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 子どもがいつ駅の改札を通ったかを携帯メールでお知らせ―。東急セキュリティ(東京都世田谷区)が行っている子ども見守りサービス「エキッズ」が保護者に好評だ。通学時の安全を簡単に確認できることが最大の魅力で、利用者は昨年1万人を突破。同社では新たにICタグを使った登下校見守りサービスも打ち出すなど、先進的な取り組みを進めている。

習慣が一番の安心
 エキッズの仕組みはこうだ。子どもが駅の自動改札機に「PASMO」をタッチ。その直後、保護者の携帯電話に「○月×日 ○時×分、○○君、東急電鉄・○×駅を入場(出場)されました」というメールが届く。世田谷線を除く東急線全駅が対象で、小学生から高校生まで利用できる。料金は6カ月ごとの契約で、1人当たり税抜き価格3,000円(月額換算で500円)。
 子どもを学校や塾、習い事に電車で通わせている保護者からすれば、「無事に着いたかな」「そろそろ家の最寄り駅に到着するはずだけど」といった不安をメール一本で解消してくれる。定期は必需品。わざわざ居場所を知るために携帯電話を持たせる必要もない。
 保護者が最寄り駅まで迎えに行くとしても、事前に電話やメールで到着時間を確認する必要もない。「決まった時間にメールが届くのが習慣になる。それで安心できる。逆にメールが来ないと何かあったのかもしれないと思ってすぐ連絡できる」という利用者の声もうなずける。家事や仕事で忙しいときに、自ら行動を起こすことなく、メールを受け取るだけでいいのはうれしい。
 利用しているのは主に私立校に通う子どもの保護者。2007年のサービス開始後、口コミで広がって利用者は右肩上がり。今は沿線にある小学校の3人に2人が利用しているという。首都圏にある他の鉄道会社では小田急電鉄が同様のサービスを提供している。

「3・11」でも活躍
 子どもの防犯対策ならGPS機能がついた携帯電話も普及している。GPSとエキッズとの違いは、自ら行動を起こす必要があるかどうか。ただ街中での居場所を確認するにはGPSも便利。「エキッズと併用している親も多い」(同社)という。
 エキッズは東日本大震災でも重宝された。ちょうど下校時間と重なり、発生時は電車に乗車中という子どもも多かった。しかし、発生前にメールを受け取っていた保護者は、居場所がある程度予測できたため、助けに行くことが比較的容易だったという。同社は「GPSは何かあってから見る傾向にある。震災が起きると携帯自体が使えない可能性もある。エキッズは日常生活でも、いざというときにも便利」と話す。

校門通過でメール
 昨年には、公立に通う小学生向けのサービス「キッズセキュリティ・ミマモルメ」も導入。ランドセルに名刺より少し小さいICタグを入れ、校門を通過すると床に埋め込まれたコイルに反応。アンテナが電波を拾って「正門を通過しました」というメールが配信される。
 子どもにとってもICタグを入れっぱなしにしておけばいいだけなのは便利。校門の工事が必要だが、費用は阪神電鉄が負担する。学校ごとの導入で希望する保護者は月400円台で利用できる。
 ミマモルメは阪神電鉄が先行実施しており、関西を中心にすでに約380校が利用している。東急沿線では東京都世田谷区、横浜市港北区の小学校3校が導入もしくは導入予定という。同社は「関西では人気のサービス。東京や神奈川でもどんどん学校に働きかけて普及させたい」と話す。


 筆者は新聞記者という職業柄、事件事故にはかなり敏感だ。防犯カメラなど犯罪を防ぐ「目」は確実に増えているが、事件は依然として絶えない。
 親からすれば我が子がそばにいないときは「元気に過ごしているかな」と多少なりとも不安になるはず。となれば、その不安を解消できる手段があるに超したことはない。昔に比べて「過保護だ」と言う人もいるかもしれない。必要だと思う親が、これらのサービスをうまく活用しつつ、日ごろから子どもと十分なコミュニケーションを取っていればいいのではないか。取材を通してそう感じた。


東急セキュリティ 公式サイト
http://www.tokyu-security.co.jp/

 神奈川新聞社総合メディア局 松村祐介(まつむら・ゆうすけ)

 2005年入社。報道部県警・遊軍・県政などを担当し、今はウェブ・モバイルサイト運営に携わる。横浜市出身の元球児。家では3歳になる娘の育児に奮闘中。毎朝保育園に送り届けるのが日課。不規則な仕事なので「できるときには家族サービス」がモットー。スポンジのように吸収力のある子供を見守りながら「自分も成長しなければ」と自戒の日々。神奈川新聞記者twitter(@matumr_kanagawa)もやっています。