当社は、2025年10月5日(日)に田園都市線梶が谷駅構内における列車衝突事故を発生させてしまいました。お客さまならびに関係者の皆さまに多大なるご迷惑をおかけしたことを改めてお詫び申し上げます。本事故に伴い12月23日(火)国土交通省より、認定鉄道事業者制度において、鉄道電気施設の設計に関する業務に関わる「一般認定の取消」の行政処分を受けました。
今回の処分を厳粛に受け止め、事故の再発防止に全力を尽くしていくとともに、お客さまに安心してご利用いただける鉄道輸送サービスの実現に向けて、安全性向上に努めてまいります。
なお、今回の列車衝突事故および行政処分に関する経営責任の所在を明確にするため、下記のとおり役員報酬を自主返納することとしましたので、あわせてご報告いたします。
記
1.認定鉄道事業者制度の概要
国が行う鉄道事業に関する許認可について、鉄道施設・車両の設計確認や竣工確認を認定を受けた鉄道事業者自らが適切に実施することにより、安全性を確保しつつも、国への手続きを簡略化する制度です。
鉄道事業者からの申請により、組織的な技術力や品質の確保等について国土交通省が審査を行い、基準に達していれば認定が与えられるもので、当社は2001年12月に鉄道土木施設・鉄道電気施設・車両の3部門において、手続きの大幅な簡略化が認められる一般認定を取得しています。今回はこのうち、鉄道電気施設のみの一般認定取消となります。
2.一般認定取消による影響について
今後は鉄道電気施設の設計確認や竣工確認について、これまで簡略化されていた国への手続きではなく、国への認可申請・届出を行った上で、施設の改修や改良を行います。
また、取消後においても一般認定取得時と同様の組織的な技術力や品質の確保のための教育および社内手続きを継続していくことで、今後同様のことがないように努めてまいります。
なお、取消後も東急線全線の安全運行に支障はなく、お客さまのご利用には影響ございません。
3.事故の再発防止策
本事故の原因は信号システムの条件設定の不備であったため、以下の再発防止策を実施いたします。
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・信号システムに関する詳細な設計の手順書およびチェックシート(確認項目を明瞭化)を新たに作成し、複数名による確認を徹底することで、今回発生した条件設定における不備を防止いたします。
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・設計時に異なる部署間で調整する際、相互に適正な確認・判断できるように確認方法の見直しを行います。
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・不安全事象が発生しないよう、設計に関する組織的な確認体制を構築いたします。
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・本事故を風化させないため、継続的に教育を実施いたします。
4.列車衝突事故および行政処分への経営責任の所在の明確化
このたびの列車衝突事故および鉄道事業法に基づく認定鉄道事業者制度における鉄道電気施設の設計に関する業務に関わる一般認定の取消という行政処分への経営責任の所在を明確にするため、以下の通り役員報酬の自主返納を実施いたします。
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・髙橋 和夫 取締役会長 報酬月額の20%×2か月分
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・福田 誠一 取締役社長 報酬月額の20%×2か月分
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・伊藤 篤志 取締役専務執行役員(鉄道事業本部長、安全統括管理者) 報酬月額の10%×2か月分
(参考)
田園都市線梶が谷駅構内における列車衝突事故の概要(再掲)
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・日 時:2025年10月5日(日)23時04分頃
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・場 所:田園都市線梶が谷駅(神奈川県川崎市高津区末長1-48-6)
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・対象列車:
①中央林間発 渋谷行(各駅停車)10両編成
②梶が谷駅5番線(引き込み線)の列車(回送)10両編成 -
・運転状況:
10月5日(日)
23時04分頃から田園都市線全線で運転見合わせ
26時10分頃から田園都市線下り線で運転再開
10月6日(月)
初電から
・田園都市線 鷺沼駅~中央林間駅間で折り返し運転
・大井町線 大井町駅~二子玉川駅間で折り返し運転
24時00分頃から全線運転再開 -
・負傷者:
軽症者1名(列車②の担当車掌で、体調に不調を感じ10月14日(火)に受診したところ2週間の通院加療を要する見込みと診断) -
・原 因:
信号システムの条件設定不備により、列車②が5番線(引き込み線)に完全に入りきる前に、列車①が3番線に進行できる信号が出ていたため。
引き続き、運輸安全委員会の調査に協力してまいります。 -
・事故概要図:
以 上