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田園都市線における輸送障害を踏まえての緊急安全総点検の結果と今後の対策について

2017年12月15日

 11月15日に発生しました池尻大橋駅付近での架線不具合により、多くのお客さまにご迷惑をおかけしましたこと、あらためてお詫び申し上げます。
 当社起因により、度重なる田園都市線輸送障害を生じさせましたことを重く受け止め、トラブル発生直後から、田園都市線地下区間の緊急安全総点検に取り組んでまいりました。
このたび、地下区間の点検を終了いたしましたので、結果と対応をお知らせいたします。あわせて、輸送障害発生時のご案内強化などにも取り組んでまいります。
 今後も、安全・安定輸送の確保に向けた取り組みについては、適宜お知らせいたします。



1. 池尻大橋駅付近における架線不具合について
(1)概要
●日時
2017年11月15日(水)午前5時35分頃 田園都市線池尻大橋駅付近
●発生事象
き電ケーブル(※)のショートによる電車線停電
※変電所から電車線に電気を送る電線

(2)推定原因
メーカーにて「き電ケーブル損傷部分」の解体調査を行った結果、「き電ケーブルの接続部」の施工不良により、ケーブル表面に傷がつき、時間の経過とともに傷が拡大、さらに電車の振動による金属製ラックとの接触等により、ケーブル内部の防水テープが摩耗したため絶縁が保てなくなり、ショートに至ったと推定されます。

(3)課題と今後の対策
●ケーブル類の接続部や湾曲部などを重点的に確認し、施工後の品質チェックを徹底します。
●地下区間において、ケーブル類のショートを防ぐため、ケーブルを配備するラック上に絶縁体を置き、「き電ケーブルの接続部」とラックの非接触化を図ります。
●田園都市線地下区間という設備環境の特性に応じた「点検方法」の見直しを行います。

2. 田園都市線地下区間(渋谷~二子玉川間)の緊急安全総点検について
(1)点検箇所
【電気】電線類(電車線、き電ケーブル、高圧配電ケーブル)、信号ケーブル、機器室
【土木】トンネル、排水側溝、駅部天井
【線路】レール、分岐器
【車両】運転台機器、パンタグラフ周囲、床下機器

(2)実施期間
11月18日~12月13日の期間中、延べ2,120人により、主に終電後に実施しました。

(3)点検結果と処置
緊急性の高い不具合箇所はございませんでした。以下の設備の表面的な傷等については、予防保全を実施しました。
●ケーブル類における傷:281か所
⇒絶縁テープ、曲りの是正等による補修済み
●ケーブル類への漏水・埃や汚れなどの付着物確認箇所:43か所
⇒ケーブルの点検をしやすくするため、トンネル内の清掃・付着物の除去、
漏水への対応を実施中

3.さらなる未然防止策について
地下区間という設備環境の特性に応じた重要設備の「点検方法や頻度」を見直します。
(1)具体策
ケーブル類の点検
・現状の目視点検に、接続部や湾曲部などを中心とした触手点検を追加。さらに、絶縁抵抗測定などを行う「き電・高圧配電ケーブル」の精密点検は、5年に1回から2年に1回に頻度を上げて実施します。

4.輸送障害発生時の運転支障極小化について
(1)朝ラッシュ時間帯への影響の最小化(初動体制強化による早期復旧)
事象が発生した場合に、原因の特定ならびに対応時間の短縮を図るため、影響度が大きい田園都市線地下区間に、技術部門を中心とした現場事務所を設置し、保守体制を一層強化します。

(2)きめ細やかなお客さま案内の強化
田園都市線は、他路線に比べ鉄道での代替ルートが少なく、特に地下区間は乗降客数が多いことから、これまで以上にきめ細かい案内を実施します。具体的には、田園都市線地下区間各駅に案内係を増員します。また、他路線の駅までの徒歩ルートやバス路線のご案内など駅周辺マップを各駅で配布し、きめ細かい代替案内を実施します。


引き続き、田園都市線地上区間の総点検については、今年度中を目途に完了させるとともに、東急線全線でも必要な点検を徹底してまいります。また、点検方法やお客さまのご案内などについても、継続的に改善を図ってまいります。