大規模設備を有する事業者としての取り組み
(大規模設備)
元住吉駅
東横線・目黒線元住吉駅は、太陽光発電・雨水再利用・構内緑化などに取り組んだ環境にやさしい駅です。
ホームおよびコンコースの屋根部分に、太陽光発電システムを設置し、太陽光エネルギーの有効活用をしています。2023年度は元住吉駅全体の電力使用量の約10%を賄いました。また、雨水をホーム下に設置した貯留槽に貯めてトイレの洗浄水として利用し、駅トイレの水使用量の約25%を賄っています。さらに、改札正面のコンコースを緑化し、憩いの場所として開放。樹木への水やりはポンプを使わず、土壌の下に貯留した雨水から植物が必要な分だけを吸い上げる灌水システムを採用しています。

南町田グランベリーパーク
南町田グランベリーパークは、「LEED NC(新築部門)」「LEED ND(まちづくり部門)」で 駅施設を含む開発では国内初のゴールド認証を取得しました。
「LEED NC」においては、田園都市線南町田グランベリーパーク駅の旅客トイレ洗浄水への雨水再利用や大容量の雨水貯留槽設置による雨水排水計画、LED照明導入による省エネルギーの取り組みや建設時の廃材リサイクル率約70%達成などが評価されました。
「LEED ND」においては、歩行者ネットワークの整備による、自然と賑わいを感じながら回遊できるウォーカブルなまちづくりやグリーンインフラを生かしたランドスケープデザインが評価されました。


- 米国グリーンビルディング協会(USGBC)が提供するLEED®️は、高性能のグリーンビルディングの設計、建設、維持管理に貢献する評価・認証プログラムです。LEED®およびそのロゴはUSGBCの登録商標であり、使用には許可が必要です。
SOCIAL WOOD PROJECT

現在、日本では収穫期を迎える森林が増加する一方、林業従事者の減少などで、適切な伐採と利用が進んでいません。そうした中、当社では、脱炭素・循環型社会の実現や持続的な森林整備と林業振興への付与を目指して、「木になるリニューアル」の実施、旧駅舎で使用していた古材の「えきもく」としての活用や資源の再循環に向けた「ステーションウッド」としての有償販売を進めています。
2024年5月よりスタートした「SOCIAL WOOD PROJECT」では、上記の木材活用を推進し、なにげない行動からだれもがこれまで以上に森林資源の循環に貢献できる“木と人がめぐる街づくり”を進めています。
木になるリニューアル

【戸越銀座駅】
開業から約90年が経過した池上線戸越銀座駅を、お客さまや地域住民の皆さまのご意見を参考に、木造駅舎の趣や想いを継承してリニューアルしました。
東京都内の多摩地区で生育、生産される木材「多摩産材」を用いたホーム屋根の建て替えや駅舎内外装リニューアル、トイレの建て替えなどを実施するとともに、地域の皆さまと一緒に環境学習「多摩の森とつながるツアー」や木製ベンチの製作など にも取り組みました。
リニューアルした戸越銀座駅は、2017年度グッドデザイン賞をはじめ、数々の賞を受賞しています。

【旗の台駅】
池上線旗の台駅では、木材(多摩産材)を使用して、ホーム屋根の建て替え、待合室の改修を実施しました。
木材をふんだん に利用することで、鉄骨造に比べて建設時のCO2排出量の抑制、炭素の固定化に寄与しています。
また、お客さまから復活のご要望が多かったホームの長い木製ベンチを元の素材をできる限り残して復元する取り組みを行いました。

【長原駅】
池上線長原駅では木材(多摩産材)を使用して、駅舎の軒下空間の改修、改札外店舗新設などの工事を実施し、木を用いることで駅と街がやわらかくつながる心地良い場所を創出しました。
また、消費期限内の廃棄となってしまう商品を長原駅構内でお客さま向けに販売する「きになるフードロス」などの環境施策を取り組みました。
みんなのえきもくプロジェクト

廃材処理時のCO2削減に向けて、旧木造駅舎などの解体時に確保した古材「えきもく」を駅および沿線で活用する「みんなのえきもくプロジェクト」に取り組んでいます。
工事前に設置していたホームベンチの復活や「えきもく」を使用した椅子作製ワークショップなど、古材を通じてこれまで駅を利用されてきたお客さまや地域の皆さまと育んできた歴史ある木造駅の記憶を未来に継承するイベントを実施しています。
池上駅では、コンコースや駅ビルの共用部、図書館などで活用しています。
ステーションウッド
東急線の駅改修工事などで発生する古材の再循環を図るため、池上線池上駅の木造旧駅舎で使用していた古材の販売に取り組んでいます。
国産古材の収集・加工・販売を行う古材日和グループのノウハウを活用し、池上駅改良で確保した古材を、古材日和グループの工場で駅舎の塗装や風合いを残した商品として加工し、古材日和グループ販売サイトなどを通じて「ステーションウッド」という商品名で販売しています。
Green UNDER GROUND

「Green UNDER GROUND」とは、田園都市線地下区間5駅(池尻大橋駅・三軒茶屋駅・駒沢大学駅・桜新町駅・用賀駅)のリニューアルプロジェクトの名称で、田園都市線の路線カラーでもある「Green」に、「快適・安心」、「スムーズ」、「クリーン・サステナブル」、「親しみが生まれる」、「新しさがある」など、当社が目指す、さまざまな想いを込めています。
開業後45年以上が経過し老朽化した5駅を、今まで以上に心地良く、ワクワクする体験のできる空間に生まれ変わらせ、地域とつながる駅空間「人、街、暮らしをつなげるプラットフォーム」を実現し、「サステナブルな地下駅」つくりを目指しています。
第1弾 駒沢大学駅 「UNDER THE PARK」

地域の憩いの場である都立駒沢オリンピック公園の最寄り駅として、公園とともにあるライフスタイルをイメージするデザインを取り入れ、広がりを感じられる空間を創出しました。
東口・西口に接続するビルや駅構内は、お客さまの利便性向上と街の魅力を生かした駅機能・サービス導入により、地域に開かれた駅として、2025年4月に全面開業しました。
第2弾 桜新町駅 「WITH THE CHERRYBLOSSOMS」

ステーションカラーである桜色の既存タイルを最大限生かしながら、桜新町駅周辺の風景や人々の暮らしに寄り添うような空間デザインとしています。
地下2階、地下3階のホーム階では、桜並木を想起させるアーチ状の壁面を新設し、木材のカウンターやベンチを設置することで、桜の木の下に人が佇む居場所を創出します。竣工は2026年度夏頃の予定です。
脱炭素・循環型社会の推進・地域とつながる駅空間の創出の取り組み
地域に開かれた駅を目指すとともに、地域内の資源循環や新たなグリーンインフラにも取り組んでいます。


木材活用の取り組み



鉄道各社への車両の譲渡
鉄道会社への車両の譲渡は、車両解体によるリサイクルに比べて、環境負荷が少なく、譲渡先の鉄道各社にとっても、低コストで車両を更新することができます。1962年に日本の鉄道で初めての「オールステンレス車両」として登場した旧7000系は、2000年に東急線を引退した後、弘南鉄道(青森県)、北陸鉄道(石川県)、水間鉄道(大阪府)に譲渡し現在も活躍しています。また、1987年に旧7000系を改造して生まれた7700系も、2018年11月に東急線から引退し、養老鉄道(岐阜県・三重県)に譲渡しました。
1988年に登場し、東急線でも「きになる電車」などで池上線、東急多摩線で活躍している1000系は、福島交通、上田電鉄(長野県)、伊勢鉄道(三重県)、一畑電車(島根県)に譲渡し、活躍しています。
1986年に登場し、当社で初めて交流モーターを採用し、省エネルギー・省力化を実現した9000系については、「サステナ車両」として、西武鉄道に譲渡する予定です。



循環型社会の実現に向けた実証実験
使用済み制服のリサイクル

着用を終了した制服をケミカルリサイクルして、什器備品を作製する実証実験を実施しました。作製した備品は、駒沢大学駅の係員宿泊室にて利用しています。
制服からリサイクルした建築資材を運搬する際には、トラックでの輸送ではなく、姫路駅~東京間において、新幹線荷物輸送サービス「東海道マッハ便」を活用することで、CO2の排出量を抑制しました。
廃石膏のリサイクル

建築工事で発生する廃石膏を有効活用する取り組みを行っています。
この取り組みは、株式会社土と野菜がもつノウハウにより、工事で発生する廃石膏を活用して固形の土壌改良資材を精製し、一般社団法人日本土壌協会による助言のもと、株式会社土と野菜の連携する稲作農家へ展開するものです。
廃材を活用した社員の環境意識醸成

社員の環境意識醸成に向けた試みとして、鉄道事業で発生する廃材を活用した運動会を開催。
折れた遮断桿など、廃棄予定の廃材を使い、楽しみながら環境について考える機会を設け、引き続き、新しい資源循環の取り組みに挑戦していきます。