平野紗季子が、池尻・中目黒で暮らすように滞在。個性派店が集まる、まちを味わう【後編】
- 取材・文:原里実
- 写真:北原千恵美
- 編集:藤﨑竜介(CINRA)
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この記事は全2回。前編では、平野紗季子さんが大衆居酒屋「初場所 中目黒」やビルの4階に佇む「ザ・銀皿」を巡った1日目をお届けしています。→ 前編を読む
中東、欧州などの食を扱う多国籍カフェ・レストラン「Massif」でリラックス
2日目の取材は、平野さんが宿泊した大橋会館の1階にあるMassifからスタート。店のクリエイティブ・ディレクターであるマックス・ハウゼガさんと、平野さんは以前から顔見知りだったとか。

マックスさんは日本橋で「Parklet」というベーカリーカフェを立ち上げたりしていて、共通の知人も多いんです。
平野

築約50年の大橋会館が複合施設としてリニューアルされ るにあたり、Parkletでの経験を生かして「コミュニティが生まれるような店をつくってほしい」とオファーされたというマックスさん。ずっと東山エリアに住んでいて、会館の近くにある創業90年超の銭湯「文化浴泉」にも通っていたことから縁を感じ、引き受けたそう。
この店は、中央に山みたいな柱があるんです。普通だったら、「柱がなければ広々と空間を使えるのに」と思うかもしれないけれど、せっかく歴史ある建物で店を開くのだから、この柱を最大限に生かそうと考えました。
マックス


この柱を境に東側は、ワインと食事をメインにしたレストラン、西側はもうちょっとカジュアルな雰囲気のカフェバー。なんとなく分けつつも、完全に仕切るのではなくゆるやかにつながっています。
マックス

店名のMassifは、英語で「山塊」を意味する言葉だという。
1つの山にもいろいろな表情がありますが、複数の山々がつながればもっと複雑でおもしろい。それと同じように、いろいろな人が集まって、いろいろな使い方ができる、多様性のある店にしたいなと。
マックス

深みがあって、素敵なコンセプトですね。
平野

さらに、住所が目黒区「東山」だということにもかかっていたりします(笑)。
マックス

なるほど!
平野

内装は、この近くを拠点に活動しているクリエーターたちと一緒につくりました。僕は、その土地が持つ特性に合わせて店をつくることが大切だと思っています。ワインの世界では、味に大きな影響を与える土地の気候や土壌、地形を「テロワール」といいますが、それと同じで、「その土地がほしがっている店や味」があると思うんです。
マックス


マックスさんが平野さんのために用意してくれた料理は、「北海道水ダコのグリル、サトイモと酒粕、島らっきょうと青唐辛子」。新サトイモと酒粕を使ったピューレの上に載る、グリル済みの水ダコが主役。そこに、中東の辛味ソース「シャッタ」を日本の食材でアレンジしたものがかかり、直火でさっと火を入れたオカワカメが添えられている。

タコがすごくやわらかくて、おいしい!
平野


料理は、シェフたちがそのときつくりたいものを中心にラインアップしています。オープン当初はワインに合わせるためにネオヨーロピアン風にしていたのですが、そのうちにアジアがルーツのシェフが入って、中華料理が増えたり。いまはそこから少し西寄りに戻って、中東とヨーロッパの中間のようなメニューになっています。いつも、対外的に説明するのが難しいんだけど(笑)。
マックス

「いまここにいる人たち」のアイデンティティやルーツに根差したものを提供するって、すごくいいですね。それが流動 的に変わっていくのも、とても自然なことだし。「いましかできない表現」を突き詰めているという意味で、店のコンセプトともぴったりな気がします。
平野

その土地や集まってくる人々が織りなすコミュニティを意識して、店をつくるというマックスさん。変わり続ける周辺エリアについても、話が及んだ。
池尻大橋駅の近くとか、東山エリアは本当にいろいろなお店ができていますよね。
平野

時々、知り合いが「Massifがあるから僕らも出店してみようか」と言ってくれることもあって。ライバルが増えるのは大変でもあるけど、渋谷や三軒茶屋といった近くの人気エリアに追いつけ追い越せという気持ちで、街で一丸となって盛り上げられたらいいですね。
マックス



ヴィーガンレストラン「Beyond Veg」で出会った「店で食べられる家の味」
※Beyond Vegは2025年12月27日をもって閉店いたしました
Massifをあとにして、都心とは思えない静かな時間が流れる目黒川沿いを散歩しながら、次のスポットのBeyond Vegへ。





Beyond Vegの店先で迎えてくれるのは、山盛りになった泥つき野菜たち。

