
2025年は、世田谷線三軒茶屋〜下高井戸間が開通して100年となる節目の年。東急電鉄では、このアニバーサリーイヤーを祝うため、記念ヘッドマークステッカーを取り付けた車両の運行や、開通当時から現在までの写真を紹介する中づりポスターの掲出の他、マルシェやスタンプラリーなど、沿線商店街や地域住民の皆さまと連携したさまざまなイベントを、一年を通して開催しています。
こうした100周年イベントの一つとして、2025年9月7日(日)、「世田谷線沿線イベント絵画表彰式&駅と商店街のコラボレート・クリーン大作戦功労団体表彰式」が開催されました。イベントでは、地域住民の皆さまが沿線の駅前と商店街を清掃する「クリーン大作戦」の“拡大版”として、通例の清掃活動に加え、「世田谷線沿線イベント絵画の優秀賞」と「クリーン大作戦功労団体」の表彰式も実施。沿線全体が大いに盛り上がった当日の様子をレポートします。
沿線の8つの商店街で一斉に行う清掃活動
日曜日の朝早い時間にもかかわらず、下高井戸駅入り口に設けられた受付は、「クリーン大作戦」に参加するたくさんの人でにぎわっていました。本日は、ここ下高井戸商店街を含む、沿線の8つの商店街で一斉に清掃活動が行われます。

受付では、近くにある日本大学文理学部の学生さんたちが、多くの参加者に対応しています。毎回30人近くの学生さんがボランティアとして加わっているそうで、地元の人によると「もはやなくてはならない存在」だとか。

下高井戸商店街振興組合の旦尾(あさお)理事長の合図を皮切りに、トングとごみ袋を手にした参加者は一斉に街に繰り出します。

家族や友だち同士でチームを組み、日頃から気になっている場所に向かい、タバコの吸い殻や空き缶などのごみを拾います。企業の関係者も多数参加し、地域一丸となって街の美化に汗を流していました。清掃活動に同行して気付いたのは、皆さんがとても楽しそうなこと。参加者同士で会話も弾み、貴重なコミュニケーションの場となっていることが伝わってきました。

30分ほどごみ拾いをして、下高井戸駅に戻ります。集めたごみを分別し、首から下げていた当日の参加証を受付に返すと、沿線の商店街で使える共通ポイントや、この日は世田谷線開通100周記念として特別に缶バッジと交換してもらえます。缶バッジは、すぐさまバッグに取り着けるお子さまや参加者が多く、世田谷線が深く親しまれていることをあらためて実感しました。


絵画コンクールや清掃活動の功労者を讃える“表彰式”も開催
「クリーン大作戦」が一段落したところで、宮の坂駅前にある宮坂区民センターへ移動。沿線各所から関係者が集まり、「世田谷線沿線イベント絵画の優秀賞」と「クリーン大作戦功労団体」の表彰式が執り行われます。
まずは、世田谷線開通100周年記念事業実行委員会の飯島委員長と、世田谷線沿線イベント検討会の旦尾会長が開会のあいさつに立ち、「世田谷線が沿線の暮らしになくてはならない路線」であり、「今後も沿線の絆を深め、地域を活性化していきたい」と語りました。


続いて、東急電鉄 世田谷線管区の中村区長が登壇。「世田谷線沿線イベント絵画の優秀賞」の選出経緯を説明しました。
世田谷線沿線イベント検討会では、毎年、地域のイベントをテーマにしたポスター用絵画を募集しています。今回は、世田谷線開通100周年を記念し、100枚の絵を募集したところ、予想を上回る190枚もの作品が集まったとのこと。その中から、各校1枚ずつ優秀賞を選出し、本日この場で表彰するそうです。
「皆さんの作品は、世田谷線と地域の魅力を見事に表しており、私たち職員一同も大変感動しています」(中村区長)

表彰式では、受賞者の名前が一人ずつ読み上げられ、賞状と景品が手渡されました。「頑張って描いたので、優秀賞に選ばれてうれしい」、「絵が好きなので選ばれて良かった」など喜びを口にする子どもたち。その様子を見守るご家族や来場者の顔にも、あふれんばかりの笑顔が浮かんでいました。

なお、優秀賞に選ばれた作品は、世田谷線の車内の中づりポスターとして掲載されます。

この先も世田谷線沿線の“美化”に貢献したい
続けて「クリーン大作戦功労団体」の表彰式が行われました。
司会を担当したNPO法人まちこらぼの柴田さんによると、「クリーン大作戦」が始まったのは2004年。3カ月に一度、年に4回開催されるこのイベントは、今回の開催で実に87回目を迎えます。沿線の駅前商店街が中心となり、地域の方々が協力して継続してきた取り組みですが、本日は世田谷線開通100周年記念にちなみ、これまで大きな貢献をいただいた団体を讃えます。

表彰されたのは、冒頭でもご紹介した日本大学文理学部 桜麗祭実行委員会など、沿線で活動する8つの団体。登壇した代表者の皆さんは、100周年記念のイベントに参加できた喜びを伝えつつ、「引き続き沿線の美化に注力していきたい」など、取り組みへの決意を新たにしていました。


表彰式の後には、東急線キャラクター のるるんも登場。参加者全員で記念写真を撮るなど大いに盛り上がる中、「世田谷線沿線イベント絵画表彰式&駅と商店街のコラボレート・クリーン大作戦功労団体表彰式」は閉会となりました。
それぞれが抱く世田谷線への思い
今回は世田谷線開通100周年記念イベントということで、参加者に「世田谷線への思い」を聞きました。
日本大学文理学部の学生さんは、「世田谷線はめちゃくちゃ好き。特に地域密着型のイベントを開催した時に、沿線全体が盛り上がるところがすごい」とコメント。
下高井戸で「クリーン大作戦」に参加していた女性は、「(今はもう閉店したけれど)線路沿いのピザ屋で、世田谷線が走っているのを眺めながら食事をするのが大好きで、この街に引っ越してきたくらい。やっぱり電車の感じがいいんです。路面電車の昔ながらの雰囲気が好きで、そんな風に世田谷線を身近に感じられることも、この街を選んだポイントのひとつになっています」とにこやかに語ってくれました。
また、「クリーン大作戦功労団体」に選ばれた赤堤2丁目町会(松原駅)の高橋会長は、「町内で開催している音楽イベントでの思い出」を披露してくれました。
「世田谷線沿いに赤堤六所神社があって、そこで毎年秋に『六所の森クラシックコンサート』を開催しています。その演奏を聞いていると、横から世田谷線の電車の音が聞こえてきてね。その音と、神社のかがり火の中で行うコンサートの雰囲気がすごく合う。いつも素敵な時間を過ごさせてもらっています」(高橋会長)
沿線住民に愛される路線として、100周年を迎えた世田谷線。沿線で暮らす多くの人の努力と愛情によって街の美しさが維持されていることが、深く伝わってくるイベントでした。
掲載店舗・施設・イベント・価格などの情報は記事公開時点のものです。定休日や営業時間などは予告なく変更される場合がありますのでご了承ください。
