
幸せな余韻を残す、忘れがたい小さなお菓子
「おいしい記憶って、不意に漂う香りでよみがえると思うんです」。そう話す岡澤高志シェフは「パリセヴェイユ」などで研鑽を積み、ミニャルディーズ*の専門店「UN GRAIN」3代目シェフパティシエに迎えられた。お菓子はわずか4cm四方ほどながら緻密。新作ケークでは、高知産ベルガモットのかぐわしさをジンの香りをまとわせることで見事に際立たせた。口溶け良いアーモンド生地にはベルガモットとジンのコンフィチュールを混ぜ込み、焼き上がったらベルガモットとジンのシロップにドボン。とはいえ、ジンはアルコールを飛ばし、香りのニュアンスとしてあくまでさりげなく。口元に運ぶだけで漂うジンのボタニカル香が、ベルガモットの果樹園を彷彿とさせる。かむとベルガモットの酸味と気高い香り、そして少しスパイシーなすがすがしさへ。ひと口の中で香水のトップ、ミドル、ラストノートのようにドラマチックに香りが移りゆき、幸せな記憶の余韻を残していく。
*ひとつまみサイズのお菓子
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手前・右「ケーク 土佐ベルガモット」(¥550)と左「ル ブラウニー」(¥630)は6月からの新定番半生菓子。奥・好みの6個を選ぶと、無料でギフトボックスに入れてもらえる(6個以外の場合は通常の箱)。ボックスに入れたのは、ジュレやガナッシュなどコーヒーのパーツを多層に重ねた「モカ」(¥680)、ライムとリュバーブがブルーベリーの味を深める「スフェール」(¥720)、名デセールをオマージュした、チェリーとバニラの香りがとろける「スリーズ ジュビレ」(¥630)など。
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■UN GRAIN(アングラン)
・住所:港区南青山6-8-17 プルミエビル1階
・電話:03-5778-6161
・営業時間:11:00~18:00
・休:水
・渋谷駅から徒歩18分
chico ◉チコ
スイーツライター、コーディネイター。ガイド本『東京の本当においしいスイーツ探し』(ギャップ・ジャパン)シリーズ監修。共著書に、『東京最高のパティスリー』(ぴあ)。
(撮影=福井 馨・スタイリング=田口恵美・文=chico)
※この記事は2025年7月号の内容を再編集しています
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「ラテン語で“あいさつ”のこと。人々が出会い、行き交う場(駅)を象徴しています。東急線沿線は、まだまだ意外な街の表情や人々の魅力にあふれています。
「SALUS」は、単なる沿線紹介にとどまらず、「やってみよう」「行ってみよう」と思える魅力やアイデアを、読者の方へお届けします。さまざまな切り口から暮らしの楽しみ方を提案し、新たな世界との出会いや発見のきっかけになることを目指します。
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