ブルワリーを巡るバスツアーも開催。元バスガイドの姉妹が営む、妙蓮寺の家庭的ビアバー「SIBLINGS」
- 取材・文:入江百音
- 写真:北原千恵美
- 編集:宇野宙(CINRA)
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なぜバスガイドからビアバー経営に?
――まずは、お二人がお店を始めることになったきっかけから教えてください。
もともと私たちは2人とも、はとバスのバスガイドをしていたんですけど、引退後に、姉妹でニューヨークのブルックリンへ旅行する機会があって。現地のブルワリーを訪れたとき、大人たちが昼間からクラフトビールを飲み、その隣では子どもたちがボードゲームで遊んでいる……そんな誰もが思い思いに時間を過ごしている光景に衝撃を受けたんです。
生来

そうそう。「2人で何かやりたいね」とは前から話していたんですけど、あの光景を見て、単なる飲食店ではなく、誰もがふらっと集まれる場をつくりたいと思うようになりました。
玲奈


――店名の「SIBLINGS」にも、そうした想いが込められているんですよね。
はい、SIBLINGSはきょうだいを意味する言葉です。血のつながりだけでなく、ここに来てくれる人たちみんなが性別や年齢関係なく、家族や仲間のようにつながってほしい。そんな想いを込めて命名しました。
玲奈

――永田さんは、いつごろからこちらの常連になったんですか?
2023年12月のオープン直後に来てから、週2くらいの頻度で通っています。すっかりハマってしまいました(笑)。
永田


初心者にも玄人にも。誰もが好みの味に出会えるクラフトビールのセレクト
店の主役であるクラフトビールは、姉妹が直接ブルワリーを訪ね、気に入ったものだけを仕入れている。


――ビールのラインナップはどのように選ばれているんですか?
タップ(ビールサーバーから注ぐビール)は比較的飲みやすいものを4種類、缶はもう少し個性的なものや、ブルワリーのストーリーを感じられるものを幅広く揃えています。
玲奈

私たち姉妹でも好みのスタイルが全然違うんですよ。私はIPAみたいにホップが効いている しっかりした味が好きで、お姉ちゃんはもう少しライトなものが好き。だからこそ、ビールが得意な方にも苦手な方にも、幅広くおすすめできるラインナップになっていると思います。
生来


――永田さんもクラフトビール好きなんですか?
私はもともと、ビールは1杯飲めば十分っていうタイプだったんです。でも、ここに来るようになってからクラフトビールの魅力に目覚めてしまって。いまでは飲みすぎちゃうくらい。
永田

初心者の方でもトライしやすいように、ブルワリーさんから直接聞いたこだわりや想いをまとめたオリジナル解説ペーパーも添えているんです。やっぱりクラフトビールって1杯の値段が高いので、その分しっかり満足していただけたらうれしいですね。
生来


母の味をベースにした、おなかいっぱい満たされる家庭料理
クラフトビール専門店のフードメニューといえば、スナックや軽いつまみがメインのイメージがあるかもしれないが、SIBLINGSのテーブルには、おなかも心もしっかり満たしてくれる手作りの料理が並ぶ。


――お料理もすごく充実していますよね。
私たち自身が食べるの大好きで(笑)。だからお客さんには、お酒はもちろん、ご飯ももりもり食べておなかいっぱいになって帰ってほしいと思ってお出ししています。
生来

お料理のベースはほとんど、子どものころに食べてきたお母さんの味なんです。母がお店に加わってくれているおかげで、より幅広いメニューになりました。
玲奈




もつ煮なんかは、家でずっと作ってきたものだよね。上京してきた方などが「お母さんの味を思い出しました」と言ってくれるのが、すごくうれしいです。
洋美


――手書きの日替わりメニューにもわくわくしますね。
これは私が毎日iPadで書いて印刷しているんです。常連さんが多いので、毎日来ても「今日は何があるんだろう」って飽きずに楽しんでもらいたくて。だいたい3〜4品は日替わりです。
玲奈


――常連さんはどんな方が多いんでしょうか?
私含め、本当に幅広い年代の人が来るよね。
永田

0歳のお子さんを連れた親御さんから、こないだは80代の方がいらっしゃっていたかな。
玲奈

ブルックリンで惹かれた、あの「誰でも楽しめる場所」に近づけているようでありがたいですね。
生来


クラフトビール×バスガイド。異色の掛け算で広がる輪
SIBLINGSでは飲食だけでなく、ご当地フェアや、ブルワリーを巡るバスツアーなど、ユニークな取り組みを行っている。

私が初めてお店に来たときは、ちょうど鹿児島のお酒を集めた「鹿児島フェア」をやっていたよね。
永田

うん、ご当地フェアはいろいろ。以前、私がメキシカンのお店で働いていたので、「タコスナイト」も開催してみたり。
生来

年に一度は、元バスガイドという経験を活かして、こだわりのブルワリーを巡る「バスツアー」をやっています。観光バスが妙蓮寺の駅まで迎えにきて、いつも常連さんたち30名近くが参加してくれるんです。
玲奈


きみちゃん(永田さん)はたぶん全部のイベントに参加してくれているよね。
生来

これまでのイベントのフライヤーや旅のしおりは全部スクラップしていて、もうこんなに。私の“推し活”です(笑)。
永田

わぁ〜すご〜い!!
玲奈・生来・洋美


ツアーではお姉ちゃんがガイドをして、みんなでビールを飲みながらワイワイ移動します。ブルワリーにお邪魔するので、造り手の方から直接話を聞けるのも醍醐味です。
生来

お姉ちゃんのガイドは本当にわかりやすくて楽しいの! 子どものころにこういうガイドで旅行していたら、もっと歴史が好きになっていただろうなって思うくらい。
永田


昔ながらのあたたかさと、人のつながりが残るまち、妙蓮寺
地元もこのあたりだという東山姉妹。妙蓮寺というまちへの想いと、今後の展望についても聞いてみた。

――皆さんは妙蓮寺というまちに対して、どんな印象を抱いていますか?
私たちはもともと隣の駅の菊名出身なんですけど、このあたりは本当にあたたかいまちですよね。昔ながらの商店街があって、安心感がある。このまま変わらないでほしいです。
玲奈

このまちのゆったりとした空気が、SIBLINGSの雰囲気とも合っている気がします。
永田

――姉妹ならではのコンビネーションも、このアットホームな空気感をつくっている秘訣ですね。
性格は全然違いますよ。お姉ちゃんは慎重派の「守り」で、私は「攻め」。意見がぶつかってケンカしちゃうこともたくさんあるんですけど、お互いに補い合いながらなんとかやってきました(笑)。
生来


――最後に、今後のSIBLINGSの展望を教えてください。
じつは2026年3月、新横浜に「& SIBLINGS」という2号店をオープンしていて。そこではもう少し都会的な雰囲気のなかで、クラフトビールとこだわりのスイーツなどをお楽しみいただけます。2つのお店を通して、もっとたくさんの方にクラフトビールの魅力を広めていきたいです。
生来

いろんな人とつながって、ゆくゆくはフェスなんかも開催できたら……! みんなが楽しめて、明日もまた頑張ろうと思えるきっかけを、この場所から提供できたらうれしいですね。
玲奈


立ち飲みカウンターの向こう側から交わされる「おかえり」の声と、グラスを合わせる軽やかな音。そこには、おいしいお酒と家庭料理、そして人と人をつなぐあたたかなご縁が息づいている。
皆さんもぜひ、池畔商店街の灯りを頼りに、SIBLINGSの扉を開けてみては。
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