美しい時代へ-東急グループ 東急

ニュースリリース

2025年4月07日

複合発酵技術を活用した水循環システムを
東急のオープンイノベーションラボ「SOIL」に導入
~循環型社会の実現に向けた都心エリアで初めての試み~

東急株式会社
株式会社長大
東建産業株式会社

東急株式会社(以下、東急)、株式会社長大(以下、長大)、東建産業株式会社(以下、東建産業)の3社は、水資源使用量の削減を通じた循環型社会の実現を目指し、東急が渋谷で運営するオープンイノベーションラボ「SOIL(Shibuya Open Innovation Lab)」に、複合発酵技術を活用した水循環システム※1を2025年4月2日から導入しました。

2050年には世界で50億人が水不足の状態に陥ると予測されており※2、水循環モデルを構築し、水資源を有効活用していくことが求められています。この取り組みは、「環境ビジョン2030」を策定し2030年までに連結グループ全体の水使用量を10%削減する目標を掲げている東急と、複合発酵技術※3の技術提供を行う総合建設コンサルタントの長大、複合発酵設備の稼働開始後の維持管理業務を担う東建産業が連携した、循環型社会の実現に向けたチャレンジです。

3社は2023年2月から約2年にわたり、沖縄県宮古島市にある東急グループ施設「まいぱり」宮古島熱帯果樹園で、このシステムに関する実証実験を行ってきました。その結果、安定的な稼働と高い汚水処理能力を確認できたことから、都心エリアでの稼働の検証を開始します。SOILでは、トイレやキッチンなどから排出される汚水を複合発酵設備で浄化し、トイレ洗浄用水として再利用します。浄化にあたっては、生物処理(複合発酵技術)を活用して残留性のある化学薬品を一切使用せず、微生物の働きによって再利用可能な水まで浄化することで、環境に優しい排水処理を実現します。

SOILでの複合発酵技術を活用した水循環システムの稼働を通して、不特定多数の利用者がいる環境下であっても、汚水の排出量、再生可能量、再生水の使用量のバランスを安定的に維持できるかを確認し、導入施設の環境に応じて循環量の調整を柔軟に設定できるシステムの構築を目指します。また、複合発酵技術で浄化された再生水の水質検査を定期的に実施し、精緻なデータを収集することで、安定した水処理を証明するエビデンスを蓄積したいと考えています。

3社は今回の取り組みを通じて、複合発酵技術を活用したシステムの運用スキームを確立し、今後は東急線沿線をはじめとしたさまざまなエリアの施設へ導入を拡大することで、循環型社会の実現に貢献してまいります。

■水循環システムの構成

SOILに導入した複合発酵設備
<SOILに導入した複合発酵設備>
水循環システム構成図
<水循環システム構成図>
  • ※1
     複合発酵技術を活用した水循環システムは特許申請中
  • ※2
     ユネスコ「世界水発展報告書(World Water Development Report)」
  • ※3
     植物由来の酵素を用い、環境中の多様な微生物の働きの活性化により複合的な発酵を促進させ汚水を浄化する。従来の排水処理で課題となる悪臭や汚泥の発生を抑制することが可能な技術。