環境への取り組み

鉄道は、CO2排出量が少なく環境負荷の小さい乗り物です。
輸送力増強やホームドアの設置など消費電力が増加する要因はありますが、新しい技術の導入や効率化を進め、省エネルギーを実現し、地球温暖化防止に努めます。

環境に配慮した車両・駅

新型車両の導入

東急電鉄では、節電や環境への配慮と混雑緩和・快適性向上の両立に取り組んでいます。その主な施策として、「人と環境にやさしい車両」をコンセプトとした5000系、6000系、7000系の導入を進めてきました。さらに2018年3月には、新型車両「2020系」を田園都市線に、「6020系」を大井町線にそれぞれ導入。2019年内には新型車両「3020系」が目黒線に登場します。
環境面では、低騒音型の主電動機や駆動装置を採用し、沿線環境・車外の騒音を、旧型車両(8500系)と比べ約10dB低減。また、次世代半導体素子を用いた制御装置による主電動機の高効率駆動や、車内全照明と前照灯・尾灯へのLED灯採用により、使用電力を旧型車両と比べ約50%削減しています。
今後、田園都市線では新型車両「2020系」を順次導入し、2022年度までに旧型車両(8500系)の置き換えを進めていきます。

(左)3020系車両 (中)6020系車両 (右)2020系車両

CO2の削減効果の試算(鉄道と自家用乗用車の比較)

鉄道は大量輸送機関であり、環境にやさしい乗り物といわれています。鉄道でお客さま1人を1km運ぶ際に排出するCO2(輸送人キロ当たりの排出量)は、自家用乗用車に比べ約7分の1となっています。
東急電鉄の2018年度の輸送人キロは約113億kmで、年間約11億89百万人のお客さまを、1人1回当たり約9.6km輸送しています(この距離は田園都市線渋谷駅~二子玉川駅間9.4kmとほぼ同じです)。この距離の輸送をCO2に換算すると、お客さま1人当たりで180g-CO2排出されることになりますが、仮に自家用乗用車で同じ距離を移動した場合の1,302g-CO2に比べると、約1.1kg少なくなります。

輸送量当たりの二酸化炭素の排出量(2017年度 旅客)

消費電力量

鉄道事業における消費電力は、車両を動かす「運転電力」と、駅施設や信号、保安装置などにかかる「付帯電力」に分けることができます。その総量は当社全体の消費電力の約3分の2になります。

日本初・再生可能エネルギー100%による世田谷線の運行開始

2019年3月25日(電気記念日)、世田谷線は水力および地熱のみで発電しCO2を排出しない「再生可能エネルギー100%」での運行を開始しました。これにより、2018年度見込みでは約1,263t-CO2(一般家庭が年間に排出するCO2の362世帯分相当)あった世田谷線運行によるCO2排出量が今後はゼロとなり、運行本数が増して電力量が増えた場合にも、CO2排出量増加の心配はありません。
この試みは、東急電鉄・東北電力・東急パワーサプライの3社連携によって実現したもので、「再生可能エネルギー100%」の電力による通年・全列車の運行は、都市型鉄軌道線で日本初となります。これからも皆さまに身近な通勤電車での施策実施を通して、低炭素・循環型社会の実現を目指していきます。

東急電鉄、東北電力、東急パワーサプライの3社合同による取組事例調査の結果

  • 出発セレモニー
  • 世田谷線を走る「幸福の招き猫電車」

車両の有効活用(他社への譲渡)

東急線を引退した車両を他社に譲渡しています。車両解体によるリサイクルに比べて、環境負荷が少なく、譲渡先の鉄道会社にとっても、低コストで車両を更新することができます。供給前には他社向けに改造工事も行っています。
1962年に日本の鉄道で初めての「オールステンレス車両」として登場した旧7000系は、2000年に東急線を引退した後、弘南鉄道(青森県)、北陸鉄道(石川県)、水間鉄道(大阪府)で現在も活躍しています。
また1987年に旧7000系を改造して生まれた7700系も、2018年11月に東急線から引退し、養老鉄道(岐阜県・三重県)へ譲渡されました。外観デザインを変更し、3両編成の中間車両の一部にクロスシートを設置するなど、養老鉄道向けに改造された後、試運転を終えて2019年4月から営業運転を開始しています。これから約30年間、養老鉄道で走り続ける予定です。

  • 養老鉄道を走る7700系
  • 福島交通で活躍している1000系
  • 東急1017F「きになる電車」

渋谷駅における環境配慮(世界初の大規模自然換気システムを採用)

地下駅では、換気・空調設備による消費電力が駅全体の消費電力の約80%を占めており、ここでの取り組みが駅全体の消費エネルギーに影響します。渋谷駅は地下5階の大規模な駅ですが、自然の力を換気・空調に利用することにより、大幅な省エネルギー化を実現しています。
また、ホームの床下や天井には冷却チューブを設置し、冷水を循環させる「放射冷房方式」を採用しました。
この機械に頼らない自然換気システムと放射冷房方式などにより、同等の広さの通常冷房装置の建物に比べて、2018年度は年間で約122万kWhの電力量が削減され、CO2に換算すると約555.1tの排出量削減効果となりました。

「環境にやさしい駅」を目指して

元住吉駅は、太陽光の自然エネルギーを利用するため、ホームの屋根部分とコンコースの上部に太陽光発電システムを導入した環境にやさしい駅です。発電能力は140kWであり、このシステムにより2018年度は約8.6万kWhを発電、元住吉駅の電力使用量の約10.0%をまかなっています。また、雨水の再利用や改札口正面スペースの緑化など、自然のめぐみを生かした駅になっています。
このほか、上野毛駅にも10kWの発電能力のある太陽光発電システムを設置しています。

  • 太陽光発電システムを導入
  • 構内の緑化

鉄道施設でのLED照明の導入

鉄道施設の照明をLED照明にすることにより、消費電力を削減しています。

車両の車内照明

車両の車内照明のLED化を進めています。2019年3月末時点で、東急線全営業車両の約80%にLED車内照明を導入し、置き換え予定である車両を除き、東急線全営業車両への導入を完了しています。

駅などの構内照明

フルカラーLED照明(二子玉川駅)

計画的な機器更新を行い、2019年3月末時点で97駅中68駅でLED照明の導入が完了しており、早期の全駅のLED化を目指しています。

その他機器のLED化

行先案内表示器

信号機、踏切警報灯器、踏切動作反応灯・補助灯、手信号代用器、行先案内表示器についてもLED化を進めています。このうち行先案内表示器については全てLED化を完了しています。それぞれLED化により3~7割程度の消費電力を削減しています。

踏切動作反応灯・補助灯:踏切が正常に遮断していることを運転士に対して表示する灯具。補助灯は踏切動作反応灯とは逆の表示をします。

ITV設備、司令所ディスプレーの液晶化

ITV設備

車掌が列車に乗り降りされるお客さまの状態を確認して安全に運行を行うため、ホームの見通し改善のために設置されているITV設備※や司令所のディスプレーについては、全てブラウン管から液晶に切り替えています。これにより3割程度の消費電力を削減しています。

ITV:産業用テレビジョン

省エネ型駅務機器の導入

省エネチャージ機

駅務機器については、省エネ券売機、省エネチャージ機の更新・導入を進めています。2015年度~2019年度までの計画として、省エネ券売機313台、省エネチャージ機207台更新を策定しました。
2015年度~2018年度までの実績としては、省エネ券売機313台、省エネチャージ機154台を更新・導入しました。

「木になるリニューアル」

2016年、開業から約90年が経過した池上線戸越銀座駅を、ご利用されるお客さまや周辺住民の皆さまのご意見を参考に、木造駅舎の雰囲気を踏襲してリニューアルしました。「木になるリニューアル」と名付けたこのプロジェクトでは、東京都内の多摩地区で生育、生産される木材「多摩産材」を用いたホーム屋根の建て替えや、トイレ・駅舎内外装の改修のほか、商店街と連携した駅施設デザインの検討や街の情報発信機能の整備なども行い、街の話題づくりと来街促進を図りました。リニューアルした戸越銀座駅は、2017年度グッドデザイン賞をはじめ、数々の賞を受賞しています。
また、池上線旗の台駅も2017年から「木になるリニューアル」に着手し、2019年7月に完了しました。ホーム屋根の建て替えでは、池上線ならではのアットホームなデザインと素材を採用し、待合室にも木材を活用し、居心地のよい空間に生まれ変わりました。

  • 戸越銀座駅
  • 旗の台駅

駅古材活用プロジェクト
「えきもく」

2018年3月、旗の台駅改良工事「木になるリニューアル」と池上駅開発計画が連動し、既存の駅に使用している木材(古材)を駅および沿線で活用する駅古材活用プロジェクト「みんなのえきもくプロジェクト」をスタートしました。

駅を利用されるお客さまや地域の方とともに育んできた、歴史ある木造駅の記憶を未来に継承することや、工事に伴う環境負荷低減(廃材処理時のCO2削減)に寄与することを目的とし、両駅において、開業時から使用されているホーム上の木製ベンチやホーム屋根などの古材を、新たな駅施設にも活用していきます。

  • 築96年の池上駅
  • 築66年の旗の台駅

えきもくワークショップ活動レポート

2018年に実施した第1弾・第2弾のイベントでは、えきもくを使って地域の皆さまと一緒に椅子やクリスマスオーナメントをつくりました。
第3弾のテーマは「池上駅のえきもくを街に拡げよう」。池上駅で使っていた古材で、池上駅に設置されていたベンチをリデザインした「えきもくベンチ」を自作いただける「ベンチキット」を用意し、公共の場に設置可能な事業者さまへお配りしました。各事業者さまがつくった「えきもくベンチ」は、郵便局や病院、飲食店など街中11カ所に設置されています。これからもプロジェクトを通して、歴史ある木造駅の記憶を未来へつないでいきます。

  • ワークショップの様子
  • えきもくベンチ

関連リンク