
東急百貨店の関連会社として、東急百貨店を中心に店舗を展開し、ハイブランドの高級時計や宝飾品を販売している「東急タイム」。時計修理技能士1級の技術者を擁したウォッチメンテナンスルームを常設するなど、ハイレベルな顧客対応で幅広い層のお客さまから人気を集めています。
そんな東急タイムのフラッグシップ店ともいえるのが、「渋谷ヒカリエ ShinQs店」です。今回はその店長 米山さんにインタビュー。ハイブランド時計の専門家として、上質な接客でお客さまに寄り添う姿をお伝えします。
■東急タイム「渋谷ヒカリエ ShinQs店」店長 米山さん
東京都出身。1997年、株式会社 東急タイムに入社。その後、東急百貨店本店 時計担当に配属され、本店営業終了後の2023年から「渋谷ヒカリエ ShinQs店」で3ブランド《パテック フィリップ・カルティエ(ウォッチ)・ピアジェ》の店長を務める。
■渋谷ヒカリエ ShinQs〈シンクス〉
東急百貨店が運営する商業施設「渋谷ヒカリエ」の地下3階〜5階にあるショッピングエリア。主に女性向けのファッション、ビューティー、ライフスタイル雑貨、スイーツなどを中心に、約230のショップが揃う。
※記事内で紹介する情報は2024年時点のものです。最新情報は「東急タイム」「渋谷ヒカリエ ShinQs」等の公式サイトでご確認ください。
東急タイム「渋谷ヒカリエ ShinQs店」とは?

――2023年から「渋谷ヒカリエ ShinQs店」の店長を務めていらっしゃるとのことですが、現在の業務内容について教えてください。
米山さん:渋谷ヒカリエの2階にある3ブランド《パテック フィリップ・カルティエ(ウォッチ)・ピアジェ》の店長を務めています。主な業務は商品の販売と店舗の管理・運営です。お客さまへの販売だけではなく、スタッフとのコミュニケーションを通じ、業務を楽しく円滑に進めるための環境づくりにも力を注いでいます。
――「渋谷ヒカリエ ShinQs店」ならではの特色はありますか?
米山さん:「渋谷ヒカリエ ShinQs店」は、比較的若いお客さまが多くいらっしゃいます。当店は他の東急タイムの店舗と違って、パテック フィリップ・カルティエ(ウォッチ)・ピアジェといったハイブランドとの契約のもと、ブランドごとに部屋を設け、それぞれ百貨店のハイブランドショップのような設え(しつらえ)にしています。路面店や百貨店は少し敷居が高いけれど、それぞれのブランドに精通した人たちに相談したい、話を聞いた上で商品を選びたいといった、若いお客さまの潜在的なニーズにも応えるつくりになっているんです。
ちなみに、渋谷ヒカリエの5階には当店と同じように東急タイムが運営するフランク ミュラーのマスターズ ルームがあるのですが、そちらでもやはり若いお客さまや女性、外国人のお客さまが来店されるケースが増えてきています。
――さすがは若者の街・渋谷ですね!若い方の間でもハイブランド志向が高まっているのでしょうか。最近はインターネットやSNSにさまざまな情報があるので、お客さまもいろいろな情報を見聞きしてから来店されるのではないですか?
米山さん:たしかに、ご自分で情報を収集して、購入したい商品を決めてから来店されるお客さまもいます。それでもインターネット上で購入しないのは、自分の目で実物を確認したい、専門家の意見も聞いてみたいという気持ちがまだまだ強いからだと思います。「渋谷ヒカリエ ShinQs店」としては、そういったお客さまに今後もしっかりと寄り添いながら、最適な提案をしていきたいですね。
「時計の専門家」としてお客さまに寄り添う

――専門家ならではの意見というと、どういったことがあげられますか?
米山さん:わかりやすいところでは「流行」でしょうか。実は時計にも流行があり、いま流行っているもの、これからまた流行りそうなものなどがあります。その時々によって、サイズやカラーなどのトレンドがあるので、ファッションに敏感な方はかなり気にされますね。あと、ハイブランドの高級時計に関しては近年、投資価値が高まってきており、投資対象としてどういった時計が向いているのかといった相談を受けることもあります。
――いろいろなタイプの質問や相談に応じているんですね。かなりの知識量が求められそうです…。
米山さん:ブランドや時計に関する専門知識が求められるので、入社当初は特に必死に勉強しました。ただ、勉強に終わりはありません。ブランドからは次々と新しい商品がリリースされますし、技術も進化していますので、それらをできるだけタイムリーにキャッチアップしつづけなければなりません。また、最近は投資ブームの影響で過去のラインアップに関しても知識を掘り起こしたり、深掘りしたりする必要が生じていますね。
――そういった知識はどのように学ぶのですか?
米山さん:ブランドごとのセミナーに参加したりするのはもちろん、スタッフたちとの会話のなかからも新たな知識を得られることが多いですね。時計の知識はとても広くて深いので、自分ひとりではどうしても抜け落ちてしまう部分があります。そういったところをスタッフとの情報共有で埋めることができるんです。また、目利きのお客さまとのコミュニケーションを通じて得られる知識もたくさんあるので、接客の際にも常にアンテナを高く立てておく必要があります。
――他にも、ひとりでも多くのお客さまに興味を持っていただくために取り組んでいることがあれば教えてください。
米山さん:初めて来店されるお客さまはもちろん、足が遠のいてしまったお客さま、時計に潜在的な関心をお持ちの方々などにご来店いただくきっかけをつくることを目的として、最近はInstagramなどでの情報発信はもちろん、商品のレイアウトやショーウインドウの内容を適宜変更したり、独自のフェアを開催したりしています。
フェアについては、ひとつのシリーズラインアップをテーマにして店舗で行うこともあれば、ホテルの一室を借りて行うこともあります。とにかくそういった“発見”の機会を積極的につくって、お客さまに関心を持っていただきたいと思っているんです。
上質な接客がコミュニケーションのカギ

――接客ではどんなことを意識されていますか?
米山さん:東急百貨店や東急タイム、そしてハイブランドの看板を背負っていることを自負し、百貨店時代から培ってきた上質な接客を一貫して重視しています。同時に気をつかっているのがコミュニケーションです。学んだ知識を生きた知識にしていくには、お客さまとのコミュニケーションのなかで活用していくのが一番なので、新しく得た知識は極力、話題に出すようにしています。
――コミュニケーションを重ねていくなかで、お客さまについてより深く知ることもできそうですね。
米山さん:そうなんです。そのうえで、お客さまがどういう家族構成なのか、どんな商品に関心があるのか、どのような趣味や好みなのか…といったことを把握できたら、次回の接客に生かしていくようにしています。たとえば、家族構成や結婚記念日、誕生日などを把握していれば、お祝いの品として商品をご提案することができますし、お客さまの趣味や好みを把握していれば、数ある商品のなかからその方にぴったりのものをお勧めすることができます。
――時計以外の話題にも精通している必要があるんですね。
米山さん:手掛かりになるのは会話だけではないんです。お客さまが身につけている物から好みを推測し、話を広げていくこともできます。そういう意味では、自分のなかに話題の引き出しをたくさんつくっておくことが大切です。とはいえ、ひとりで幅広い話題に精通するのはなかなか難しいことです。ですから、お客さまの趣味なども考慮したうえで担当者を決め、お客さまがお話ししやすい環境をつくるようにしています。そのほか、お客さまの年齢に近いスタッフを担当者にすることで、より親近感を覚えていただきやすくなったりもしますね。
お客さまの笑顔のために挑戦したいこと

――やりがいを感じた瞬間やエピソードがあれば教えてください。
米山さん:渋谷ヒカリエの近隣で会社を経営している方が「専務に時計をサプライズでプレゼントしたい」とご来店されたことがありました。私たちとしては、直接お会いしたことがない方の時計を選ぶのは情報量が少ないだけに難しいんですが、その経営者の方と一緒にどんな時計なら喜んでいただけるかと、あれこれ試行錯誤しながらチョイスさせていただきました。
すると翌日、専務ご本人がプレゼントされた時計を腕につけて、満面の笑顔で来店してくださったんです。本当にうれしそうで、私たちも自分のことのようにうれしくなりましたし、この仕事をやっていてよかったなと思えました。しかも、うれしいことにその後もおふたりとも継続的に当店へご来店くださっています。こうしたご縁をどんどん紡いでいきたいですね。
――素晴らしいですね。時には難しい相談をされることもあるかと思いますが、印象に残っている出来事はありますか?
米山さん:短納期での納品をご希望される時でしょうか。納品には、検品も含めて通常2~3週間、早くても1週間ほどかかるのが一般的で、それよりも短い期間で納品するのはなかなか難しいのですが、どんな状況でもブランドと交渉しながら、何とかお客さまのご希望に沿えるよう全力を尽くしています。
また、限定品など入手困難な商品をご希望される場合も、東急百貨店グループとして長年にわたって取り引きを続けてきた強みを生かして粘り強くブランドと交渉し、できるかぎりご期待に応えられるようにしています。
――今後、東急タイム「渋谷ヒカリエ ShinQs店」や米山さんが挑戦してみたいことなどがあればお聞かせください。
米山さん:若い方も含めて、お客さまに時計のことをより深く知っていただくためにも、メーカーの工場見学などを実施できればおもしろいかなと思っています。時計好きの方は機械やモノづくりにも興味をお持ちの傾向があるので、製造現場にもきっと関心があると思うんです。
こうした企画だけではなく普段からの接客もそうですが、他店ではなかなかマネすることができない“体験”をご提供することで、差別化を図りながら顧客満足度を高められればと考えています。
渋谷ヒカリエ ShinQs
・所在地:東京都渋谷区渋谷2-21-1
・総合案内:渋谷ヒカリエ インフォメーションカウンター(受付時間:平日・土 11時~21時 / 日・祝 11時~20時)
・公式サイト:https://www.tokyu-dept.co.jp/shinqs/index.html
東急タイム「渋谷ヒカリエ ShinQs店」
■パテック フィリップ/2階
■カルティエ(ウォッチ)/2階
■ピアジェ/2階
■フランク ミュラー マスターズ ルーム/5階
■ウォッチ&メンテナンス/5階
■ジュエリー/5階
※東急タイムの運営店舗一覧はこちら
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東急公式サイト編集部
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