事業等のリスク

当社グループでは、定期的にリスク認識の再評価、及びリスク軽減に対する取り組み状況の評価を行い、発生の回避及び発生した場合の影響最小化に向けての対応に努めております。有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある連結経営上の最重要リスクとして、「新たな感染症の拡大に伴うリスク」、「安全管理への対応に関するリスク」、「経営環境変化への対応に関するリスク」、「コンプライアンスに関するリスク」の4つを設定し、長期視点での「働き方・人材確保に関するリスク」を重要リスクとしております。
リスクの内容およびリスクコントロールの取り組みは次のとおりであります。
なお、本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。また、以下の記載は、当社グループの事業等のリスクをすべて網羅することを意図したものではないことにご留意下さい。

(1) 新たな感染症の拡大に伴うリスク

新型コロナウイルスの感染再拡大及び新たな感染症の拡大に伴う外出制限、在宅勤務などのテレワークによる「人」の移動の変化、インバウンドの減少などによる大幅な経済活動の縮小が発生する場合、また、運営する事業所等での感染症クラスターの発生、出勤制限等により、一時的に営業継続が困難となった場合、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、これまで将来を見据えた経営基盤の整備をすすめ、長期視点で持続的成長を目指した「長期経営構想」を発表、推進しております。今後の社会の変化にも迅速に適応すべく、各事業で新たな構想や改革を進展させ、事業戦略のさらなる深度化を目指し取り組んでおります。
加えて、感染拡大防止の取り組みとして、国土交通省や厚生労働省からの要請および「鉄道業界における感染防止のためのガイドライン」等を踏まえ、車両内換気のため出庫時に全車両で複数箇所の一部窓開け等、各種事業において取り組みを実施しております。さらに、在宅勤務などの多様な働き方の推進、体温測定等の事業所内感染対策予防の実施、集合しての会議を避けWEB会議等を活用するなど、健康管理・安全確保と感染拡大防止に努めております。

(2) 安全管理への対応に関するリスク

1. 気候変動の影響も含む自然災害等への備えが不十分で、施設損壊等によりサービスの提供ができなくなるリスク
大規模な自然災害等が発生し、人的被害や事業の中断等が生じた場合には、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。自然災害や感染症蔓延等において連結各社の協力体制構築などの対応力強化、気候変動に伴う営業損失・社会的影響評価を実施し、評価結果を踏まえた対策(予防・被害最小化の両面から)を図っております。加えて、地震保険やコミットメントラインをはじめとした、リスクファイナンスの実効性向上に向けた継続的な見直し等を推進しております。
2. 人為的事故の発生により、損害補償とともにサービス・施設への信頼を損なうリスク
重大な人為的事故等が発生し、人的被害や事業の中断等が生じた場合には、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このため、当社グループは、事故、設備や情報システムの故障、食品、建設工事等の品質問題、その他の理由によるトラブルの発生を想定したさまざまな施策を講じており、東急線全駅(※)へのホームドア・センサー付固定式ホーム柵の設置、事故等発生状況の情報収集・展開による再発防止策策定等に取り組んでおります。近年では、踏切障害物検知装置の3Dセンサー化等、安全の取り組みを進めております。
※世田谷線・こどもの国線を除く
3. テロ等の外的要因による、施設損壊・お客さまの死傷等によりサービスの提供ができなくなるとともに、サービスへの社会的信頼が損なわれるリスク
テロ等の外的要因による重大な事故等が発生し、人的被害や事業の中断等が生じた場合には、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このため、当社グループは、テロ等の不法行為による災害、その他の理由によるトラブルの発生を想定したさまざまな施策を講じており、東急電鉄㈱所属の全車両(※)への車両内防犯カメラの設置、駅施設や商業施設等への警備員の効果的配置等、安全の取り組みを進めております。
※こどもの国線を除く

(3) 経営環境変化への対応に関するリスク

1. 事業展開エリアでの税制等行政施策の変更等に伴う市況激変リスク
景気低迷の長期化による世帯年収の減少や増税等による個人消費の低迷継続、各事業における法制度の変更等が生じた場合、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このため、市況および政治・経済・法制度の変化を見据えた中長期的な運用方針を構築し、修繕・設備投資を含む適切な事業計画の策定、利便性向上や魅力的なテナントミックス、話題性の提供による施設集客力の維持向上等、各種対策に取り組んでおります。
2. コロナ禍をきっかけとした新常態やDX加速化への対応遅れ、需要・事業性の予測見誤りにより、収益確保、事業継続が困難となるリスク
当社グループは鉄道沿線地域に経営資源が集中しており、少子高齢化や人口減少による既存事業の需要減少、生活スタイルの変化による既存の交通やオフィス・商業施設の利用減少、新たな産業やビジネスモデルの登場による既存事業の競争力低下等が起こった場合には、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、「中期3か年経営計画」を策定し、各種施策を実施しておりますが、アフターコロナにおける需要の予測値との乖離や経済情勢の変化等によって、これらの計画が予定通り進捗しない場合や、想定した収益や期待した効果を生まない場合があり、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
このため、経営陣が各事業の業績動向、業績変化の兆候について早期に把握するとともに、対策を議論し 意思決定及びモニタリングを行う等、迅速かつ適切な対応に取り組んでおります。
3. 各種市況の悪化およびCO2削減コストの負担増により、調達コストの高騰が発生し、収益性が低下するリスク
当社グループは、原材料・労務費等の市場価格動向を踏まえコスト削減を行っていますが、市況の変化やCO2削減コストの負担増に伴い原材料費が高騰した場合には、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このため、バリューエンジニアリングやコストダウン等、継続的な工事内容の精査等に取り組んでおります。
4. 金融市場混乱・金利環境悪化・格下げ等により、財務状況が悪化するリスク
当社グループは、これまで鉄軌道業をはじめとする各事業の必要資金の多くを、社債や金融機関からの借入により調達しているため、市場金利が上昇した場合や、格付機関が当社の格付けを引き下げた場合には、 相対的に金利負担が重くなったり、資金調達の条件が悪化したりすることにより、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このため、有利子負債(※)の長期固定化を推進することで再調達リスクを抑制しつつ、コマーシャル・ペーパーの活用等、短期金融市場活用による機動的資金調達力の向上に取り組んでおります。
※有利子負債:借入金、社債、コマーシャル・ペーパーの合計

(4) コンプライアンスに関するリスク

1. コンプライアンス違反の発覚により、その損失処理とともに企業としての社会的信頼を損なうリスク
当社グループは、鉄軌道業、不動産事業をはじめとする各種事業において、関係法令を遵守し、企業倫理に従って事業を行っておりますが、これらに反する行為が発生し、社会的信頼を損なった場合には、お客さまや取引先の離反等により、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このため、「東急グループコンプライアンス指針」、及び当社「行動規範」を周知、徹底し、適正な法令遵守体制を構築、運用するとともに、不正・不祥事に関する情報収集、予防・再発防止のための情報展開、コンプライアンス全般・法改正対応に関する啓発・研修体制の充実等に取り組んでおります。
2. 会計等処理に重大なミス・不正が生じ不適正な財務諸表を公表するなど、社会的信用力が低下するリスク
当社グループは、関係法令を遵守し、各国の会計基準に基づき、連結経理体制の最適化、ガバナンス強化に向け、各種施策を講じておりますが、これらに反する行為が発生し、社会的信頼を損なった場合には、お客さまや取引先の離反等により、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このため、連結経理体制の最適化、国内連結各社の会計システム共通化による業務標準化等に取り組んでおります。
3. ITセキュリティを含む情報管理上の不備により、機密情報、個人情報の漏洩・紛失が発生し、その処理とともに社会的信頼を損なうリスク
当社グループは、社会的なインフラを担うシステムやサービスを提供しており、運用中の障害等が生じた場合には、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下、発生した損害に対する賠償金の支払い等により、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このため、設備や情報システムの故障、その他の理由によるトラブルの発生を想定したさまざまな施策を講じており、交通・決済・通信等重要なインフラを担う連結各社において外部によるセキュリティアセスメントの実施および改善計画策定、加えてサイバー攻撃を想定した対応訓練、サイバー保険への加入促進等、各種対策に取り組んでおります。

(5) 働き方・人材確保に関するリスク

1. 生産年齢人口減少傾向の中、適切な人材確保がかなわず、サービス品質劣化・事業縮小や違法就労をも誘発してしまうリスク
長期的には、少子高齢化や人口減少による環境下において、社員流出や採用難が今後深刻化し、人員不足を起因としたサービスの低下や風評等につながる場合には、お客さまや取引先の離反等により、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このため、当社グループは、連結全体で人材の採用や育成を強化するとともに、連結内人材の活用を促進し必要人員の確保を行っております。加えて、人事制度や福利厚生制度の見直しを図ることで正社員・フルタイム勤務者に依存しない多様で柔軟な働き方を提供する等、各種対策に取り組んでおります。