子どもと楽しむ東急線沿線「ほら、くつはいて」〜新横浜駅編〜

Urban Story Lab.

2025/8/5

東急線沿線のまちを子どもと楽しむ「ほら、くつはいて」。

まだ目が離せない1歳の娘がいて、どうしても日々、我慢をさせてしまいがちな3歳の息子。そんな彼に、今日は「ママをひとりじめできる特別な一日」をプレゼントしたくて……。

どこに連れていこうか、何をしようかと悩む日々のなか、思い立って向かったのは、今まで降りたことのなかった「新横浜駅」。少しだけ日常から離れて2人だけの時間を味わいたくて、平日のまちに足をのばしてみました。

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こんにちは!ママライターの野尻さやかです。

歩けるようになって世界がどんどん広がっていく1歳の娘と、まだまだ「ママ、だいすき」が止まらない3歳の息子。そんな2人を都内で育てながら、毎日バタバタと過ごしています。

気づけば、娘のお世話に追われる時間が多くなって、息子に「ちょっと待ってね」と言うことが増えていました。本当は、たくさん甘えたい気持ちも、もっと話したいこともあるはずなのに……。

だからこそ今日は、そんな息子と2人きり、新横浜駅へ小さな旅に出てみることにしました。

新横浜で親子ラーメン旅

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「ヴィスタウォーク」と呼ばれる大きな歩道橋

目黒駅から目黒線を経由して、東急新横浜線で約25分。新横浜駅は、東海道新幹線を含む5路線が使える便利なまちです。商業施設や飲食店が充実しているだけではなく、近くには「日産スタジアム」や「横浜アリーナ」などの大型の施設も。また、少し歩けば新横浜公園や鶴見川沿いの散歩道が広がり、自然も感じられて「都市と癒し」が両立したエリアです。

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かわいらしいラーメンの丼の形をした照明

そんな新横浜駅の10番出口を出て、息子の歩幅に合わせてゆっくり進むこと約5分、たどり着いたのは「新横浜ラーメン博物館」です。

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「ちかくでみたい!」とだっこをねだられ、息子を持ち上げる

箸が上下に動くラーメンの看板は、まるでラーメン好きの人々を歓迎するよう。

ここ、新横浜ラーメン博物館は、1994年にオープンした施設。「全国各地のラーメンを、飛行機に乗らずに食べに行ける」がコンセプトで、ラーメンの歴史や文化を楽しみながら様々なラーメンを食べ比べることができます。

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ラーメンのルーツや進化を学べます

建物に入ると、まず目に飛び込んでくるのはラーメンの歴史を学べるギャラリー。

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歴史を知ると味わいが増すかも

日本初のラーメンブームを起こした「來々軒」の外観が再現されたエリアには、どこか昭和の面影がただよっています。そのすぐそばには、玉子やなるとといったラーメンの具材を模したユニークなベンチも。文字がまだ読めない小さな子どもでも楽しめる仕掛けが散りばめられていて、「これ、〇〇くんがすきなたまごだよ!」なんて言いながら、嬉しそうに駆け寄る息子。

親子で作る、世界にひとつだけのオリジナルカップラーメン

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「ラボ」だけにスタッフさんも白衣を着ています

ギャラリーの横には「ラー博スゴメンラボ」という、自分で麺・スープ・具材・ふた・容器を組み合わせてオリジナルのカップラーメンを作れるエリアがあります。

なんでも、自分の写真を使ってカップラーメンのパッケージをデザインできるとのこと。それを聞いて真っ先に思い浮かんだのは、もちろん私の“推し”、息子の笑顔! 世界にひとつだけの、息子の写真がどんとプリントされたオリジナルカップラーメンが欲しい……!

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最近ブームの「垂れ耳うさぎ」のポーズ

作り方はとっても簡単。まずは、パッケージに使いたい写真を自分のスマートフォンでぱちり。もちろん、すでにスマートフォン内に保存されているとっておきの1枚を選んでもOKです。

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手に持っているのは道で拾った木の枝

次は、自分のスマートフォンを使ってカップラーメンをカスタマイズ。

「容器は何色にする?」「具材はどれがいいかなぁ?」、スマートフォンの画面をのぞきこみながら、息子の目はキラキラと輝きます。

「なるとと、たこさんウィンナーがいい!」と嬉しそうに声を弾ませるその姿に、思わずこちらまで笑顔に。

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初めて見る光景に興味津々

カスタマイズを終えて受付で代金を支払うと、スタッフの方がカップラーメンを作り始めてくれます。

ガラス越しに、そのひとつひとつの工程を見守りながら、息子と2人で「あれは〇〇くんのラーメンかな?」なんて言葉を交わします。

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食べるより、ずっとそばに置いておきたい

待つこと約5分、先ほど撮影したあの写真が入ったカップラーメンが完成しました。

こ、これは可愛くて食べられない……!

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自分だけの特別なカップラーメンを大事そうに抱える

完成したカップラーメンは、お持ち帰り用の袋に入れてもらえます。「〇〇くんがもつ!」と誇らしげに言う息子。どうやら、かなり気に入った様子です。

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一度はやってみたい青竹打ち

また、ラー博スゴメンラボの隣には「青竹打ち」でラーメン作り体験ができるコーナーもあります。対象年齢は小学4年生以上ですが、小さな子どもも大人と一緒なら体験できるそう。生地からラーメンを作ることができ、こちらもラーメン博物館ならではの貴重な体験ができそうです。

昭和33年へタイムスリップ

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まだまだ手を繋いでくれるのがうれしい

施設に訪れる前、「ラーメン博物館には駄菓子屋さんがあるんだって!」と息子に伝えていた私。その言葉をしっかり覚えていた息子は、カップラーメンが完成するやいなや、「だがしやさんにいこうよ!」と即リクエスト。もう頭の中は駄菓子でいっぱいの様子だったので、さっそく地下にあるという駄菓子屋さんへ向かうことにしました。

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ここだけ見ると本物の銭湯のよう

地下へ続く道に入ると、床はレトロなタイルに。階段の踊り場には、昔の銭湯を思わせる洗い場のような装飾も。

1階とはガラリと変わった不思議な雰囲気に包まれます。

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天井を見ると綺麗な夕焼け空

そして現れたのは、「ラーメンと夕焼けの街」。広がっていたのは、昭和33年の街並みを再現したノスタルジックな世界でした。

ちなみにこの「昭和33年」は、日本初の即席ラーメン「チキンラーメン」が誕生した年なんだそう!

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懐かしい駄菓子がたくさん

お目当ての駄菓子屋さん「駄菓子屋 夕焼け商店」は、駄菓子はもちろんのこと、お面やブロマイド、揚げパンまで揃った、雰囲気満点のレトロなお店です。昭和33年を知らない私でも、どこか懐かしさを感じてしまう空間。

「今日は特別に3つ買っていいよ」と、買い物カゴ代わりの青いザルを息子に渡すと、真剣な表情で駄菓子をじっくり吟味。ようやく選んだ3つの駄菓子をレジへ持っていくと、店員さんが元気にひとこと、「150万円でーす!」

150円だよね?と戸惑いつつ200円を差し出すと、「200万円ね、はい50万円のお釣り!」と笑顔の返し。どうやらここは「1円=1万円」の世界らしく、遊び心まで満載です。

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通称「マイト街」
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古びた電話ボックス

昭和の街並みは、まだまだ続きます。

ここは、バーやスナックが並ぶ路地裏のようなエリア。古びた電話ボックスに剥がれかけたポスターなど、細部まで作り込まれていて、まるで今も誰かが暮らしているようなリアルさ。

どこでシャッターを切っても映える空間に、写真を撮る手が止まらなくなりそう。

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ポスターにある指名手配犯の名前は「怪盗ナルト仮面」

交番の中にも入れるようになっていて、息子はさっそく黒電話の受話器を取って「もしもーし!はい、はい!」と電話ごっこ。

その姿に思わず笑いながら、「黒電話って、今の子にはどう映ってるんだろう?」と、ちょっと不思議な気持ちに。見慣れないはずなのに自然に遊べちゃうところが、子どもの感性のすごさかもしれません。

全国の味をちょこっとずつ! ミニラーメンの旅

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セットなのか本物なのか見分けがつかなくなるほど

そうして見えてきたのがこちらの地下2階のフロア。ここには、北は北海道、南は沖縄まで、全国各地の名だたるラーメン店がずらりと並んでいます。

各店舗には、レギュラーサイズの約5分の3ほどの「ミニラーメン」が用意されています。お気に入りの1軒で、1杯をじっくり味わってお腹いっぱいになるのもいいけれど、ミニラーメンを活用すれば、気になるお店をいくつもはしごして楽しめるんです!

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各店舗の券売機はタッチパネル式でわかりやすい

お腹を空かせた私と息子がまず訪れたのは、「琉球新麺 通堂」。沖縄の食材を活かしたあっさりとした塩ラーメンが人気のお店です。
※平日17:00〜は「居酒屋 りょう次」として営業

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早く食べたくてうずうず

注文したのは、「通堂うま塩ラーメン おんな味(ミニ)」と「通堂うま塩ラーメン 新・おんな味(ミニ)」。沖縄では、とんこつラーメンを「おとこ味」と呼ぶのに対して、塩ラーメンを「おんな味」と呼ぶんだそう。

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ラーメンのことを「ちゅるちゅるめんめん」と言う息子

息子には、子ども用の取り皿に取り分けて「いただきます!」

透明感のあるあっさりスープは旨みがぎゅっと詰まっていて、優しい味わい。トッピングもスープと絶妙にマッチしていて、ひとくちごとにほっと安らぎます。

息子も「おいしー!」と言いながらスープまでペロリと飲み干すほど。

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こちらは地下1階にあるお店です

あっさりの次は、こってりへ。やってきたのは、とんこつラーメンの本場・福岡でも行列必至の人気店、「博多 一双」です。

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スープに浮かぶ泡は濃厚の証

注文したのは「ワンタンメン(ミニ)」と「味玉ラーメン(ミニ)」!

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味玉は全部奪われました

ひとくちすすると濃厚でクリーミーな豚骨スープが口いっぱいに広がり、「これぞ豚骨ラーメン!」と叫びたくなるほど。

とんこつラーメンも味玉も大好きな息子は、こちらも大満足。気づけばスープまでしっかり飲み干していました。

小さな丼を2人で囲んで「これおいしいね」「次どれ食べる?」と分け合って楽しめるミニラーメンは、心もお腹も満たされる、親子時間にちょうどいい優しさです。

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撮影用のセットではなく本当に営業している喫茶店

しょっぱいもののあとは、やっぱり甘いもの! ということで、向かったのは「喫茶&すなっく Kateko」。昔ながらの手作りプリンやクリームソーダなど、昭和の定番スイーツが楽しめる、どこか懐かしい喫茶店です。

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「ママこれかわいいよ!」と教えてくれました

店内は小物ひとつひとつがレトロでかわいらしくて、ついつい見惚れてしまいます。

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撮影中はつまみ食いおあずけタイム

注文したのは、「恋するソフトクリーム」と「プリン」。昭和感たっぷりのビジュアルに、大人も思わずキュン。

ソフトクリームの上には、カラフルな「おいり」がちょこん。おいりは、もち米から作られたあられで、ほんのり甘く、口に入れるとふわっと溶けて消えていきます。

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落としてしまわないかハラハラの瞬間

スプーンをぎゅっと握りしめて、目をキラキラさせながらアイスをすくう息子。

ひとくち食べるたびに「つめた〜い!」と笑い声をあげて、鼻先と口の周りをアイスクリームだらけにしながら、それでも一生懸命すくっては頬ばる姿がなんとも愛おしい。

平日限定イベント! ジャンケン大会に挑戦

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このポスターも昭和テイスト

そうこうしているうちに、地下2階の鶴亀公園広場でジャンケン大会がスタート!

せっかくなので息子と一緒に参加してみることに。この広場では、平日限定でさまざまなイベントが行われるそうです。

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駅長さんとお巡りさんの掛け合いが面白い

ルールは簡単。お巡りさんとジャンケン勝負、最後まで勝ち残った人が優勝! しかも、優勝者には豪華景品があるらしい。

最近ジャンケンを覚えた息子は「かつぞー!」とやる気満々。でも、人が多いし、さすがに勝ち残るのは難しいだろうな〜と思っていたら……、

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ジャンケンに勝って注目される息子

なんと、まさかの一人勝ちをしてしまいました……!

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息子の勇姿はきちんと動画に収めました

お立ち台に呼ばれた息子は、ちょっと緊張しながらも、トロフィーと優勝賞品のカップラーメンを手に、まんざらでもない顔。

戻ってきた息子に「すごいね! やったじゃん!」と声をかけると、「あのね、〇〇くんがチョキだしてね、おまわりさんがパーだったから、〇〇くんがかったんだよ〜!」と嬉しそうに報告。よし、帰ったらパパと妹にも教えてあげようね。

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息子とのツーショット入りカップラーメン、完全に保存用です

ちなみに、優勝商品としていただいたのは、表彰中の息子と私の写真入りカップラーメン! 今日は思いがけず、食べられる宝物が2つもできました。

新横浜ラーメン博物館
・住所:神奈川県横浜市港北区新横浜2-14-21
・電話番号:045-471-0503
・営業時間:平日11:00~21:00、土日祝10:30~21:00
・休館日:年末年始(12月31日・1月1日)
https://www.raumen.co.jp/

ちょっと寄り道、緑豊かな新横浜駅前公園へ

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動物のオブジェがいくつかあります

新横浜ラーメン博物館から子どもの足で歩いて3分ほどのところに「新横浜駅前公園」を発見。

鳥山川沿いに1kmほどの桜並木が続いていて、春はお花見スポットとして大人気なんだとか。季節のお花もたくさん咲いていて、ぶらっと歩くだけでも気持ちがいいんです。

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小さめのすべり台で小さい子どもも遊びやすい

すべり台に砂場、遊び場もばっちり。近くにはベンチもあるので、親はのんびり休憩。それにしても、子どもの体力って本当に無限ですね……!

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一度始めたら止まらない砂遊びタイム

「妹ちゃんの保育園のお迎えがあるから、そろそろ帰ろう?」と声をかける私。

「まだあそぶー!」とまったく聞く気なしの息子。……こりゃまいった。

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今日もびしょぬれコースです

砂場のすぐ横には、水飲み場と手洗い場。どろんこになっても、ちゃんと洗えるから大丈夫です。

「あと少しだけね」と声をかけながら、この時間がずっと続けばいいのにな、なんて思ってしまう。

また2人だけの時間を作って、ゆっくりいっぱい遊びに行こうね!

新横浜駅前公園
・住所:神奈川県横浜市港北区新横浜2-16-1
・電話番号:045-531-7361(港北区港北土木事務所)

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ライター/野尻さやか
カメラマン/Ban Yutaka
マップイラスト作成/くろいしえりな
編集/菱山恵巳子(ヒャクマンボルト)

掲載店舗・施設・イベント・価格などの情報は記事公開時点のものです。定休日や営業時間などは予告なく変更される場合がありますのでご了承ください。

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