ごあいさつ

取締役社長の福田でございます。
日ごろから東急電鉄をご利用いただき、誠にありがとうございます。

当社は東京都西南部から神奈川県東部にかけて9路線を運営し、首都圏の交通インフラを支えてまいりました。都心と郊外を結ぶ鉄道ネットワークとして、多くのお客さまにご利用いただき、2023年度の輸送人員は10.5億人に達するなど、コロナ禍からの回復が進んでおります。社会環境やライフスタイルが変化する中、当社は2024年3月に、新たな中期事業戦略を策定し、鉄道会社として、改めて「移動の価値」に着目し、大きく3つの取り組みを進めております。

一つ目の取り組みは「安全・安心な移動」です。当社においてどのような環境下においても変わらない最重要の価値が「安全」です。当社はこれまで、全駅ホームドア・車内防犯カメラ・踏切の障害物検知装置の「3つの100%」を達成し、業界トップレベルの安全対策を実施してきました。これに加え、老朽化対策や法面補強工事を進め、地震や豪雨などの自然災害に備えた強靭なインフラを整えています。さらに、DXを活用した安全管理の高度化にも取り組んでいます。AIやIoTを活用した設備監視システムを導入し、列車の状態や軌道の異常をリアルタイムで検知することで、未然にトラブルを防ぐ仕組みを強化します。今後もデータを活用した予防保全を進め、より安定した運行を実現してまいります。

二つ目の取り組みは、「新たな移動の創出」です。2024年に導入した「Q SKIP」やタッチ決済対応の後払い乗車サービスは、多くのお客さまにご利用いただいており、今後も利便性を向上のための施策を展開予定です。また、モバイルチケットの普及促進や駅設備のデジタル化を進めることで、より快適な移動体験を提供してまいります。ハード面でも、大井町線の新造車両導入や駅の上屋延伸の他、新空港線事業について2025年1月に営業構想の認定申請書を提出いたしました。空港アクセスという東京の国際化にも資する新たな路線整備として、将来に向けて当社の新たな鉄道ネットワークの拡充が期待される事業の為、今後手続きなど進めてまいります。

 

三つ目の取り組みは「移動による環境改善」です。鉄道は、環境負荷の少ない移動手段として、持続可能な社会の実現に貢献する重要な役割を担っています。当社は2022年4月より、日本初となる「再生可能エネルギー100%電力による運行」を全路線で開始し、鉄道の環境価値をさらに高めました。加えて、大規模蓄電池の設置や再生可能エネルギー発電設備の拡充を進め、鉄道エネルギーの安定供給と環境負荷の低減を両立させます。2024年には制服を16年ぶりにリニューアルし、旧制服のアップサイクルや繊維リサイクルプロジェクトにも参画するなど、環境に配慮した取り組みを積極的に推進しています。

 

当社は安全と安心を基本としたさまざまな活動を通じ、沿線のみなさまの快適な生活環境の創造と笑顔あふれる社会の実現を進めていく決意を込め、「人へ、街へ、未来へ。」というスローガンを掲げております。通学定期の値下げを始めとした子育て世代への支援施策を通じた社会課題への対応や、街と一体化した都市開発などを進め、今後も街とともに進化し続け、「日本一の街の、日本一の鉄道」を創り上げてまいります。

引き続き、東急電鉄の事業活動にご期待いただくとともに、変わらぬご愛顧とご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。