渋谷で働く人々に、
もっと渋谷&東急への愛着を感じてもらいたい。
Shibuya TOQ Pass開発に込められた想い

渋谷スクランブルスクエアや渋谷ヒカリエ、渋谷ストリームをはじめとする東急㈱関連施設で働く人々に向けて開発され、2024年6月から本格運用がスタートしたアプリ「Shibuya TOQ Pass」。渋谷周辺で開催されるイベント情報や、さまざまな対象施設で受けられるお得な優待情報などを提供し、ユーザーをどんどん増やし続けています。このアプリの開発と運営に携わる2人に、開発における経緯、おすすめの優待情報や渋谷で働くことの魅力、今後の展望などを聞きました。

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渋谷の東急(株)関連施設で
働く人々のロイヤリティ向上を目指して開発

――「Shibuya TOQ Pass」の開発に至った経緯を教えてください。

浅見 2012年に渋谷ヒカリエが開業するタイミングから、オフィスワーカー向けの優待として始めた紙のパス「Shibuya worker's pass」が前身です。優待を提供してくださる商業を中心とした店舗でパスを提示すると、割引などが受けられるサービスなのですが、そもそもどこで使えるのかが不明瞭で、権利を持っているのに享受できていない人が多いことが課題でした。

その後、渋谷キャスト、渋谷ストリームと、続々と施設が開業し、優待提供店舗も増えていく中で、2022年頃からデジタル化をする声が上がり、不動産運用事業部とデジタルプラットフォーム協同で検討を始めました。そして1年半ほどの準備期間を経て、2024年の6月にローンチしました。

寺山 紙パスだとデータが取れないことと、優待を提供してくださるテナント様が実際にどれだけの人がどう使ったかの把握ができないことなどが課題でした。

そこから、「渋谷で働くオフィスワーカーの東急㈱に対するロイヤリティの向上」をテーマに、不動産運用事業部と一緒に開発を進めていきました。今までできていなかったデジタルを使った、オフィスで働く体験やそこで過ごす時間の使い方を向上していこうと、まずは優待の利便性をあげる土壌を整えました。

――「Shibuya TOQ Pass」の業務において、お2人はどのような役割でお仕事をされているのでしょうか。

浅見 寺山さんが所属するURBAN HACKSの立ち上げが2021年7月。東急グループのデジタルサービス・プロダクトの内製開発・運営をしていくことを目的とした組織です。各事業が抱えるリアルの顧客接点とデジタル接点を融合することで新しい価値を提供するべく、さまざまな事業部やグループ会社と連携しています。ただ、URBAN HACKSは中途採用の社員がほとんどなので、100年以上の歴史がある東急グループならではの文脈を理解しづらいのが実情です。

寺山 お恥ずかしながら、どのステークスホルダーに対して、どのようなコミュニケーションを取るとよいのかなど、東急グループの組織の中でどう立ち回ればいいのかという知見が足りていないのは否めません。不動産運用事業部とも方向性の擦り合わせや役割分担も求められていたものの、擦り合わせが必要な情報の勘所や共通言語が今までといた環境とは異なるため、プロジェクトの開始当初は苦戦しました。そういった動き方の部分は、アカウントマネージャーの浅見さんに補ってもらっています。

浅見 私は、東急グループの中と広く向き合い、不動産運用事業部と連携したり、時には事務まわりをやったり。いずれにしても、互いに持ちつ持たれつの関係だと思っています。

寺山 浅見さんには「こういうのはどうかな?」とアイデアを聞いてもらったり、進め方を迷った際の壁打ちの相手になっていただいたりと、頼りにしています。

知られざる、さまざまな優待やサービスが盛りだくさん!

――アプリを開発していく中でご苦労されたことがありましたら、聞かせてください。

寺山 私は最初から携わっていないので聞いた話になってしまうのですが、情報元となるコンテンツデータを集めることがとても大変だったと聞いています。元々が紙のパスだったので、アプリを立ち上げるために、約200以上の優待を提供してくださっているテナント様の優待内容や店舗情報をデータ化することからスタートしたそうです。各施設の運営担当者との調整をもとに、アプリのUIや設計を細かくチューニングして最適化していったと聞きました。

浅見 私も途中からジョインしたため、戸惑いもありました。開発当初から泥臭いことを積み上げてきたメンバーの中に我々がパッと入ろうとすると温度差が生まれるので、目線合わせを重視しました。不動産運用事業部のみなさんも含めて、ざっくばらんに会話をする時間をたくさん作り、同じ目標に向かっていけるように考え方や情報を共有しましたね。

――おすすめの「Shibuya TOQ Pass」の使い方はありますか?

寺山 幅広いジャンルのテナント様に優待の提供をしていただいていますが、ランチに飲食店で利用されるケースがほとんどです。でも実は、リラクゼーション系や、渋谷スクランブルスクエア11階の『TSUTAYA BOOKSTORE』のシェアラウンジの優待など、仕事後や休日にも使えるサービスもたくさんあるんですよ。そこはもっと使っていただけるといいなと思います。

浅見 私のイチ推しは、渋谷スクランブルスクエアにある展望施設「渋谷スカイ」の年間パスポートです。期間限定での優待価格の提供でしたが、年パスだから何回でも行けるので、仕事後や休日のリフレッシュスポットとして、いろんな人におすすめしたいですね。

  • (※)販売・使用期間共に、現在は終了しています。

その日の気分に合わせて
ノマド的な
働き方が
しやすい街、渋谷

――渋谷の再開発では「働く、遊ぶ、暮らす」が融合した持続性のある街を目指しています。実際に渋谷で働いているお2人から見て、渋谷の街はどう映っているのでしょうか。

寺山 学生時代から馴染みがあり、土地勘もあるので、お昼休みにプライベートな用事を済ませたり。働く時間の余白を有意義に過ごせる街だと感じています。

浅見 私にとって、働くために来るというよりは、働くことプラス、あれして、これして、最後はお酒を飲んで…、という場所。週末を含めて、1日の生活が成り立つ空間になっていますね。「休日はなるべく職場に近づきたくない」という人もいると思いますが、私は休日にもフラっと渋谷に来ることがあります。まさに「働く、遊ぶ、暮らす」の融合を体感しながら生活しています。

――働く場所としての渋谷の魅力はどんなところにあると思いますか?

寺山 私はずっと同じ場所で仕事をすることが苦手で、8時間同じ場所に座っているよりも、3時間ごとに場所を移動するほうが集中できるんです。今の環境は、自分の執務室はもちろん、「WeWork(ウィーワーク/渋谷スクランブルスクエアにあるシェアオフィス)」、または朝から本社のフリースペースに行って仕事をすることもできます。そうやって気分に合わせてノマドっぽい働き方ができるところがいいなと思いますし、渋谷はそういうことをしやすい街だと思いますね。

浅見 確かに。私もその感覚は近いです。作業に集中したいときは、「NewWork (ニューワーク/法人会員制サテライトシェアオフィス)」を利用することもあります。各デスクが仕切られていて静かなので、作業に没頭できるんですよね。

オフィスワーカー、
テナント、東急にとっての
“三方良し”を目指す

――「Shibuya TOQ Pass」のこれからの展望を聞かせてください。

寺山 優待の部分に関しては、だいぶ育ってきている感覚があって、ワーカーのみなさんに確実に価値を届けられていると認識しています。「便利だな」「お得だな」につながっているとは思うのですが、“渋谷の、東急のオフィスビルで働く”というロイヤリティにつながっているかというと、まだ疑問が残ります。

また、ロイヤリティとは多角的に育てていくもので、優待だけで醸成できるとは考えていません。渋谷で働いている意義をより感じてもらうためには、どういう機能や体験を提供すればいいのか。その観点で、もっと柱を増やし、育てていきたいですね。オフィスワーカーの方々に「何が便利だと感じますか?」「どんなことでテンションが上がりますか?」など直接ヒアリングして、今提供しているもの以外の価値を見つけ、アップデートしていけたらいいなと思っています。

浅見 そうですね。お得だけが価値になってしまうと、もっとお得なものが出てきた時に乗り換えられてしまう懸念があります。「Shibuya TOQ Pass」が他のアプリとは異なる付加価値を提供し、渋谷で働くことに愛着を持ってもらう入り口になるといいなと思っています。まずは渋谷を好きになってもらって、次に東急(株)のオフィスビルを好きになってもらって、最終的には東急グループを好きになってもらう。そういうデジタルコミュニケーションのツールになることを願っています。

――今後、集めたデータを活用していくことは考えていらっしゃるのでしょうか。

寺山 個々のユーザーの人格や活動が可視化されて、「ちゃんと認められているんだ」「ここに居場所があるんだ」という感覚を持ってもらうことで、そこにいたい理由は醸成されると思うんです。そのために集めたデータを使って、“個”に焦点を当てながら、いかにロイヤリティの素を積み重ねていけるかを模索していきたいです。そのためには、ユーザーの声を聞き、そこから何を選んでいくかが要かもしれません。

――Shibuya TOQ passで「実現したい世界」について、お聞かせください。

寺山 「好きだから、便利だから、つい見ちゃう」という愛着をアプリに対して持ってもらうことで、渋谷で働くときの相棒的な立ち位置に育てられたらと思っています。また、渋谷に働きに来るのは東急沿線の人だけじゃないので、渋谷で働くことをきっかけに、東急というブランドにも愛着を持ってもらえることが、私にとっての「実現したい世界」でしょうか。

浅見 アプリを使うユーザーのほかに、優待を提供してくださる商業テナントの方々も我々にとってのお客さまです。我々が集めたデータを運営に役立てていただき、それぞれの“三方良し”を目指したいです。今後もそのためのコミュニケーションを意識して、みんながこのアプリを使ってうれしくなったり、毎日が楽しくなる。そんな世界を実現したいですね。

プロフィール

寺山 優実

デジタルプラットフォーム URBAN HACKS
プロダクトマネージャー

コミュニケーションアプリの開発会社にて企業向けプラットフォームのプロダクトマネージャーのキャリアを積み、2025年1月URBAN HACKSに中途入社。「Shibuya TOQ Pass」のプロダクトオーナー兼プロダクトマネージャーを担当。東急沿線で育ち、学生時代から予定を済ませる場所といえば自然と渋谷になることが多かった。「買い物をするにも、遊ぶにも、生活の中にいつも渋谷があったので、親近感が強いです」

浅見 哲朗

デジタルプラットフォーム デジタル戦略グループ
主査

2011年入社。東急のグループ会社であるイッツコム(イッツ・コミュニケーションズ)に出向するなどしながら、情報通信系の新規事業立ち上げや商品企画を中心とした業務に従事。その後、社長秘書を経験し、2024年4月から現部署に在籍。「Shibuya TOQ Pass」のほか、東急グループの共通IDである「TOKYU ID」の推進の役割も担っている。渋谷ヒカリエの開業が控えたタイミングの入社時から、渋谷が変わっていく様子を見続けている。

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