「世田谷線 三軒茶屋駅前マルシェ」レポート

東急電鉄

2025/11/7

2025年は、世田谷線三軒茶屋〜下高井戸間が開通して100年となる節目の年。東急電鉄では、このアニバーサリーイヤーを祝うため、記念ヘッドマークステッカーを取り付けた車両の運行や、開通当時から現在までの写真を紹介する中吊りポスターの掲出の他、マルシェやスタンプラリーなど、沿線商店街や地域住民と連携したさまざまなイベントを、一年を通して開催しています。

2025年10月5日(日)、こうした100周年イベントの一つとして、世田谷線三軒茶屋駅前広場にて「三軒茶屋駅前マルシェ」が開催されました。世田谷線沿線の8つの商店街と東急電鉄がブースを出店した他、会場には100周年を記念して、沿線の小学校7校から募集した「世田谷線沿線イベント絵画」190枚も展示されました。沿線の魅力が集結したイベントの様子をレポートします。

沿線8つの商店街が集合した100周年記念マルシェ

春に続き、2回目の開催となった世田谷線開通100周年記念マルシェ。会場となった世田谷線三軒茶屋駅前広場は、開始時刻の11時から多くの人でにぎわっていました。各ブースでは、各商店街の自慢の逸品や世田谷線開通100周年に関連する商品が並びます。お目当ての品を求め、ブースを楽しそうにのぞいて回る来場者の姿が会場のあちこちで見られました。

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日曜開催のマルシェには、楽しげな声と笑顔があふれていました

世田谷線開通100周年記念のTシャツなどを出品していたのが、山下商店街振興組合です。今回の開催に向けて、100周年記念缶バッジなどが入ったカプセルトイを独自に用意するなど、並々ならぬ意気込みが感じられます。

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ブースにはTシャツやカプセルトイの他、招き猫柄の手拭いやご朱印帳なども
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缶バッジ、アンブレラマーカー、キーホルダーの3種。モチーフは全て、世田谷線車両!

大きな「ねぶた」が飾られ、ひときわ目立っていたのが、若林中央商店会のブースです。「ねぶた」は、若林小学校の子どもたちが、捨てられた服から再生した紙で作ったもので、子どもたちのアイデアで小学校のキャラクターや世田谷線があしらわれているとのこと。子どもたちがデザインした絵はがきも飾られていましたが、ここにも世田谷線が描かれており、沿線の小学生にとって身近な存在であることが伝わってきました。

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中央にあるのが、若林小学校のSDGsプロジェクトで作られた「ねぶた」
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若林小学校のキャラクター「わかばちゃん」(右)と世田谷線(左)が仲良く並んでいます! 

その他のブースにも工夫が施されています。まず、おもちゃの景品が当たる「宝つり」で来場者の目を引いていたのが、太子堂商店街振興組合のブースです。地域のおもちゃ屋で販売されているレトロな玩具がたくさん並び、多くの子どもたちが集まっていました。

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たくさんの子どもたちが遊びにきていた、太子堂商店街振興組合のブース

松陰神社通り松栄会商店街振興組合のブースでは、地域のシンボルである松陰神社に関連する商品がずらり。さらに100周年記念のめがねクロスなど、世田谷線ゆかりの品も多数並びます。

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松陰神社ゆかりの商品をアピールする、松陰神社通り松栄会商店街振興組合の皆さん

世田谷線だけでなく、その前身である「旧玉川線(たまでん)」に関係する商品も並べていたのは、世田谷駅前商店街振興組合です。パッケージに車両をデザインした「たまでん羊羹」や、豪徳寺の招き猫をモチーフにした「お猫様の金平糖」が人気とのこと。

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世田谷線の前身「たまでん」も大好きだという、世田谷駅前商店街振興組合の皆さん

他にも、ボロ市通り桜栄会商店街振興組合のブースでは、地域の店舗でも大好評の無添加ドレッシングや、コーヒー豆を販売。豪徳寺商店街振興組合のブースではマルシェ限定の、招き猫と世田谷線開通100周年ロゴマークをモチーフにしたかわいらしいアイシングクッキーやカフェのお菓子が販売された他、下高井戸商店街のブースでは、障がい者施設の皆さんが手作りした、パンやフェルト製品が並び、来場者の関心を集めていました。

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自慢の商品を手にする、ボロ市通り桜栄会商店街振興組合ブースのお二人
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豪徳寺商店街振興組合のブースには、地域になじんだ人気のカフェ2軒が出店
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下高井戸商店街のブースには、おいしそうなパンやかわいい小物がいっぱい!

東急電鉄のブースで販売していたのは、2026年版の「東急線電車カレンダー」と、世田谷線乗務員が企画したカプセルトイ。カプセルトイは特に人気で、通り掛かった来場者が次々と足を止めます。今回用意したのは、世田谷線をモチーフにしたペットボトルキャップとキーホルダー。欲しい物が出るまで繰り返し挑戦するなど、子どもたちが夢中になっていました。

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東急電鉄のブースは、子どもたちに大人気! 

小学生が描いた“沿線絵画”190枚も展示

もう一つの見どころが、会場の一角に展示された「世田谷線沿線イベント絵画」です。これは、世田谷線開通100周年を記念して、沿線の小学校7校から、世田谷線の風景や地域のイベントをテーマにしたポスター用絵画を募集したものです。2025年9月7日(日)に宮の坂駅前の宮坂区民センターにて、優秀作品を描いた子どもたちが表彰されました。今回のマルシェ会場には、全応募作品190枚が展示されています。

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子どもたちが描いた世田谷線と、沿線の風景がずらり!

展示スペースには、絵画作品を応募した小学生とその保護者が次々と訪れていました。「少し恥ずかしいけど、絵をみんなに見てもらえるのはうれしい」と、子どもたちはニコニコしながら展示の感想を口にします。その横では保護者の皆さんが、あたたかく見守るような、少し誇らしげな表情でお子さまの作品を見ていました。

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自分の作品を指差す子どもたちと保護者。皆さん、うれしそう

地域住民から寄せられた沿線への思い

出店者や来場者に「世田谷線への思い」を聞きました。

展示された絵画を見ていた保護者は、「私も子どもたちも、世田谷線が好きです。特に子どもたちは、生まれてからずっと見続けているので(世田谷線が走るイメージが)原風景になるのではないでしょうか」とコメント。その場にいたお子さんも、「街にうまく溶け込んでいるところが好き」と、はにかみながら話してくれました。

若林小学校の「ねぶた」プロジェクトを率いる先生は、「地域住民との“距離”が近い沿線」だと言います。

「他の路線は親御さんと一緒に乗らないといけないのですが、世田谷線だけは子どもたちだけで乗っていいというルールを決めているご家庭も多いです。『ねぶた』のモチーフに世田谷線を入れることも、子どもたちから自然に出てきた意見。それくらい身近で安全な電車というイメージです」(若林小学校の先生)

一方、出店者からは、「最近はインバウンドも増え、沿線がにぎわって良い」という声や、 “猫電車”(幸福の招き猫電車)目当ての観光客が増えていることを喜ぶコメントも聞かれました。

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そして最も多く聞こえてきたのが、「このままずっと走り続けてほしい」という声です。

「今は他の沿線に住んでいるのですが、世田谷線ののんびりした感じが好きで、用事はなくても時々乗りにきています。沿線にはすてきな駅や商店街がいっぱいあるので、このままずっと世田谷線と街が一緒に歩んでいってくれればと思います」(来場者)

「今、東京に路面電車って2つしか残っていないじゃないですか。そういう意味でも貴重だと思います。われわれ地域住民にとっては、乗るとご近所さんに会えるちょっとした社交の場にもなっています。幅広い年代が集まる“街の財産”だと思いますので、ぜひこのまま長く走り続けてほしいですね」(出店者)

世田谷線とともに発展してきた商店街の魅力と、沿線で暮らす(訪れる)皆さんの“世田谷線愛”をあらためて体感できるイベントでした。

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