
何ともいえない不快な胸やけを経験したことはありませんか?その原因の一つとして、胃食道逆流症が考えられます。
胃食道逆流症(gastro-esophageal reflux disease:GERD)は、近年増加しつつある疾患です。医学的には、『食道内あるいは口腔咽頭内への酸性胃内容物の逆流によって自覚症状、粘膜損傷のいずれか、あるいは両方が起こったもの』と定義されています。GERDにおける代表的な疾患として逆流性食道炎があげられます。逆流性食道炎は先進諸国に多く、発展途上国に少ない疾患です。日本におきましても、人口の高齢化や生活様式の欧米化にともない増加の一途をたどっております。
最も典型的な症状は、胸やけと言われています。皆さまの中にも、日常生活において胸やけを経験したことがある方は多いと思います。欧米では、成人人口の20~40%が少なくとも月一回胸やけを経験しているという報告もあります。日本におきましては、ある集団検診の問診の際に、「時々胸やけ症状を起こす」と回答された方が20%でした。GERDの危険因子としては、肥満、便秘、過食、タバコ、アルコール、脂肪食、嗜好品(香辛料など)など様々なものが知られています。
では、一体どのようにしてGERDと診断するのでしょうか?
まず、問診から行ないます。次いで、上部消化管内視鏡検査や上部消化管造影検査を施行し、逆流性食道炎の有無を診ます。また、24時間pHモニタリング検査で、実際にどれだけ酸が逆流しているのかを測定します。以上の検査により、胃食道逆流症と診断されれば治療がはじまります。
治療は酸分泌抑制薬(胃酸の分泌を抑えるくすり)を中心としたくすりを内服していただきます。しかし、くすりを内服しても症状が良くならなかったり、食道炎が軽快しない場合には、手術が必要となることもあります。
胃食道逆流症を治療せずに放置していると、どうなってしまうのでしょうか?
基本的には良性の疾患ですので、すぐに症状にあらわれることはありません。しかし、治療せずに長期間放置してしまいますと、食道が短くなったり(短食道)、細くなったり(食道狭窄)することがあります。また、最近では、食道炎がバレット食道(1950年にバレットとという名の医師がはじめて報告したために、バレット食道と呼ばれるようになりました)に発展し、やがて食道腺がんに至るケースも増えてきております。
胸やけに悩まされている方がおりましたら、一度ご相談ください。
強い酸性胃液のある胃の中には、細菌は生息しないものと信じられてきました。しかし1983年、オーストラリアの学者によって胃粘膜から初めて細菌が分離、培養され、この定説は覆されたのです。発見された菌が、通称ピロリ菌(正式にはヘリコバクターピロリ)と言われ、胃幽門部(ピロルス)に多く見られる螺旋状の桿菌で、3~6本の鞭毛をヘリコプターの様に高速回旋しつつ粘液中に侵入して胃粘膜表面に到達します。長年にわたる持続感染は、胃炎を増悪させ、潰瘍の治癒遷延、易再発性の原因となるだけでなく、胃がんや胃リンパ腫の発生母地もつくります。
まだ詳細は不明ですが、感染率は衛生環境や上下水道の普及率が悪い地域や国ほど、また加齢と共に高率になるため、糞便や汚水から口へ、口から口への経口感染が考えられます。内視鏡を介しての感染も話題になりましたが、十分に消毒されれば何ら心配はいりません。
ピロリ菌は強い酸や消化液から身を守るため、胃粘膜を覆う粘液層の中に潜むと共に、尿素からアンモニアを産生して粘液を中性に保とうとしています。このアンモニアやピロリ菌自身が分泌する毒素(サイトトキシン)が、胃粘膜組織および微小循環系を刺激する結果、いろいろな障害が発生するのです。
次のように沢山の検査法がありますが、医師はそれぞれの長所、短所を理解したうえで、あなたにふさわしい方法を選択してくれるでしょう。
1. 尿素呼気試験;最も簡便で信頼性の高い方法。東急病院でも採用しています。
2. 抗ヘリコバクターピロリ抗体測定;血液、尿または唾液を用いて測定
3. 便中ヘリコバクターピロリ抗原測定
1. 迅速ウレアーゼ試験
2. 鏡検法
3. 培養法
わが国のピロリ菌感染率は、20歳代までは20%以下と欧米人並みですが、40歳以上では途上国と同様60~70%と高率です。ピロリ菌を除菌すると、胃炎の改善、胃・十二指腸潰瘍の再発予防(表1)、さらには胃がんなどの抑制が考えられています。従って除菌の適応疾患として平成15年に開催された日本ヘリコバクター学会では、次の疾病を挙げています。
1. 胃潰瘍、十二指腸潰瘍
2. 胃MALTリンパ腫
1. 早期胃がんの内視鏡的粘膜切除術後
2. 萎縮性胃炎
3. 過形成性ポリープ
除菌治療の保険適応である第一選択薬としては、プロトンポンプ阻害薬、アモキシシリン、クラリスロマイシンの3剤、1週間投与法が原則で、(表2)に示すA、B、の2方法があります。なお近年、クラリスロマイシンの耐性菌が増加し、上記3剤療法の効果が低下しつつあり、メトロニダゾールを用いた2次除菌療法の保険適応も認められております。
日本人の死因の第一位はがんであり、がんの中での死因の第一位は肺がんです。しかし2年ほど前までは、胃がんが死因の第一位であり、がんの数では依然として胃がんが第一位です。
1980年代までは、早期がんと進行がんの比率は約3:7でした。しかし現在では6:4と逆転し、早期がんの方が多くなりました。これは、内視鏡の著しい進歩と、健康診断(人間ドックを含む)、および一般市民のがんへの関心の高まりなどが挙げられます。都心部では早期がんが多く、地方ではいまだに進行がんが多いようです。
現在早期胃がんであれば、95%以上の根治術が可能です。40才を超えた方や、祖父母、両親や兄弟、つまり血のつながった方に胃がんにかかった人がいる場合は注意が必要です。ぜひ胃検診、できれば内視鏡(胃カメラ)を勧めます。内視鏡の著しい進歩と、麻酔法により検査が楽に受けられます。
次にがんが見つかった場合のお話しです。がんと宣告されたからといって慌てることはありません。内視鏡および診断の進歩により早期胃がんが増えました。条件さえそろえば、お腹を切らず内視鏡で切除(内視鏡的粘膜切除術)、および腹腔鏡下胃切除術などが可能です。 さらに、開腹術であっても、縮小手術など(部分切除、機能温存、切除範囲の縮小)が行なわれます。
一方進行がんであった場合は、定型的胃切除、拡大切除、非治癒切除などがあります。非治癒切除の中には、原発巣を切除する場合とがんの減量手術、バイパス術があります。
また手術不能例であっても、現在化学療法(抗がん剤)の進歩により延命効果が期待できます。抗がん剤は種類が多く、使用方法(入院点滴、外来点滴、経口投与)も条件により(年齢、進行度、全身状態、社会背景など)異なります。副作用も強いため十分な吟味が必要です。
その他に免疫療法もあります。
胃がんと言ってもそれぞれステージ(程度)があり、それに見合った治療方法があります。ぜひ、ご相談ください。
なお日本胃癌学会より、“胃がん治療のガイドラインの解説”という、本が出版されています。こちらも、お読みになると良いと思います。
ポリープがんに対する内視鏡的ポリープ切除術に始まった胃がんに対する内視鏡的治療は、内視鏡的粘膜切除術(EMR)の手技の確立により広く認知されるものとなりました。さらに胆嚢摘出術に始まった腹腔鏡下手術の技術の進歩は、本邦における必然として早期胃がんにその適応を広げてきました。まず胃がんに対する内視鏡治療の現況を紹介してから、根治的治療と姑息的治療に分けて現在の適応と将来の適応拡大の可能性について述べます。
胃がんに対する根治的な内視鏡治療の第一選択としては内視鏡的粘膜切除術が広く行なわれるようになりました。2チャンネル法に始まり、キャップを用いた方法や増田らにより考案された食道静脈瘤結紮用のデバイス(EVL)を用いた方法などが行なわれています。またわれわれの考案したEMR困難部位へのアプローチを容易にし、一括切除率の向上をはかるための経皮経胃壁内視鏡下粘膜切除術ー胃瘻を用いた粘膜切除術(PTEMR)も行なわれています。
胃がんに対する腹腔鏡下手術は、まず自動縫合器による胃を楔状に部分切除することから始まり、次に大橋らにより腹壁から胃内に直接腹腔鏡と鉗子類を入れて粘膜切除を行なう腹腔鏡下胃内手術が考案されました。最近では、より根治性の高いリンパ節郭清を伴う腹腔鏡補助下幽門側胃切除術も行なわれるようになってきました。また切除不能胃がんに対しては 腹腔鏡下胃空腸吻合術が行なわれます。
またレーザー治療に代表される組織破壊法も早期胃がんの治療に単独で用いられるばかりでなく、EMRで不完全切除に終わった場合の追加治療法として高く評価されています。加えて進行がんに対するQOLの向上をめざした姑息的治療としても有効であります。さらにはバルーンカテーテルを用いた拡張術、ステント挿入術なども行なわれます。
このように早期胃がんの根治を目指した治療とQOLの改善をめざした姑息的治療のために様々な手技が行なわれるようになってきました。胃がんの内視鏡治療の適応はと問われれば、2次・3次リンパ節転移を伴い開腹術によってのみ切除が可能な進行胃がん以外はすべてが適応となります。もちろん技術的に可能なことが臨床的に有用であるとは限らず、内視鏡治療の適応も、とくに根治的治療については、広く受け入れられる合理的ものでなくてはなりません。しかし本来術式の適応は、適応が一人歩きするものではなく、患者さまそれぞれの身体的条件や社会的条件によって柔軟に対応できるものでなくてならないのは言うまでもありません。
内視鏡的粘膜切除術については、「リンパ節転移のないと考えられる粘膜内に限局する高分化型腺がんー隆起型で20mm以内・陥凹型では10mm以内で潰瘍瘢痕を伴わない」が現在得られているコンセンサスであります。今後の方向としては、高分化型腺がんであれば表面隆起型(IIa)で30mm、表面陥凹型(IIc)で20mmまでは拡大可能でしょう。一括切除にこだわらなければ、現在の技術でこの適応の拡大は十分に達成可能であります。
問題は、低分化型腺がんであります。現在絶対適応からははずしている施設が多いですが、10mm以下であれば完全切除が可能と考えています。ただし浸潤範囲の同定が難しい場合があるので、十分に広範囲に切除する必要があります。またレーザー治療の追加も根治性を向上させるうえで有効であります。
深達度については、粘膜下層に微小浸潤であれば十分に根治が得られると思われますが、脈管浸潤を伴う場合や粘膜下層に広く浸潤する場合は、リンパ節転移の頻度が約15%あることを考えれば、なんらかの追加治療が必要となります。
腹腔鏡下胃部分切除術では、胃の全層切除が行なわれ、近傍のリンパ節の検索も可能であることから、粘膜切除術よりも適応の拡大がはかれます。つまり粘膜下層まで浸潤のみられる高分化型腺がんや潰瘍瘢痕を伴う陥凹型の早期胃がんそして低分化型腺がんも浸潤範囲が同定できれば対象となりえます。通常早期胃がんのリンパ節転移は一次リンパ節にみられることが多く、一次を飛び越していきなり二次リンパ節のみに転移することはまれであるので、一次リンパ節を術中に迅速病理診断に提出し、転移がなければ局所切除で根治が得られます。転移があれば、そのまま系統的リンパ節郭清を伴う腹腔鏡補助下胃切除術を行なうか、開腹術に変更します。腹腔鏡下胃部分切除術で注意しなければならないのは切除断端が外翻してしまうので、断端再発のチェックが難しいことであります。このためサージカルマージンは粘膜切除術の場合よりも大きくとらなくてはなりません。また胃の形態によっては術後の狭窄と胃内容の停滞に留意する必要があります。とくに前庭部では要注意であります。したがって腹腔鏡下胃部分切除術の場合、病変の大きさの面からの適応拡大は慎重を要します。
腹腔鏡補助下幽門側胃切除術の適応については、まだ議論の多いところであります。2次リンパ節である7番、8番の郭清も可能であることから規約上のD2郭清は可能となります。つまり理論的には1次リンパ節転移のあるN1症例までが適応ということになります。また漿膜浸潤のある場合や広範なリンパ節転移のある症例では、ポート部の再発を考慮しなければならず、リンパ節の問題だけで適応を決められるわけでもなさそうであります。今後の検討を要する問題であります。
胃がんに対する姑息的治療としての内視鏡的治療は、患者さまのQOL改善のために行なわれます。すなわち出血部位や狭窄部に対するレーザー治療、バルーン拡張術、ステント挿入術などが行なわれます。また減圧目的あるいは経腸栄養のための経皮内視鏡的胃瘻造設術も行なわれています。姑息的治療としての腹腔鏡下手術は、バイパス術としての胃空腸吻合術、がん性腹膜炎に対する診断を兼ねた腹腔内抗腫瘍薬注入用リザーバー留置術などが行なわれます。
以上、胃がんに対する内視鏡治療の現況と適応について概説しました。議論のある点も多々ありますが、今後械器の進歩とわれわれの技術の向上により内視鏡治療はますますその適応を広げていくことはあっても、狭まることはないでしょう。
C型肝炎は、C型肝炎ウイルス(HCV)の肝臓への感染症で、HCVの肝細胞への感染により肝細胞が破壊され病気が進行します。肝臓は「沈黙の臓器」といわれているように、HCVが感染しても肝臓の状態が肝硬変、肝がんへ進行・悪化するまで症状が現れないため、治療が遅れる場合が多く見られます。しかし、C型肝炎の診断は、血液検査で簡単にできます。ぜひ、一度血液検査を受けましょう。
肝臓は人の身体の中のコンビナートで、大きな化学工場です。身体に必要なものの合成、そして必要でなくなったものの分解、解毒の働きをしています。さらに余まったものを貯蔵し必要なときに放出しています。胆汁を生成し、消化にも役立っています。
| 解説 | |
|---|---|
| 生合成 | 糖、コレステロール、蛋白(アルブミン、凝固因子など)の合成・代謝 |
| 分解・解毒 | アンモニア・ビリルビン・薬物などの分解・排泄、他物質への変換 |
| 胆汁生成・排泄 | 胆汁の分泌 |
| 細網内皮系の機能 | クッパー細胞による有害物質の除去 |
| 水分調節 | 肝循環の調節 |
1. 腹部超音波検査
2. CT、MRI検査
C型肝炎ウイルスに感染すると、60~70%の人が6ヶ月以上肝細胞の障害が継続し、慢性肝炎になります。この時期はほとんど症状が無く気がつかないうちに進行し肝硬変となります。慢性肝炎から肝硬変になる割合は1年につき2~3%、肝硬変から肝がんになる割合は1年つきに5~7%と推定されています。日本人のC型慢性肝炎患者は症状の無い持続感染者(キャリアー)を含めて150~200万人いると考えられ、男女とも40歳以上が80%以上を占めています。
C型肝炎の治療には原因療法(ウイルスを除く治療)と対症療法(肝機能を改善し、肝炎の進行を防ぐ治療)があります。最適な治療は、ウイルスが排除されることですが、その治療が困難な場合は対症療法によります。
| 治療目的 | 主な治療法 | |
|---|---|---|
| 原因療法 | C型肝炎ウイルスの排除、完全治癒 |
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| 対症療法 (肝庇護療法) |
肝機能を改善し肝炎の進行を防ぐ |
|
C型肝炎ウイルスが1989年に発見されてから、それまで非A非B型肝炎といわれた肝炎が、C型肝炎ウイルスの感染によるものと明らかになりました。そして1992年1月よりインターフェロン単独療法が開始され、2001年12月にはリバビリンとの併用療法、2002年2月にはインターフェロン投与期間の撤廃と進んだ。この間にインターフェロンの改良も進み、2003年12月にペグインターフェロンが使用可能となった。そして2004年12月よりペグインターフェロンとリバビリンの併用療法が行なわれている。この間の治療成績の向上は目覚しく、C型肝炎ウイルス遺伝子1型・高ウイルス量の場合、インターフェロン単独ではウイルス消失率数%の成績が、ペグインターフェロン・リバビリンの併用で約60%まで改善している。ペグインターフェロンとはインターフェロンにポリエチレングリコールという高分子化合物を結合させたもので、血中からの消失を遅らせ、長時間血中に残るようにデザインしたものです。このデザインにより週1回の投与で良く、副作用も軽減されています。
肝細胞がんの原因疾患は、80%がC型慢性肝炎・肝硬変によっています。肝細胞がんにならないためには、まずC型肝炎の完治(C型肝炎ウイルスの消失)が大切です。インターフェロン治療によりウイルスが消失した人からの肝がんの発生率は低いことが判っているからです。インターフェロン治療を行なう意義がここにあります。もし、C型肝炎ウイルスが消失しない場合(インターフェロン治療が無効、使用できないなどにて)、肝機能(ALT)をできる限り低値に維持する必要があります。ALT値が35KIU/L以下の場合肝がんの発生率が低くなることが知られています。
肝炎も原因が明らかとなり、治療法もインターフェロンの開発・改良により治療成績が良くなっています。しかし、自分がC型肝炎に感染しているか否かを知らなくては意味がありません。ぜひ、一度は肝炎ウイルスの血液検査を受けましょう。
胆石症は、よく知られた病気です。胆石症の種類には、胆嚢内にできる胆嚢結石症と胆管内にできる胆管結石症と肝臓内にできる肝内結石症の3種類があります。それぞれの胆石のできる部位により治療法も異なってきます。
ここでは胆嚢内と胆管にできる胆石について述べます。胆嚢内にできる胆石症は、コレステロールからできる石が最も多く、次に胆汁色素であるビリルビンからできる石と黒い色素からできる黒色石などがよくできます。胆嚢は、肝臓で作られた消化液である胆汁を貯めておくタンクです。肝臓で作られた胆汁は、胆管という管に集められ肝臓をでて十二指腸まで流れていきます。この管ー胆管の途中に胆嚢という袋がついています。この胆嚢では、胆汁を貯めるとともに、胆汁の濃縮を行ないます。そして食事をするとこの胆嚢が収縮し、濃縮して貯めてあった胆汁を十二指腸に排出します。
胆石症の典型的な症状は、食事のあと、とくに油こいものを食べたあとにでる上腹部の痛みです。しばしば嘔吐を伴います。これを胆石発作といいます。このような激しい痛みがなくても、鈍い痛みや背中の痛みあるいは右肩の痛みがでることもあります。発作に伴って胆嚢自体の炎症が起こると、発熱がみられます。つまり胆石発作で熱が出た場合は、重症ということになります。
胆嚢結石の治療としては、薬による溶解療法、器械を使った破砕療法、手術療法がありますが、溶解療法と破砕療法は、その治療の対象となる胆石症の状態に制限があり、どんな石でも治療できるわけではありません。手術療法は、すべての胆石症が適応となります。また胆嚢炎をおこした胆石症の場合は、手術が必要となります。
胆嚢結石症の手術は、1990年から内視鏡を使った手術、腹腔鏡下胆嚢摘出術が始められました。従来の開腹手術と異なり、臍部(へそ)と上腹部とわきばらの4ヶ所に3mmから12mmの小さな穴をあけて、そこからおなかの中を観察する内視鏡と細くて長い手術器械をいれて、手術を行ないます。手術は、石をとるのではなく、胆嚢自体を切除します。これは、胆石を生じたような病的な胆嚢を取り除いたほうがよいという考え方です。術後は、経過が順調であれば、3日から1週間で退院となります。
胆管に結石がある場合は、あらかじめこれを胃カメラのような内視鏡を使って、十二指腸から胆管内の結石を取り除く手術を行なってから、腹腔鏡下胆嚢摘出術を行ないます。 症状のない胆石症は、手術する必要がないことが多いのですが、胆嚢自体に変化がある場合や、胆管結石を合併する場合は、手術が必要となります。