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No.063

ご縁飯まとめ 〜ラーメン〜

東急線沿いのラーメンおすすめ5選。元祖・東京豚骨から、本場・台湾の味を届ける麺線まで

  • 編集:縁線図鑑編集部

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東急線沿いには、常連客に長く愛され、それぞれのまちに根づいてきたラーメン店があります。学生時代から通い続ける人がいたり、何十年も変わらない味が受け継がれていたり、遠い故郷の味が誰かの心を支えていたり。そこには、一杯のラーメンをめぐるさまざまな物語がありました。 今回は、編集部が出会ったなかから、個性豊かな5軒をセレクト。学生たちの青春を支える一杯から、半世紀以上続く町中華、台湾の味を届ける麺線まで。ラーメンを味わいながら、その店とまちに流れてきた時間にも触れてみませんか?

変わらぬ一杯が紡ぐ、25年以上の絆【らあめん英】

東京豚骨一筋を貫く、下高井戸のもう一つの学食

下高井戸の商店街に暖簾を掲げて25年以上。日本大学文理学部の学生たちに愛され続けているのが「らあめん英(ひで)」。

2000年4月のオープン時、オープニングスタッフとして腕を振るった長谷川竜也さん(現・本店店長)たちが目指してきたのは、濃厚ながらも食べやすい東京豚骨ラーメンです。

基本の「白」に加え、辛みそでひき肉を炒めた「赤」、焦がしにんにくの香味が香る塩だれベースの「黒」と、味変を楽しめる3種類を用意。替え玉は4種類、なかには唐辛子入りの辛い替え玉麺までラインナップしています。

らあめん英の看板メニュー「らあめん白」
現在はらあめん英 本店の店長を務める長谷川さん

日大OBで非常勤講師も務める村上雅彦さんは、開業当初の2000年からの常連。「大学の外にあるもう一つの学食」として通い続け、年間50杯以上を平らげてきたという猛者です。

いまでは担当するゼミの学生を連れて訪れることも多く、教え子の田口倖平さんも「先生に白をすすめられて以来、すっかり定番の一杯になりました」と話します。

ラーメンを囲むだけで、自然と場が和んで、気を許せる雰囲気になるんです

村上さん

竹炭の黒い麺が呼び覚ます、日吉の青春【麺場ハマトラ】

家系とは違う道を選んだ、学生街の塩鶏そば

東横線・目黒線・東急新横浜線が乗り入れる日吉駅は、有数のラーメン激戦区としても知られています。そのなかで独自の存在感を放っているのが「麺場ハマトラ」。

2021年から店を引き継いだ店主・リュウさんが守るのは、竹炭を練り込んだ黒いちぢれ麺と魚介系XO醤の清湯スープが特徴の看板「塩鶏そば」です。

ほぼ全メニューが1,000円以下という良心的な価格に加え、大盛り無料やテーブルのおみくじ、食後に楽しめるわたあめメーカーなど、遊び心のあるサービスも人気です。

竹炭の黒麺が目を引く「塩鶏そば」

慶應義塾大学の卒業生・真聖さんは、2016年の入学時からの常連。野球サークルの仲間と広いテーブル席を囲み、「2限の講義のあとハマトラに直行し、3限に戻るころには眠くなってしまう」というのが定番のルーティンだったそう。

社会人になったいまも、仕事帰りに日吉へ足を運ぶことがあるといいます。

「もう一度、学生に戻りたいな」。

夜空の下、わたあめを片手にそうこぼした真聖さんの笑顔は、どこか誇らしげにきらめいていました。

聖火ランナーの店主がつなぐ、下町の「スタミナ」【鳳龍】

半世紀変わらぬ町中華に、辛くてやみつきの一杯あり

池上線・戸越銀座駅から歩くこと約10分。1971年の開業から50年以上、地元の胃袋を支え続けてきた町中華が「鳳龍」です。

1964年の東京オリンピックで聖火ランナーを務めたという店主の鈴木満さんと、妻の幸子さんが営み、看板は豆板醤をたっぷり使った「スタミナラーメン」。辛さを追求した「激辛」バージョンは、お昼時には提供を控えるほどの本格派です。

1971年に鳳龍を開業した鈴木満さん
やみつきになる辛さの「スタミナラーメン」

常連の大倉考裕さんが通い始めたのは、高校時代の剣道の稽古帰り。じつは店主夫妻は、大倉さんの両親が営んでいたパン屋との縁があり、幼稚園児だったころの彼をすでに知っていたといいます。

大学時代は「ただいま〜」と声をかけると、ママが「おかえり〜」と迎えてくれる、家族同然の間柄になりました。

家に帰ってきたような安心感があるんです。こんなに居心地のいい場所は、ほかにないから

大倉さん

1品で腹いっぱい。10年で2,700回通う「親」のような人と店【四川屋台】

八百屋の血を受け継ぐ、野菜たっぷりの担々麺

大井町線・目黒線が乗り入れる大岡山駅から徒歩約1分。1989年の開業から35年以上、店主・峰彰男さんが腕を振るう「四川屋台」は、“一品で腹いっぱい”を信条とする中華食堂です。両親が営んでいた八百屋の名残から、どのメニューにも野菜がたっぷり使われています。

看板の「パーコー担々麺」は、自家製ラー油と厳選した7,000粒のごまを効かせた、痺れる辛さのスープに、甘めに味付けした豚カツを乗せた一皿です。「1品頼めば、必ず腹いっぱいになれる。それが一番なんだよな」と峰さんは語ります。

自家製ラー油が香る「パーコー担々麺」
「油淋鶏」

東京工業大学(現:東京科学大学)に2014年入学したスミーさんは、将棋サークルの先輩に連れられて食べた石焼麻婆丼(現在は提供終了)に「とてつもない衝撃を受けた」のが始まりでした。

1日1食生活のなかで、その唯一の食事をこの店で摂り続け、通算来店は10年間で2,700回以上を記録しています。峰さんはそんなスミーさんを、まるで我が子のように見守ってきました。

常連さんはたくさんいるけど、スミーくんのような人はいないね。彼が来ないと、なんだか不安になっちゃうレベルだよね。だって、毎日来てくれるんだもん(笑)

峰さん

故郷の味が、二子新地に根を張って10年以上【麺線屋formosa】

かつおだしのとろみスープに宿る、台湾の国民食

田園都市線・二子新地駅西口から徒歩5分。2015年、台湾・屏東県出身の店主チン・ユーテイさんが開いたのが「麺線屋formosa」です。

看板メニューは、かつおだしベースのとろみスープに細い麺とモツを合わせた台湾の国民食「麺線」。台湾の複数の工場を訪ね歩き、厳選した手延べの職人麺を輸入するほどのこだわりっぷりです。

柔らかく煮込まれた麺は時間が経っても伸びないのが特徴。ランチから夜食まで、台湾では屋台の定番として親しまれている一杯を、二子新地でそのまま味わうことができます。

店内には台湾の民芸品などが飾られ、独特な雰囲気を醸し出す
台湾から届いた手延べ麺を使う「麺線」

常連さんであり、結婚を機に台湾から移住してきたスー・ファンインさん。日本の暮らしに慣れないころ、この店で「麺線がある!魯肉飯も!」と故郷の味に出会い、救われたといいます。それから10年以上たち、フォルモサは「ふるさとのような存在」に。3歳から通う息子も、いまでは冷凍の麺線を自分で温める学生になりました。

実際に食べてみたら本当に台湾の味そのもので、すごくうれしかったのを覚えています

スーさん

Editor's comment編集部コメント

一杯のラーメンを目当てに、いつもと違う駅で降りてみる。

そこには、学生たちの青春が残る店があり、何十年も変わらない味を守る人がいて、遠い故郷の記憶をつなぐ一杯もありました。

ラーメンは、ただお腹を満たすだけのものじゃなく、誰かの思い出になり、誰かの日常になり、まちの風景の一部になっていくものなのかもしれません。

次の休日は、気になる一杯を探しに、あなたが知らない駅まで足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。

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