1.日時2014年1月6日(月)9時10分
2.内容東急グループ各社トップに対する年頭あいさつ
3.要旨
昨年は、安倍政権が、「大胆な金融緩和」「大規模な財政出動」で需給ギャップを埋め、アメリカ経済が底堅く推移したことなどを背景に、市況に明るさが出てきました。
景気は堅調に推移していますが、政府は、1997年の消費増税後に景気の腰折れが発生した原因の一つを、同年の緊縮財政にあるとの考えから、今回は積極的な財政政策と、「成長戦略」を実施することとしています。東急グループも、その政策と戦略を注視しながら、消費税の前倒し需要が発生する事業に対しては、今年4月の増税後の反動対策が必要と考えています。
昨年6月はユネスコにより、富士山が世界文化遺産に登録され、9月には、2020年オリンピック・パラリンピックの東京開催が決定しました。われわれ東急グループも、社会インフラの一翼を担う立場から、2020年のさらに先を見据えた長期的な視野に立ち、社会的責任を果たさなければなりません。
東急グループの本拠地である渋谷については、昨年6月に3つの街区の都市計画決定を受け、さらに12月には、東急不動産が参画する「桜丘口地区再開発計画」の都市計画提案が行われました。今後、渋谷駅周辺の再開発事業がますます本格化していきます。
渋谷ヒカリエの開業や、東横線・東京メトロ副都心線の相互直通運転による来街者の増加を、街の発展の一歩と捉え、さらに海外からも多くのお客さまが訪れる街を目指して、インバウンド施策の強化に取り組む街作りを推進していきます。
また、渋谷の街は、ICT関連企業の多くが拠点を置いていることも特徴の1つです。再開発によってオフィス機能を強化し、第2期開発事業が進む二子玉川地区とも連携し、テナント企業にとって、さらに魅力ある街に育てていただきたいと思います。
沿線以外の地域でも、大型案件が進捗しております。西銀座・数寄屋橋交差点の一角には、東急不動産が、2015年の開業を目指し、大型商業施設を開発しています。東急不動産ホールディングスの設立、持株会社体制への移行や資産の効率的活用によって、財務基盤の強化を図り、大型プロジェクトを着実に推進する体制を整えました。銀座の新たなランドマークとなり、新しいライフスタイルを、国内外に発信していくことが期待されます。
東日本大震災から間もなく3年を迎えようとしていますが、福島第一原子力発電所の問題など、依然として大きな課題もあり、あらためて、復興に向けた厳しい現実を思い知らされます。
そうした中、東急建設が大船渡駅周辺地区震災復興事業を、世紀東急工業が三陸北縦貫道路舗装工事を請け負うなど、グループ各社が復興に向けた役割を果たしていることを、大変心強く感じています。
地方の各地で事業を展開している皆さまには、加速化する地方の人口減少に対応して、商機をつかみ、新たな事業展開を積極的に進めていただきたいと思います。
一方、海外において、経済が拡大し、都市への人口集中が進行している東南アジアには、生活インフラに対する膨大な需要が存在します。東急グループでは、国内で蓄積してきた事業ノウハウを生かした、新たな市場開拓の取り組みが加速しています。
ベトナムでは、多摩田園都市で培った「街づくりパッケージ」の輸出として、ホーチミン市郊外ビンズン省での都市開発を推進しています。今年は、省都の移転が行われ、事業が一段と本格化します。インドネシアでは、東急不動産がホテルレジデンス事業に参入しているほか、東急建設がインドネシア初となる地下鉄の工事を受注するなど、各社の特色を生かした事業が積極的に展開されています。
かつて東急グループは、バブル経済崩壊後、債務・設備・雇用の3つの過剰を抱える時期を迎えました。各社のトップマネジメントは、ここ十数年間、「選択と集中」を断行し、中長期の収益確保のため大規模プロジェクトを進め、相次いで開業を迎えてきました。各社の長期にわたる不断の努力の結果、現在は、健全性と競争力を回復し、各社ともガバナンスの強化が図られました。
東急ストアは事業構造改革によって、売上高が対前年を上回り、チェーンストア協会の平均よりも高い伸び率となるところまで、業績を改善しました。イッツ・コミュニケーションズは、顧客基盤の拡大・強化を図り、安定的に高い業績を上げています。先ほど触れた世紀東急工業は、福島県内に工場を新設し、社会資本整備事業を進めるとともに、舗装資材の販売促進などで利益率を向上させています。東急REITは、昨年上場10周年となりましたが、ステークホルダーの信頼を得て、東急グループの不動産投資の受け皿となるまでに成長し、沿線価値向上に寄与しています。
この他にも、昨年は業績向上の実績を残した会社が数多く見られ、東急グループの力強い発展が示されました。今年は一層の成長を期待しています。
このように、成長性が回復した東急グループは、超高齢化社会を生き抜く準備に取り組むべきと考えます。日本国内の消費が縮小していくことは明らかであり、成長を目指すならば、何らかの形で海外のマーケットに進出することとなります。その準備として、会社の内外を問わず、女性を含む優秀な人材を発掘し、創造力の涵養と、グローバルな舞台で活躍する力を身につける機会を与えたいと思っています。
将来に向けた人材への投資と共に、現在の課題として、グループ内の横の連携、事業や施策の組み合わせが挙げられます。これもイノベーションの源泉であり、新たなビジネスモデルの創出に向けて、トップマネジメント層が活発に議論を交わしていただきたいと思います。その過程で、お互いが経営上の課題に気づき、コンプライアンス意識を高めることにもつながるものと考えています。
2014年が、「将来の強い東急グループ」の実現に向けて大きく前進することと、皆さまがこの一年、健康に経営に当たられることを祈念しています。
2014年1月06日
東急グループ代表越村敏昭(東京急行電鉄代表取締役会長)年頭あいさつ【要旨】
東急グループ
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