輸送の安全確保―危機管理

事故・災害発生時 警戒・復旧体制

事故や災害などが発生した場合に備え、警戒体制および復旧体制として、事故・災害の規模に応じて、特別体制、第1種(A)体制、第1種(B)体制、第2種体制、第3種体制の5つの体制を定めています。
そのうち、特別体制、第1種(A)体制、第1種(B)体制が予想される場合は、事故・災害対策会議を招集し、会議内で必要と判断された場合は、事故・災害対策本部を設置し、以下の情報伝達・通報系統の体制をとります。

警戒体制および復旧体制の種別と発令基準例

事故・災害発生時情報伝達・通報系統

緊急事態に備えたさまざまな訓練

万が一、不測の事態が発生したときには、冷静かつ迅速・的確に事故の処理ができるよう、日頃からさまざまな訓練を行っています。

異常時運転取扱訓練

春と秋の年2回、職場ごとに異常時運転取扱訓練を実施しています。駅係員は、後続列車や対向列車を緊急に停止させる列車防護、ポイントが故障した場合を想定した信号係員による手動操作、ホーム案内時の列車緊急停止合図などの訓練を行っています。
また運転士と車掌は、列車防護、負傷者の救護、運輸司令所への連絡通報、車両故障が発生したときのための車両連結訓練などを行っています。

事故・災害対策本部設置・対応訓練

年2回、社長以下役員、および社員が参加して、万が一の事故・災害発生時に迅速かつ適切に対応ができるよう、対策本部の設置と対応訓練を実施しています。

春期防災訓練・危機管理本部
事故・災害対策本部初動訓練

運転事故総合訓練

毎年1回、鉄道事故が発生した際の併発事故の防止、負傷者の救護、関係部署への連絡通報、お客さまの避難誘導、復旧作業などを迅速、確実にするために、「運転事故総合訓練」を実施しています。2018年度は10月5日に長津田検車区の車庫内で実施し、鉄道事業本部の各部門、消防、警察、見学者を含めて約600人が参加しました。

消防と当社社員が連携して重傷者を救助します
脱線した車両は油圧ジャッキを使用して線路上に復旧させます
ゆがんだ線路を保線係員が力を合わせて整正します
損傷した架線は電気部係員が速やかに復旧します

消防・警察との連携

社内の定期的な訓練だけでなく、消防署や警察署と連携したお客さまの避難誘導、応急救護などの訓練を各職場単位で実施しています。

消防とのテロ災害対応連携訓練
警察と連携した車両のジャッキアップ訓練

テロ対策合同訓練

  • 実施日:2018年8月29日
  • 場所:田園都市線鷺沼駅車庫内
  • 目的:列車および軌道敷地内でテロが発生した際に、迅速、的確に対応することによって、関係機関相互の連携体制を強化する
  • 想定:運行中の列車内において、何者かが不審な液体を撒いて逃走し、車内に多数の傷病者が発生
  • 参加者:宮前警察署、宮前消防署、宮前区、東急電鉄計55名
消防、警察と当社現場責任者が打合せしている様子
消防が車内負傷者を救出している様子

列車火災を想定した合同消防訓練

  • 実施日:2019年3月6日
  • 場所:池上線雪が谷大塚車庫内
  • 目的:列車火災発生時における消防との連携強化
  • 想定:池上線で車内のお客さまの携帯充電器から発火し列車火災が発生
  • 参加者:田園調布消防署、東急電鉄計約90名
運転士が避難誘導を開始する前に
前面非常梯子の設置状態を確認している様子
消防隊員により車内負傷者を救出している様子

電車内における粗暴事案対処合同訓練

  • 実施日:2019年3月29日
  • 場所:目黒線大岡山駅~奥沢駅
  • 目的:ワンマン線区で、粗暴行為が発生した場合の連絡通報方の再確認と自身の身を守りながら、避難誘導を行うことができるか確認する。
  • 想定:大岡山駅発車直後、車内で刃物を持ち威嚇している男性がいると通報があり、駅係員の応援と警察の要請を依頼した。
  • 参加者:玉川警察署、玉川消防署、東急電鉄計約100名
警察による薬物除去
警察が犯人を確保

地下区間での避難誘導訓練

  • 日時:2018年7月7日終電後
  • 場所:大井町線北千束駅~大岡山駅間
  • 目的:災害や設備支障発生時の乗務員、駅係員の対応力向上
    訓練での「気づき」を生かし実態に則したガイドライン制定
  • 概要:異常発生時のお客さま誘導と車両故障発生による列車併結訓練
列車前面の非常梯子を使用して
お客さまを誘導している様子
列車側面のドアから車いすご利用のお客さまを
降車案内している様子

津波浸水区域での夜間検証

  • 日時:2018年12月8日終電後
  • 場所:東横線反町駅~横浜駅間
  • 目的:大津波警報発令時における津波浸水区域での乗務員、駅係員の対応力向上
    津波対応マニュアルの内容に則した検証と課題の抽出
  • 概要:地震発生、停電および大津波警報発令時における、お客さま避難誘導方法を検証
地下区間で津波による浸水を想定し、
お客さまを緊急に降車案内している様子
降車したお客さまを安全な場所へ誘導している様子

車両からの避難誘導訓練

万が一緊急事態が発生し、列車が駅間に停止した場合でも、お客さまを安全に避難誘導できるよう、列車の最前部と最後部に非常梯子を搭載し、日頃から訓練を実施しています。また非常梯子を列車側面にも搭載している車両があるほか、さらなる取り組みとして、2018年4 月から田園都市線を走る全ての列車(当社車両)に携帯型非常梯子を2台ずつ追加搭載し、避難時間を短縮することで、より安全にご利用いただけるようにしました。

田園都市線2020系
携帯型非常梯子(組み立て前)
(組み立て後)
列車最前部や最後部の正面非常梯子を使用した避難誘導の様子
田園都市線5000系の側面非常梯子:側面のドアから避難する際は、車両の床下に設置している側面非常梯子を使用します

異常時用名札ワッペン

名札ワッペン

当社の従業員が、通勤時など当社線を利用中に事故や災害に遭遇した際には、この「名札ワッペン」を左胸などに貼り付け支援活動を行います。お客さまや外部の関係者に対して支援者が当社の従業員であることを明示し、円滑な支援活動ができるよう備えています。

自然災害に備えた対策

異常気象時の運行基準

「おしえて!東急線」

東急電鉄では、お客さまに東急線を安全に、さらに快適で便利にご利用いただくため、さまざまな基準を設けて列車を運行しています。
「おしえて!東急線」では、東急線の運行の基準や取り組みなどを、テーマごとに分けて冊子化し、お客さまが疑問に感じることにお答えする形でご紹介しています。

おしえて!東急線

東急線沿線の気象情報等の集中監視システム

運輸司令所には、東急線沿線の気象情報等の集中監視システムがあります。東急線各所に設置した地震計や風速計、雨量計の情報は運輸司令所に集まり、運輸司令所は必要に応じて警戒体制を各部門に指示します。

東急線沿線に設置した風速計
雨量計
地震計
計測震度計

早期地震警報システム

東急線全線に、大規模地震発生時の被害を防止または軽減するための「早期地震警報システム」を導入しています。これは、地震の初期微動(P波)を観測し、その後に来る大きな揺れ(S波)の規模や到達時間を事前に知らせる気象庁の「緊急地震速報」を受信して、震度4以上の大規模地震が予想される場合には、全列車に一斉通報し、運転士のブレーキ操作により列車を緊急停止させるシステムです。

高架橋、橋梁、トンネル、駅施設の耐震補強工事

さらなる減災対策を実施した新丸子高架橋

構造物および列車運行に必要な信号設備や電気設備などの耐震補強を進め、2012年度の国土交通省の耐震省令に基づく耐震対象工事は全て完了しました。
また、さらなる減災対策として、災害時の復旧性を向上させる補強工事を順次進めています。

2018年度の耐震省令の改正によって新たに追加されたロッキング橋脚を有する橋梁の安全性については、現在照査中です。

構造物の老朽化対策

構築以来数十年を経過した構造物(高架橋、トンネルなど)に対し詳細調査を実施し、予防保全を目的とした長寿命化工事を順次行っております。

高架橋長寿命化対策前
高架橋長寿命化対策後

大規模地震発生時の運行基準

大規模地震が起きた場合は、下記の基準で運行します。大きな地震が来ることが予想された場合、東急線では列車の運転を止めることになっています。止まった列車の中でも地震の揺れを感じますので、立っているお客さまは手すりやつり革にしっかりつかまり、揺れが収まるのをお待ちください。

震災への備え

2011年3月11日に発生した東日本大震災をふまえ、事業継続計画を構築するとともに構造物の耐震補強工事に取り組んでいます。
当社では原則、震度4以上の地震が発生した場合には、全列車を一旦停止させたうえで、施設等の点検や徐行運転等により安全を確認します。確実に安全を確保したうえで、早期の運転再開ができるよう努めていきます。
また、大震災の影響をふまえ、事業の継続力の向上によりお客さまの安全確保と災害に強い東急線を目指します。

事業継続計画(BCP)の継続的改善

大規模地震や災害発生時にお客さまの安全を確保することを優先とし、適切な避難誘導や正確かつ迅速な情報提供、早期の運転再開に資するように、事業継続計画を構築しています。今後も減災対策の推進や災害を想定した訓練の実施により事業の継続力を高めていきます。

代替通信手段の設置

大規模災害発生時に通常の通信手段が使用不能となった場合の通信手段として「管内間電話」「JR電話」および「警視庁緊急時直通電話」を導入しています。

帰宅が困難なお客さまへの対応

備蓄飲料水
簡易ブランケット

大規模地震などの災害が発生した際、帰宅が困難になったお客さまへの対応として、保存食、簡易ブランケット、簡易トイレが全ての駅に確保されています。飲料水については、災害対応飲料自販機を設置しています。
また、一時滞在施設へ移動されるまでの一時的な待機場所として、点検が終了した駅構内をお客さまに提供できるよう行政機関との連携を図っていきます。場所の確保が困難な駅では、可能な限りトイレの貸し出しや具合の悪いお客さまへの対応を行います。

簡易トイレ
保存食
災害対応飲料自販機