お弁当箱を持って○○駅で最高の幕の内弁当を作る vol.4

お弁当箱を持って白楽駅で最高の幕の内弁当を作る

Urban Story Lab.

2026/4/8

白楽という駅がある。東横線の駅で、1926年開業と歴史も古い。駅周辺には神奈川大学横浜キャンパスがあり、駅前には六角橋商店街が伸びる。この商店街は戦後に闇市として発展し、1997年からは「六角橋商店街ヤミ市」も開催されている。

そんな白楽で「幕の内弁当」を作ると、どのようなお弁当になるだろうか。幕の内弁当には何を入れてもいいのだ。白楽を歩き、お店を巡り、買ったものをお弁当箱に詰めて、“白楽印”の幕の内弁当を作ろうと思う。

今回、白楽駅で幕の内弁当を作るのは…

地主恵亮(じぬしけいすけ)
ライター。1985年、福岡県生まれ。2014年より東京農業大学非常勤講師。『デイリーポータルZ』や『となりのカインズさん』など、執筆多数。著書に『妄想彼女』(鉄人社)、『ひとりぼっちを全力で楽しむ』(すばる舎)がある。

白楽で幕の内弁を作る

幕の内弁当を思い浮かべて欲しい。おそらく10人いれば10人が異なる幕の内弁当を思い浮かべたと思う。幕の内弁当とは自由の象徴なのだ。お店によって、地域によって、季節によって、人によって、幕の内弁当の内容は異なる。

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どうも白楽に来た地主です!

そんな自由な幕の内弁当を白楽で作りたい。白楽にあるお店を巡り、カラのお弁当箱に、白楽だからこそ巡り会えた料理を詰めて行くのだ。白楽でしか完成させることができない、白楽オリジナルの幕の内弁当になるはずだ。

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カラのお弁当箱を持ってきました!

白楽駅の西口には戦前から続く、広い「六角橋商店街大通り」と、それに並行して伸びる狭い「六角橋商店街ふれあい通り」が存在する。ふれあい通りの方が個人でやっているお店が多い印象だ。早速お店を巡り、幕の内弁当の具材を探そうと思う。

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六角橋商店街大通り
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六角橋商店街ふれあい通りは渋い空気感

「魚大」で購入した握り寿司をお弁当のメインに

最初に買うものが重要だ。幕の内弁当の方向性を示すものになるからだ。今回は「魚大」という魚屋さんを訪れた。ふれあい通りを歩いていると魚を捌(さば)いているのが見えて、とても美味しそうに感じたからだ。

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六角橋商店街ふれあい通りでみつけた「魚大」

魚大はオープンして15年ほどのお店。100年以上の仲買の歴史を持つ同店の親会社より魚屋に活気を、との思いで2010年6月に小売店としてオープンしたそうだ。横浜の市場で魚を仕入れ、刺身や寿司などを作っている。もちろん発泡スチロールに氷と共に入れられた魚も売っている。刺身の種類も豊富で値段も高くない。カワハギのお刺身とか、本当に美味しいですからね。

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いろいろ売っています!

今回は九州産の本まぐろを使った握り寿司をチョイスした。見るからにネタが新鮮で自然と手が伸びたのだ。値段も730円(税込)と安い。これで今回の幕の内弁当のメインがお寿司と決まった。握り寿司の幕の内弁当があってもいいのだ。なぜなら幕の内弁当は自由だから。

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買いました!

魚大
・住所:神奈川県横浜市神奈川区六角橋1-10-1
・営業時間:10:00〜19:00
・定休日:日・祝

老舗の鶏肉専門「チキンデリカ タカハシ」でお肉を入れていく

魚と来れば肉も欲しいと思い「チキンデリカ タカハシ」を訪れた。鶏肉専門のお肉屋さんだ。精肉では地養鶏を取り扱っている。また焼き鳥や唐揚げ、チキンロールなどのお惣菜もある。全てが鶏だ。

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チキンデリカ タカハシ

創業は1942年。歴史の古さに驚く。創業当時は居酒屋などをしていたそうだけれど、現在の2代目店主からは鶏肉専門となった。ちなみに跡継ぎはいないと言っていた。先に書くんだけど、このお店のお惣菜、めちゃくちゃ美味しくてですね、跡継ぎがいないのは仕方ないことだけれど、残念だった。

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精肉に…
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焼き鳥などを売っています!

今回はお弁当なので、精肉は無理ということで、チキンロールと焼き鳥を買った。焼き鳥は「ぼんじり」や「ねぎま」が人気らしいので、その2つを選んだ。ちなみにぼんじりは鶏の尻尾の付け根にある希少な部位だ。

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買いました!

チキンデリカ タカハシ
・住所:神奈川県横浜市神奈川区六角橋1-10-11
・営業時間:10:00〜20:00
・定休日:木曜日

乾物屋「足立食料品店」でお惣菜を。思い出話も味わう

次に訪れたのは乾物屋の「足立食料品店」。創業は昭和20年代ということなので、やはり歴史は古い。乾物だけではなく、佃煮や自家製の酢の物、お漬物を取り扱っている。現在の店主は2代目だそうだ。

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足立食料品店の看板は初代からあるもの

子供の頃に訪れたことがあるような懐かしさを感じるお店だった。佃煮や甘露煮などこれでご飯を食べたらいくらでも白米が進むだろうな、というものが並んでいた。店主のお話も上手い。思い出話を聞くと、六角橋商店街は今も賑わっていると私は感じたけれど、昔はその比ではなかったそうだ。お店も減ってきていると言っていた。

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ご飯が進みそうなものが並びます!

今回は自家製の生酢とコハダの酢漬けを購入した。醸造酢を使い作ったものだそうだ。また居酒屋のお通し用に卸してもいるらしい。他にも自家製のぬか漬けや高原白菜の漬物もあった。どれも美味しそうだったので悩んだ。嬉しい悩みだ。

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買いました!

足立食料品店
・住所:神奈川県横浜市神奈川区六角橋1-8-1
・営業時間:10:00〜17:00
・定休日:日曜日

定食屋「寿屋」で人気の煮物を入手

最後は定食屋の「寿屋」の煮物にすることにした。こちらでお店を始めて12年だそうだ。定食屋さんなのでいろいろなメニューが並んでいた。私が行った時のランチはボークカレー、カキフライなど。間違いないラインナップだ。

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寿屋は常連で賑わっていた

一部はテイクアウトできるようでガラスケースに並んでいた。オススメは「ポテトサラダ」だそうだけれど、残念ながら売り切れていた。人気なのだ。今回はその隣にあった煮物にした。美味しそうな色をしていた。

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買いました!

定食屋「寿屋」
・住所:神奈川県横浜市神奈川区六角橋1-10-11
・営業時間:火曜12:00~18:00、水曜-金曜16:00~21:00、土曜13:00~21:00
・定休日:日曜・月曜

白楽駅を象徴する幕の内弁当が完成!

これで白楽の幕の内弁当に詰めるものの買い物が終わった。素晴らしいチョイスになったと思う。買った瞬間に食べたいものばかりだったけれど我慢した。幕の内弁当という1つの空間に揃うことで、さらなる美味しさを生むと思うからだ。それが幕の内弁当のよさなのだ。

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白楽幕の内弁当が完成!

見た目は完璧ではないだろうか。統一感がある。歴史が奥行きを生み出しているようにも感じる。白楽でなければ作ることができなかった幕の内弁当だ。白楽100%。彩り豊かな野菜が多いわけではないにも関わらずにも関わらず、鮮やかという印象を受ける。本まぐろの赤が効いているためだろう。

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お寿司って美しいですよね!(魚大で購入)

お寿司はやはり問答無用で美味しかった。魚が美味しいのはもちろんとして、シャリも美味しかった。甘い酢が効いたシャリなのだ。本まぐろはやはりとろけるような印象を受ける。その隣のトロは口の中を甘い脂で満たし、シャリが爽やかにフォローして旨みを増幅させる。

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焼き鳥とチキンロールはジューシー(チキンデリカ タカハシで購入)

これめちゃくちゃ美味しいです。チキンロールのジューシーな香ばしく甘い脂がたまらない。しかもボリューミー。「ぼんじり」は鳥の美味しさを感じることができる。鶏の良い部分が強調されているのだ。マジでこのお店、美味しい。

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酢の物は爽やかな味わい(足立食料品店で購入)

コハダの酢漬けは絶妙なお酢の効き具合だった。甘くもあり、酸っぱくもある。それが心地よい。噛むほどに味が広がる。生酢は爽やかという表現が適切に思える。酸っぱいのだけれど、強くはなく、ただ弱いわけではない。その奥に甘みがあり、爽やかさを感じる。

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出汁が効いた煮物が優しい(寿屋で購入)

味が満遍なく染みている。濃いわけではなく、優しく感じた。そう書くと薄い味とも感じるけれどそうではない。出汁が効いているから優しく感じるのだ。毎日食べたい味わいだ。心から美味しいと思った。

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つまり全部美味しい!!!

白楽の幕の内弁当は歴史の味

歴史があるから美味しいとは限らないとは思う。
ただ今回は歴史が味を裏づけていた。今回訪れたお店は一番新しくても開業から10数年ほど経っている。今もお店が存在するということは、やはり美味しいということなのだ。マジでどれも美味しくて驚いた。レベルが高いのだ。あと商店街の雰囲気が本当によかった。ただ歩くだけでも楽しい。白楽が熱い、といま個人的に思っている。

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屋根のこの感じとかたまらなく好き!

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文/地主恵亮 
写真/Ban Yutaka
編集/高山諒(ヒャクマンボルト)

掲載店舗・施設・イベント・価格などの情報は記事公開時点のものです。定休日や営業時間などは予告なく変更される場合がありますのでご了承ください。

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