
源平合戦で活躍した武将「那須与一公(なすのよいちこう)」。東京都内で唯一、彼にゆかりのある神社が「太田神社」です。
そんな太田神社は、弓の名手であった那須与一公にちなんで「一願必中(いちがんひっちゅう)=願い事が一度で叶う神社」といわれ、人々の信仰を集めています。
なぜ「一願必中」といわれるようになったのか?実際にお参りした様子とともにレポートします!
太田神社とは

東京都大田区、池上線「池上駅」が最寄りの太田神社。閑静な住宅街のなかに建つ、キリッと凛々しい佇まいの神社です。

ご祭神は、誉田別命(ほんだわけのみこと)。応神天皇の神格化された姿とされ、全国の武家から武運の神「弓矢八幡」として崇敬を集めてきました。
応神天皇の時代には日本への文化・技術導入や治水・利水による国づくりが進んだため、教育・産業の神としても広く信仰されています。また、応神天皇の母である神功皇后はさまざまな困難の中で無事に応神天皇を産み、立派に育て上げたことから、安産・子育ての神としても広く信仰されています。

その他、かまどや火をつかさどる「竈(かまど)神社」、食べものや商売をつかさどる「稲荷神社」、雨や水をつかさどる「貴船神社」など、暮らしに身近な神様がともに祀られています。
太田神社がいつできたのかは、戦争で古い記録がなくなってしまい、はっきりとは分かっていません。しかし、江戸時代・文化文政期の文献に太田神社についての記載があり、少なくとも300年以上の歴史があると考えられています。
なぜ「願えば叶わぬこと無し」?

弓の名手であった那須与一公にゆかりがあり、「一願必中(いちがんひっちゅう)=願い事が一度で確実に叶う神社」といわれる太田神社。その由来は、1185年に起きた源平合戦の一戦、「屋島の戦い」であるとされています。
当時は「平家にあらずんば人にあらず(平家の一門でなければ人間ではない)」といわれるほど、平家が強い勢力を誇っていました。しかし源頼朝が兵をあげて以来、平家はだんだんと負けが続き、西へ西へと追われていきます。そしてとうとう源氏の軍は、屋島(現在の香川県高松市。当時は離島だった)までせまってきました。
海の上には平家の赤い旗がはためき、陸の上には源氏の白い旗が一面に広がります。緊迫した状況のなか、平氏側は船に立てた竿の先に扇(おうぎ)を掲げ、「あの扇を射落とせたら誉(ほまれ)」と源氏側を挑発しました。
その日は北風が強く吹きすさび、波も高く、船はぐらぐらと揺れていました。船の上に立てられた赤い扇(おうぎ)は、少しもじっとしていません。普通なら、とても射ることはできない状況です。
しかし、矢を外せば平家は大笑いするでしょう。源氏の威信をかけた重要な場面で指名されたのが、当時まだ17歳の那須与一でした。海の上には平家の人たちが船を、陸の上には源氏の人たちが馬をずらりと並べ、かたずをのんで与一を見つめています。
与一は目を閉じ、心の中でお祈りしました。「神様、どうかあの扇のまん中に矢を当てさせてください」。そうして馬に乗って矢をつがえ、思いきり弓を引いて放ったのです。
その矢は、扇の中央を見事に射ぬきました。海の上の平家は船をたたいて感動し、陸の上の源氏は矢入れをたたいて大騒ぎしました。
この「一矢必中」のエピソードが『平家物語』などに記され、伝説として語り継がれることになりました。単なる武勇伝を越えて、「武士の誇り」「命をかけた集中と技」「勇気と名誉」の象徴として、多くの人の心に残る名場面になっています。
こうした与一の精神や勝負強さにあやかろうと、スポーツの試合など勝負事の前、受験前、仕事など重要な決断のとき、多くの人が太田神社にお参りに訪れるのです。

太田神社のお守り・御朱印
太田神社のお守りや御朱印などは、下記の期間のみ授与していただける貴重なもの。当日は混雑が予想されるため、お目当てがある方は、時間に余裕をもって訪れることをおすすめします。
・初詣期間(1日~3日)
・例大祭期間(5月15日直前の金・土・日曜日)
※期間は変更の可能性があるため、訪問前に太田神社ホームページをご確認ください。
手漉きの和紙でつくられた、名刺サイズの「一願必中守」。合格・必勝祈願、心願成就を望む方は、ぜひ財布や手帳などに入れて持ち歩いてみては。

また太田神社では、境内にある竃神社の御朱印もいただくことができます。
偶然ながら、緑の市松模様に「竈」と書かれたデザインは『鬼滅の刃』の竈門炭治郎を想起させ、鬼滅ファンの筆者は大興奮でした。

武士道を感じる境内
太田神社の鳥居をくぐると、石造りの階段があらわれます。


自然の石を積み上げた階段なので、整備された階段のように足早にのぼるというよりは、一歩ずつ足裏で感触を確かめながらのぼる道のりになります。
普段なら、歩きながらついスマホの通知を気にしてしまいがちな筆者ですが、太田神社の階段では自然とスマホをしまうことに。その分、呼吸や足元に意識が向いて、気持ちがすっと切り替わりました。
のぼりきると「一願必中」の旗とともに、さっぱりとして清々しいたたずまいの太田神社が。高台なので、抜け感のある開放的な景色が広がっています!

武士から絶大な支持を得た神社らしく、手を清める手水舎なども、飾り立てない素朴なたたずまい。侍らしい質実剛健な美意識が感じられます。



太田神社へのアクセス
太田神社へは、池上線「池上駅」よりバスで約11分、徒歩なら約19分です。
「池上駅」で降りたら「北口・東口」の看板に向かい、エスカレーターで下へ。

エスカレーターを降りると右手に、東急バスの乗り場があるので「品94、井03、井09、森04、森05、森06系統」の乗り場に並びます。

そのままバスに揺られること約11分。「池上営業所」でバスを降りましょう。

バスを降りたら、奥に見えるセブン-イレブンに向かって進みます。すると大きな交差点に突き当たります。

「太田神社参道」という交差点を右に曲がります。

あとはひたすらまっすぐ進み、突き当たりにあるのが太田神社です。お疲れ様でした!

浄化パワーを実感!

太田神社にお詣りすると、本殿までの階段をのぼりきった達成感、さっぱりと清潔な境内、眺望のよさがあいまって、お参りすると日々のモヤモヤが一掃されたような爽快感が!
邪念がなくなり、自分のやるべき事にフォーカスできるようになるので、たしかに「一願必中」のご利益がありそうです。
試験やスポーツなどの勝負事を控えている方、大事な決断をしようとしている方はぜひ、太田神社を訪れてみてください。与一のように、ズバリ射止めることができるはず!
<太田神社>
・住所:東京都大田区中央6-3-24
http://yoichi.tokyo.jp/
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取材・文:山﨑彩恵子(東急公式サイト編集部)
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