってすぐにある二次元コードでアプリをダウンロードすることをおすすめします。

展示室の最初のコーナーは、岡本太郎が好きな色だったという“赤”に染まった「赤の部屋」。そして頭上を見上げると、この顔はどこかで……?1970年の大阪万博(EXPO'70)の「太陽の塔」の中央にある顔を思わせるレリーフです。ぜひここは写真におさめてみてはいかがでしょうか。

赤の部屋をぬけると、部屋一面に岡本太郎の絵画作品が並ぶ常設展のコーナーへ。取材日に開催されていたのは、「岡本太郎 生きることは遊ぶこと」という作品展(2026年3月29日まで)です。ここには岡本太郎の人生と芸術における「遊び」をテーマに約120点もの絵画、彫刻、陶芸などが展示されています。代表作もかなり多く展示されているので、岡本太郎ファンなら必見です。

こちらは岡本太郎の代表作のひとつ。作品中央には、権力の象徴として怪物が描かれているのですが、怪物にはチャックがついています。このチャックを開けると、その内側は空っぽだという風刺ともとれる作品なのだそう。岡本太郎の「対極主義」の思想を表しています。

海辺の肖像として描かれている顔のあるカニと太陽の2つのイメージが合わさった作品。70年代の岡本太郎は、このような具象的なモチーフを題材として描く絵画が多く残されています。ほかにも展示にはモニターがたくさんあり、在りし日の岡本太郎のインタビュー映像も見ることができます。
岡本太郎のインタビューを聞いていると、ひとつひとつの作品づくりに、しっかりした考え方がある芸術家だったということが分かります。

岡本太郎が作った椅子コレクションはこれだけではありません。有名なのが《坐ることを拒否する椅子》です。これは、椅子を単に腰を掛けて休憩する道具としてではなく、「精神的にも肉体的にも人間と対決し、抵抗を感じさせるのがいい」という岡本太郎らしい遊び心で生み出されたもの。


岡本太郎にとって、芸術とは大衆のものであり、自由でなくてはならないという考えがあったようで、パブリックアートも多数手がけています。作品は全国各地に点在しているということなので、まちのなかでふと目にしたあの作品が、実は岡本太郎の作品だった!ということもあるかもしれませんね。

こちらの作品と同じ形で、初めて岡本太郎が手がけた高さ4メートルのモニュメントとしても知られており、長野県(現・千曲市エリア)にあったようですが、残念ながら現在は残っていません。人間の内面に宿る混沌とした存在を“動物”と表現しているとのことで、岡本太郎らしい作品です。見る角度によって顔の表情がかわるのも興味深い作品でした!

筆者は大阪にある太陽の塔に登りましたが、実物は高さ約70メートル、腕の長さだけでも約25メートルもある巨大なモニュメント!当時の万博のテーマであったテクノロジーやモダニズムに反して、太古の昔からここに存在していたかのようなものとして、この太陽の塔を生み出したそうです。
ちなみに、背面の黒い太陽が過去、正面の顔が現在、頭頂部の金の顔が未来を表しているとされており、太陽の無限のエネルギーを吸収しながら、人類の未来を見つめているといわれる作品。岡本太郎の想いを知ると、その深さが分かりますね!



岡本太郎は14歳で絵画作品を制作。慶應普通部を卒業後、東京美術学校(現在の東京藝術大学)に入学、その後パリに渡ったという記載があるとおり、幼少から才能を発揮し、エリートコースを歩んでいたことが分かります。そして、1996年(平成8年)に享年84歳で亡くなる直前まで、精力的に活動を続けていました。あらためて岡本太郎は、本当に偉大な芸術家ですね。


岡本一平は漫画家として、岡本かの子は小説家・歌人として、大正・昭和初期に活躍したご夫婦でした。岡本太郎という存在の土壌になったといわれるほど、お二人も著名な文化人であったことはいうまでもありません。


こちらが常設展示室の最後のコーナーです。特に印象的だったのが、かつてパリ大学の民族学科に在籍していたことから、岡本太郎が流暢なフランス語でインタビューに応える映像があったこと。また、オセアニアの仮面の研究によって背後に潜む文化の深層を理解したり、縄文土器の美から縄文人の世界感を読み解くなど、文化人類学の観点を非常に強く持っていたこと。
この裏側の背景まで深く考察する基礎があったからこそ、アートや作品になったときにより深い作品として心に残っているのだろうなと、岡本太郎の真髄に触れたような気分になりました。
岡本太郎の魅力にどっぷりはまった後は、ミュージアムショップへ!

最後にやっぱりはずせないのは“お土産”ですよね。筆者は旅好きなのでいろいろなミュージアムを訪れて、お土産も欠かさずチェックするタイプですが、こちらのミュージアムショップはとにかく、種類が多くて面白いグッズがたくさん!



開放的なカフェテリアTAROも、見学後に立ち寄ってみよう

「川崎市岡本太郎美術館」にはカフェテリアも併設されています。窓も大きく、とても明るい店内。コーヒーや軽食をいただきつつ、美術館の余韻にひたるにはうってつけの場所です。

改修に入っても楽しめる。まちにある岡本太郎の作品を見に行こう
前述のとおり、「川崎市岡本太郎美術館」の展示室で、岡本太郎作品が見られるのは2026年3月29日(日)まで。改修中は見られないの?!と心配になった皆様、ご安心ください!
お住まいの身近な場所にも、岡本太郎の作品はたくさんあります。ぜひこの機会にめぐってみてはいかがでしょうか。また、改修工事中もカフェテリアは通常営業、また美術館も公開範囲をしぼって、館内の展示室以外のスペースを用いた小規模展示「ちょこっとTARO」を開催、岡本太郎の彫刻を無料で楽しめる予定だそうです。最新情報は公式HPをご確認ください。
【川崎市岡本太郎美術館】高さ30メートルにもなる、シンボルタワー《母の塔》

こちらは「川崎市岡本太郎美術館」の屋外に設置されているのでいつでも見学可能。カフェテリアでランチをかねて訪れてみるのもおすすめです。こちらの《母の塔》は、高津区二子の岡本かの子文学碑《誇り》の方を向いて建っているそうです。
【二子神社】岡本かの子文学碑《誇り》


夢のようなはかなさや優美さの象徴でもある「夢幻の白鳥」のような白いモニュメント。台座には「この誇りを亡き一平とともにかの子に捧ぐ 太郎」と書かれており、両親への深い愛を感じます。
<関連記事>「多摩川のほとり、アウトレットパンの誇り」今日もトングでカチカチと〜二子新地編〜
【高津駅】駅構内の絵画《高津》

岡本太郎の生まれ故郷を躍動感ある文字で描いた陶板画。文字の背景には、大山街道が赤色、多摩川が青色で描かれています。
【渋谷マークシティ連絡通路】巨大壁画《明日の神話》

“太陽の塔と対をなす”といわれるこの作品は、岡本太郎の最高傑作のひとつであり、原爆が炸裂する瞬間が描かれています。渋谷マークシティ連絡通路内にて公開されています。
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東急線沿線には、二子新地の《誇り》、高津駅の《高津》、渋谷の《明日の神話》など、岡本太郎の表現が日常の風景に溶け込む場所が点在しています。「川崎市岡本太郎美術館」で“原点”に触れた後、まちなかの作品を探して歩くと、見慣れた景色が少し違って見えてくるはずです。また、「川崎市岡本太郎美術館」で岡本太郎の名作(特に絵画作品)を堪能できるのは、改修工事前の今だけ。ぜひ一度足を運んでみてください。
<川崎市岡本太郎美術館>
・住所:川崎市多摩区枡形7-1-5 生田緑地内
・TEL:044-900-9898
・営業時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)
・定休日:月曜日(月曜が祝日の場合は除く)
祝日の翌日(祝日の翌日が土日にあたる場合を除く)
※改修工事に伴い、2026年3月30日~2029年3月末(予定)の期間、展示室での展覧会は休止となります。2026年度は館内のギャラリースペースにて小規模展示「ちょこっとTARO」を開催。岡本太郎の立体作品などをお楽しみいただけます。
https://www.taromuseum.jp/
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取材・文:TAKEKO(東急公式サイト編集部)
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