愛猫と常連を守るために、あえてお客さまを「選ぶ」。駒沢大学の居酒屋、スイレンの譲れない流儀
- 取材・文:三浦希
- 写真:大西陽
- 編集:川谷恭平(CINRA)
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「家族」が生まれる居酒屋
――まずは、お店の歴史について教えてください。
僕自身、かなりフラフラしていたんですよね。もともと桜新町のあたりでアルバイトをしながら暮らしていたのですが、そのころに駒沢大学駅周辺を訪れることがあって。 当時、この場所には中華屋さんが入っていて、美味しそうだなぁと思い、ふらっと入店したんです。すると店主から「腰が悪くなってきていて、もう店を閉めようと思ってるんだ」と話をいただきました。もともと、なんとなく居酒屋をやりたい気持ちもあったので、先輩とともに、この場所でお店を開くことにしたのが、オープンのきっかけですね。
古舘


――店名の「スイレン」には、どんな由来があるのでしょうか?
いまから30年ほど前に出会ったバンドの名前なんです。はじめて聴いたとき、ものすごくかっこいいなぁと思い、ボーカルの人に声をかけてライブの打ち上げに参加させてもらったんですよね。 そのとき「なんか夢はないのか?」と聞かれて。ふと「居酒屋をやりたいんですよ」と話したところ、「それならこの名前を使えばいい」と、「SUIREN」の名前をいただくことになったんです。「酔連」という意味にも通じ、“酔う連中” と表せることもあり、この店名に決めました。
古舘



――そんな経緯があったんですね。
もしこの店が立ち行かなくなってしまったら、あのとき「夢はないのか?」と声をかけてくれたバンドの兄貴にも申し訳ない。だからこそ、いまもこうして頑張れているのかもしれません。それも1つの 「縁」なのかな、と。 少々話が逸れますが、飼い猫のトムに対しても同じことを思っていますね。命を預かる責任、というか。そういう「縁」が重なり合ってこの店が成り立っているわけです。
古舘

――このお店の常連である西澤さんは、バンド名のエピソードを知っていましたか?
初めて聞きましたね(笑)。私たち夫婦が最初にスイレンに来たのは、2022年2月。駒沢エリアに引っ越してきたばかりで、右も左もわからない状態でした。でも、一人飲みが好きなので、「駒沢 一人飲み」とネットで調べてみたんです。
希姫


――つまり、駒沢で最初の一人飲みがここだったんですね。
そうなんです。口コミサイトに「猫ちゃんがいる」「料理がおいしい」と書かれていて、勇気を出して来てみました。店長と目が合い、「入るならどうぞ」と言われたのをいまでも覚えています。入ってみると、ものすごく居心地が良かったので、すぐに彼も呼んだんですよ。それからずっと、このお店のことが大好きです。
希姫

じつはこの二人、スイレンで結ばれたんだよね(笑)。
古舘


――えぇっ!? プロポーズをここでした、ということですか?

