
沿線でショートトリップ気分を味わう企画「東急線で世界一周」。第2弾となる今回は、東急線沿線の「台湾」を特集します。
世界屈指の親日国として知られる台湾。日本語が通じる場所も多いので、海外旅行初心者に人気が高い国のひとつです。
実は筆者、台湾に行ったことがありません。でも東急線に乗れば台湾文化を1日でまるっと体験できるらしいのです。さっそく世田谷線に飛び乗りました。
【下高井戸駅】本格派台湾グルメと珈琲が堪能できる「MEILI」
お昼の12:00。東急線沿線の台湾を巡る旅は、世田谷線の下高井戸駅からスタートします。ここには本格的な台湾ランチが楽しめるカフェレストランがあるのだとか。駅前の下高井戸商店街を進みます。

閑静な通りの一角に、可愛らしいお店が現れました。ここが台湾カフェレストラン「MEILI」です。

店内は温かみのあるウッド調のインテリアをベースに、台湾の伝統的なモチーフがいたるところに散りばめられています。

店内の飾りは年に1回、春節の時期に合わせて模様替えをしているといいます。紅白の花や金の扇子などの縁起物があしらわれており、見ているだけで運気が上がりそう。

お店では、可愛すぎる看板犬・豆花(ドウファ)ちゃんがお客さんをお出迎え。豆花ちゃん目当てに来店するお客さんも多いようで、オリジナルグッズがたくさん販売されていました。
早速ランチの注文へ。メニューは日本人にも馴染みのある定番の台湾料理が中心です。筆者は一番人気の「ルーロー飯」をチョイス。

たっぷり乗った角煮に、紫玉ねぎと紅芯大根のピクルス、きゅうり、ゆでたまごが添えられており、彩り豊かです。
角煮はとろけるように柔らかく、濃いめの味付けで白米との相性が抜群。鼻を抜ける五香粉(ウーシャンフェン)の香りがたまりません。ピクルスの爽やかな酸味もいいアクセントになり、全体をさっぱりとまとめ上げています。
ランチセットに付いてくる鶏出汁の薬膳スープも絶品。たまに鴨出汁や牛出汁のスープになることもあるそうなので、何度でも足を運びたくなりますね。

食後のデザートにかき氷を追加注文。こちらは、台湾の愛文(アーウィン)マンゴーひと玉と苺とミルクを凍らせ、そのまま削り出した贅沢な逸品。「雪花氷(シュエホワビン)」という台湾式のかき氷で、氷を削った後に味を付ける日本のかき氷とは異なり、最初から氷に味が付いているのが特徴です。

ひと口食べると、マンゴーとミルクの甘みが口いっぱいに広がります。かき氷特有のシャクシャク感がありつつもなめらかで、かき氷とジェラートのいいとこ取りの食感。食べ進めていくと、中から桃と薔薇のアイスも出現。水を使わずに作られているので、溶けても味が薄まらないのがいいですね。

ランチもスイーツも最高においしいMEILIですが、名物は「台湾珈琲」なんです。台湾の珈琲農園から豆を直接仕入れているため、価格はかなりリーズナブル。この台湾珈琲を求め、日本全国からお客さんがやってくるそうです。

台湾珈琲は苦みが少なく、お茶のような味わいが特徴的。冷めていくにつれて変化する風味を楽しめるよう、おちょこで少しずつ飲むのがMEILI流。雑味や苦みを一切感じず、スイスイと飲めました。

店内では台湾珈琲のドリップパックやパイナップルケーキなど、お土産にぴったりのオリジナル商品も販売しています。訪れた際はこちらもぜひチェックしてみてください。
MEILI(メイリー、美麗)
・所在地:東京都世田谷区赤堤4-45-17 1F
・電話番号:03-6304-3106
・営業時間:11:00~19:00(L.O.18:30)
・定休日:不定休
https://www.instagram.com/meilicoffee
【三軒茶屋駅】台湾のお茶文化を楽しみながら学ぶ「桜樺苑」
続いては世田谷線終点の三軒茶屋駅で下車。独創性の高い店が軒を連ねるこのまちに、伝統的な作法で台湾茶をいただける“茶芸館”があると聞いてやってきました。

賑やかな通りから少し外れた住宅街の中に、風格ある佇まいのお店を発見。こちらが、台湾茶藝館「桜樺苑(インファエン)」です。緑豊かな店外にはテラス席もあり、都会の喧騒を忘れさせてくれる開放的な雰囲気を感じます。

店内は広々としており、異国情緒にあふれたインテリアや鮮やかな配色が目を引きます。思わず写真を撮りたくなるフォトジェニックな空間でした。

日本生まれの台湾人として両国にルーツを持つ店主の何 宛樺さん。台湾の香り高い烏龍茶と茶芸文化を日本に広めたいと考え、7年前に桜樺苑をオープンしました。台湾の農園から直接仕入れたオーガニックの茶葉を扱っており、ここでしか飲めない台湾茶も多くあるそうです。

では、台湾の伝統的な作法「工夫茶(くふうちゃ)」を用いて、実際に台湾茶を淹れてもらいます。桜樺苑では基本的に、1煎目は茶藝師である宛樺さんがお茶を淹れてくれます。

まずは、急須として使う茶器・茶壺、ピッチャーとして使う茶器・茶海、お茶を飲むために使う茶器・飲杯、そして香りを楽しむために使う茶器・聞香杯にお湯を入れ、茶器を加温。
続いて、温まった茶壺に茶葉を入れて、たっぷりの熱湯を注ぎます。その後、茶葉の入った茶壺をさらに温めるため、ほかの茶器に入ったお湯をすべて茶壷に直接かけていきます。日本では見慣れない光景に、筆者は思わず「えっ!?」と声を上げてしまいました。

蒸らした台湾茶を、茶壺から茶海に移します。それを聞香杯に注いだ後、飲杯に移し替えます。お茶をいただく前に、まずは空になった聞香杯を鼻の前に近付け、両手のひらでコロコロと転がしながら杯に残ったお茶の香りを楽しみます。。お茶によって香りが異なるそうですが、お花のような甘い香りがしました。
手順は多いですが、一つひとつに意味があり無駄なことはありません。台湾伝統文化の風情を感じる、とても素敵な作法でした。

いよいよ台湾茶をいただきます。本日は、奇莱山にある標高2000メートル程の茶園で育った「高山烏龍茶 緑烏龍」を出していただきました。寒暖差が激しい場所で育つと、甘みと旨みが強い茶葉が生まれるといいます。
1煎目を飲んで驚き!渋みがなくてさっぱりとしているので、そのぶん豊かな香りをハッキリと感じられます。まるでハーブティーのような優しい味わいで、想像していた烏龍茶とはまったく別物でした。
手摘みの台湾茶は茶葉が大きいので、4〜5煎楽しめるそうです。2煎目、3煎目と徐々に味わいが変化していくのも台湾茶の魅力。優雅なティータイムに最適ですね。

台湾茶のお供に、桜樺苑自慢の日替わりスイーツセットをいただきました。この日のメニューは、四季春茶のチーズケーキ、蜜香紅茶のアイス、緑豆糕(リュウトウガオ/緑豆でつくった干菓子)の3種類。どれも甘さ控えめで、台湾茶の香りを邪魔しない素朴なおいしさ。すべて身体に優しい素材で作られているのも嬉しいポイントです。
桜樺苑では、台湾茶の淹れ方講座やお茶席など、さまざまなイベントを実施しているそうです。台湾文化が好きな人同士の交流の場にもなっているようなので、興味のある方はイベントにも足を運んでみてはいかがでしょう。
桜樺苑(インファエン)
・所在地:東京都世田谷区三軒茶屋1-5-9
・電話番号:03-6804-0106
・営業時間:12:00~18:00(L.O.17:30)
・定休日:日曜、月曜、火曜
https://www.ying-hua-yuan.com/
【渋谷駅】台湾伝統の足つぼで体の不調が丸わかり?!「鳥来」
台湾茶を飲みながらまったりお喋りを楽しんでいたら、いつの間にか時刻は夕方に。小走りで田園都市線に乗り込み、最後の目的地へ向かいます。

やってきたのは、渋谷駅から徒歩8分ほどの場所にある台湾式リフレクソロジー店「鳥来(ウーライ)」。商業施設前の賑やかな通りにあるのでわかりやすく、駅からもスムーズに来られました。

店内に足を踏み入れると、優しい香りがふんわりと漂ってきます。レトロな雰囲気のインテリアや、温かみのあるオレンジ色の照明も相まって、入店した瞬間から体の力がふっと抜けるような感覚を味わいました。

鳥来渋谷店のオープンは1998年。日本における台湾式リフレクソロジーの先駆け的存在として、この街で親しまれてきました。今日は、そんな老舗マッサージ店の熟練した技術と知識が詰まった、足つぼリフレクソロジーを体験します。

服を着替えて、さっそく施術がスタート。まずは殺菌効果のある烏龍茶の足湯でリラックス。枕もじんわりと温かく、とっても心地がよいので、このまま眠ってしまいそう……。

なんて思っていたのも束の間。足にたっぷりとクリームを塗り、エステティシャンの方がぐりぐりと力強く足裏のつぼを刺激してきます。あまりにも容赦ないつぼ押しに、筆者は終始声にならない声を上げ続けていました。

足裏には、ほかの臓器や器官に繋がる「反射区」という末梢神経の集中するつぼが点在しています。この反射区を刺激することで、内臓などを活性化させるというのが台湾式リフレクソロジーの考え方。足のどこがどの器官に繋がっているのか、つぼを押しながら教えてくれるのも面白かったです。でもやっぱり、痛い……。
施術後、ベッドから降りて立ち上がってみると、足の重だるさがゼロになっていて驚愕!もともと足の疲れが気になっていたのですが、30分間刺激してもらうだけでこんなに足が軽くなるとは……。痛い分、効果はてきめんです。

オプションでハンドマッサージを付けてもらいました。普段デスクワークで手を酷使しているせいか、ハンドマッサージもなかなか痛い!でも、揉んでもらっているうちに、だんだんと手が軽くなっていくのを感じます。終了後は、指の可動域が明らかに広がっていました。

今回は特別に、台湾の伝統技術「足踏み」も体験。背中に10枚以上の蒸しタオルを乗せ、身体をじっくり温めながら施術を受けます。エステティシャンの方が筆者の身体の上に乗り、足、お尻、腰、背中の順に全体重をかけていきます。
筆者はかなり身体が凝っているほうで、普通のマッサージだと物足りなさを感じることもあるのですが、しっかり圧をかけてもらったおかげでコリがだいぶほぐれました。本当に気持ちがよかったので、背中や腰がツラいと感じる人はぜひお試しあれ!
(※「足踏み」は「ボディ・リフレッシュ」コースを予約したときのみ受けることが可能です。オプションにはありませんのでご注意ください。)
帰り際に、自分の身体の弱っているポイントを記したチェックシートをいただきました。筆者は「頸部」「両目」「肩」「胃」「肝臓」「小腸」がよくないみたいです。自分では気付いていませんでしたが、身体のあちこちに不調をきたしていたようです。もっと健康意識を高めなくては……。これを機に、生活習慣を見直します!
鳥来(ウーライ)渋谷店
・所在地:東京都渋谷区宇田川町13-16 コクサイビルB館2F
・電話番号:03-5457-3321
・営業時間:月~金12:00~24:00/土11:00~24:00/日11:00~23:00
・定休日:不定休
https://wulai.co.jp/
東急線で台湾文化を体感しよう!
グルメ、お茶、マッサージを通じて台湾文化を満喫した一日。心も身体も癒され、いつもよりだいぶ軽い足取りで帰路につきました。
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ライター/渡辺ありさ
カメラマン/Ban Yutaka、飯山福子
編集/菱山恵巳子(ヒャクマンボルト)
掲載店舗・施設・イベント・価格などの情報は記事公開時点のものです。定休日や営業時間などは予告なく変更される場合がありますのでご了承ください。

Urban Story Lab.
まちのいいところって、正面からだと見えづらかったりする。だから、ちょっとだけナナメ視点がいい。ワクワクや発見に満ちた、東急線沿線の“まちのストーリー”を紡ぎます。