美しい時代へ-東急グループ 東急

ニュースリリース

2014年12月16日

東横線元住吉駅構内における列車衝突事故を受けた、
降雪期の安全輸送確保の取り組みについて

東京急行電鉄株式会社

2014年2月15日深夜に発生した東横線元住吉駅での列車衝突事故につきまして、おけがをされたお客さま、また沿線住民の皆さまをはじめ多くの方に、ご迷惑とご心配をおかけしましたことを、あらためて心よりお詫び申し上げます。
 現在、国土交通省運輸安全委員会による事故調査が継続中であり、当社として引き続き全面的に協力しております。
一方、7月に自社内の調査および鉄道総合技術研究所との共同調査による中間とりまとめを行いました。この調査結果を踏まえた対応および降雪期における安全輸送の確保に向けたその他の取り組みがまとまりましたので、下記のとおりご報告いたします。なお、今後、国土交通省運輸安全委員会による調査結果が示された時点で、別途、追加の措置が必要な場合は適切に対応いたします。


1.元住吉駅構内における列車衝突事故を踏まえた対応
7月の中間とりまとめで、鉄道総合技術研究所から「雪氷による踏面ブレーキへの影響は詳細に現象解明された事柄ではないため、安全対策をとるにあたっては積雪時の運用方法を含めた検討が望ましい」との見解が示されたことから、以下の対応を実施します。

  ①約3カ月に1回制輪子付着物を除去します。
   制輪子の付着物(油分を含む塵埃)を除去することにより、車輪踏面と制輪子への
   油分の介入を抑制することができるため、事故車両よりブレーキ力が低下すること
   がないものと考えます。
  ※制輪子とは、ブレーキ装置の一部であり車輪に押し付けて車輪の回転を減速または
   停止させるものです。

  ②運転規制(速度規制、運転中止)を明確化します。   
   [速度規制の実施]
   ・1時間に2cm以上もしくはそれに相当する降雪、または積雪の深さが8cm以上で、
    なお降り続くことが予想されるとき。または早めのブレーキ操作により運転士等
    がブレーキ力不足を認めたときは、速度60㎞/h以下(世田谷線を除く)で運転し
    ます。
   ・1時間に3cm以上もしくはそれに相当する降雪、または積雪の深さが11cm以上で、
    なお降り続くことが予想されるとき。
    または前述の60km/h以下の速度規制中においても運転士等がブレーキ力不足を
    認めたときは、速度40km/h以下(世田谷線は25km/h以下)で運転します。

   [運転中止の実施]
    降雪時において、前方の視認距離が200m以下となったとき、
    またはブレーキ力に余裕がない等、運転の継続が困難であると思われるときは
    運転を中止します。

  ③耐雪ブレーキの使用時機を明確化します。
   運転士が乗務中、線路内に積雪を認めたときには、耐雪ブレーキを使用します。
   ただし、降雪時、積雪に至る前においても、運転士よりブレーキ力が弱いと報告を
   受けたときは、運輸司令所長は全列車に対して耐雪ブレーキの使用を指示します。

  ④降雪、積雪時には早めのブレーキ操作を再徹底します。
   運転士は、線路内に積雪を認めたときは、雨天時のブレーキ操作開始位置より
   さらに手前から早めのブレーキ操作を行い、ブレーキ力の状態を把握することを
   再徹底します。

  ⑤長時間の駅間停車防止等のための運転調整を実施します。
   降雪時に、運輸司令所において列車種別の変更、列車本数の削減および列車間隔を
   調整して運行を管理します。これにより運転中止やダイヤ乱れによる長時間の駅間
   停車の防止等を図ります。

  ⑥耐雪ブレーキの圧力設定値の見直しを実施しました。
   車輪踏面と制輪子間の摩擦により、車輪温度を高める効果も得られることから
   圧力設定値の下限を見直しました。
  ※耐雪ブレーキとは、車輪踏面に制輪子を弱い力で押し当てながら走行することに
   より、車輪踏面と制輪子の隙間に雪が入り込むことを抑制する機能です。

【参考】事故の概要
(1)発生日時  2014年2月15日(土)0時30分頃
(2)場 所   東横線元住吉駅構内(下り・2番ホーム)
(3)概 要   元住吉駅でホームを過走し停車していた各駅停車(渋谷発、元町・中
         華街行き8両編成)に、後続の各駅停車(渋谷発、元町・中華街行き
         8両編成)が非常ブレーキを使用したにもかかわらず、
         十分なブレーキ力が得られず衝突。
(4)原因の推測 事故発生時に車輪に接するほどの積雪量があったこと、また、普段か
         ら曲線区間におけるせり上がり抑制および騒音防止のためにレール肩
         部に塗布している油分が、車輪フランジおよび制輪子周囲に付着して
         いたことが認められた。これらの客観的な状況を踏まえ、走行中の車
         輪が線路内の積雪を巻き込んだ際に、車輪フランジおよび制輪子周囲
         の油分とともに、車輪踏面および制輪子へ油と雪の混合物が液状とな
         って供給され、これにより事故時の制輪子は摩擦力が著しく低下した
         状態となり、非常ブレーキ距離の延伸に至ったものと推測します。

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2.降雪期における安全輸送確保の取り組み
 降雪期における安全輸送確保に向けたその他の取り組みとして、以下の対応を実施します。

 ①積雪計による積雪状況の把握
  外部気象会社からの降雪予報の把握とともに、東急線沿線8カ所に積雪計を新設し、
  監視カメラも併設することで、運輸司令所において積雪状況をリアルタイムに把握します。

 ②駅施設および踏切道の除雪体制の強化
  駅ホーム、ホーム屋根、および踏切道等の除雪要員を増員し、除雪体制を強化します。

 ③融雪器による分岐器の不転換対策
  地下区間等を除く本線の全ての分岐器に融雪器(電気ヒーター)を設置しており、
  レールを温めて雪を溶かします。また、係員による除雪作業も実施します。

 ④お客さまへのご案内について
  ホームページ、携帯電話への配信、および駅構内の案内ディスプレイ等により、
  降雪状況、運行状況および運転再開見込み等、お客さまに対する情報提供を強化します。

 ⑤社員への教育・訓練
  降雪時における対応力を強化するため社員への教育および訓練を継続的に実施します。

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