
この疾患は進行度(病期)や年齢、片側性か両側性かなど様々な要素があり、全員に同じ治療が適用されるわけではありません。
当院におきましては患者さまが術後に日常生活を送っていく自信が持てるようになってからの退院を原則としていますので、ここにあげた入院期間はきちんとリハビリテーションをしてしっかりと歩くことができることを目標としたものです。
中には記載の半分くらいの期間で退院することも可能な患者さまもいますが、家庭での生活に不便を感じたり、合併症を起こしたりする可能性が高くなることもありますので、やみくもに早期退院が良い訳ではないことを十分に理解しましょう。
疼痛があり破壊されつつある関節を、自分の骨・関節を生かして安定した関節を作る方法です。本来人間が持っている自然治癒力を最大限に利用する方法で、自分自身の関節を温存するため、手術後は基本的に一般生活における制限はほとんどありません。しかし、リハビリテーションには時間がかかり、後述の人工股関節に比べて社会復帰が遅れます(6~12ヶ月)。
当院で行なっている代表的な関節温存手術は以下のものです。
初期のものに対して行ないます。大腿骨を切って内側に倒して関節のかみ合わせ(適合)を良くしてあげます。これを単独で行なうか<3>の臼蓋棚形成術を組み合わせて行ないます。入院期間は4~6週間程度。
【写真1-1】
【写真1-2】
【写真2】
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末期のものに対して行ないます。大腿骨を切って外側に倒して、時間をかけて関節のリモデリング(再形成)を促す方法です。単独で行なうか<3>の臼蓋棚形成術を組み合わせて行ないます。入院期間は4~6週間程度。
【写真3】
【写真4】
【写真5】
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骨頭上の骨盤に骨を植えて、荷重面(体重を受ける面積)を広げてあげる方法です。
初期から末期の各時期に単独で行なったり、他の術式と組み合わせたりして行ないます。入院期間は4~6週間程度。
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【写真7】
【写真8】
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初期のものが最もよい適応ですが、少し進んだ進行期のものにも行なっています。骨盤の臼蓋部(荷重のかかる所)を丸くくりぬいて回転させて荷重面を広げてあげて関節を安定化させる方法です。<1>よりも手術侵襲が大きくなりますが、成績は安定しています。入院期間は6~8週間程度。
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骨盤を切って外側に引き出すとともに骨頭を内側に移動させて骨頭の被覆状況を改善させます。
進行期から末期にかけて幅広い適応があり、<2>の外反骨切り術と組み合わせることもあります。入院期間は6~8週間程度。
【写真9】
【写真10】
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股関節周囲の緊張している筋肉(腸腰筋・内転筋・大腿直筋)と関節包を切離して関節にかかる圧を下げたり、拘縮を取ったりして関節の隙間を開けて、痛みの悪循環を断つ方法です。末期のものに対して行なうと効果の大きい方法です。入院期間は3~4週間程度。
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【写真11】
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手術に先立ち、1cmほどの傷で関節の中を観察し、軟骨や関節唇や滑膜の状態を評価します。また、関節遊離体(ねずみ)の除去などもできます。
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関節の破壊が著しい進行期や末期の股関節症や関節温存手術で機能改善が得られない場合に行ないます。傷んだ自分の関節をあきらめて、金属やセラミック・超高分子ポリエチレンなどの人工素材で関節を作ってあげる方法です。除痛効果は抜群に優れていて、社会復帰も早いメリットがあります。マスメディアの影響のせいもあり、希望される患者さまが多くなってきていますが、10~15年以上も使用していると骨との間にゆるみが出てきて入れ替えの再手術をしなければなりませんし、この再手術が大変であることを十分に理解しておくことが大切です。若い患者さまは特に注意しなければなりません。
現在では特に肥満の傾向のない女性では、10cm前後の小さな皮膚切開で行なうことができ(MIS)、術後の疼痛も軽くなり、早期のリハビリテーションと社会復帰が可能です。当院では人工関節と骨との結合にセメントを使用しないセメントレス人工股関節を使用しており、セメントによる合併症の心配がありません。
輸血が必要になることも多く、手術前に自分の血液を保存しておく自己血輸血や術中回収血を行なうこともあります。入院期間は4~6週間程度。
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大腿骨頭への血流障害から骨の細胞が壊死を起こして潰れてくる病気で、多くはアルコールの多飲者や内科の病気などで副腎皮質ステロイド剤を投与されている患者さまに起こります。関節温存手術と人工股関節置換術があり、年齢や病型・病期によって治療が選択されます。
骨頭の陥没が3mmまで(StageIIIA)までで、病巣が比較的限局しているものに対して、自分の骨頭を温存して行なう手術です。病巣の部位や範囲によって骨頭を前方に回転させたり(ARO)、後方に回転させたり(PRO)して、陥没している病巣部を荷重部から逃がしてストレスがかからないようにして壊死組織の修復を図ります。
九州大学の杉岡名誉教授が考案された方法で、直接ご指導をいただきましたが、手術には医師の高い技術とリハビリテーションに対する患者さまの十分な理解と協力が必要です。入院期間は8~12週間程度。
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StageIIIで病巣が広範囲なものやStageIVで関節に変形が生じたものに対して行ないます。
内容は変形性股関節症の項に述べたものと同じです。除痛効果に優れ社会復帰も早く患者さまの満足度は非常に高い方法ですが、壮年期で活動性の高い男性が対象になることが多いため、人工股関節と骨との間でのゆるみが生じやすく、再置換が必要となる率が高いために、術後の生活には十分な注意が必要です。入院期間は4~6週間程度。
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運動療法、ヒアルロン酸の関節内注射や鎮痛剤の使用などの保存的治療(手術以外の治療)で症状の改善しない方が対象になります。
関節鏡で関節内を観察しながら、変性・断裂した半月板を切除したり炎症を起こした滑膜を切除したりして除痛します。入院期間は1~2週間程度。
O脚になっている膝は内側の部分に体重の負荷が偏って多くかかるために、脛骨を切ってO脚を矯正しプレートをあてて固定します。骨切り部の骨の癒合を促進するために骨盤から骨移植をすることがあります。比較的病期の軽いもので、60歳前後までの活動性の高い患者さまに適応があります。<1>のデブリドマンと併せて行なうことが多いです。入院期間は4~6週間程度。
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関節の破壊が著しい患者さまや関節温存手術で症状が改善しない方、O脚変形の高度な高齢の患者さまが適応になります。
人工股関節置換術同様、金属と超高分子ポリエチレンで人工的に関節を作ってあげる手術です。大腿骨と脛骨側に金属のコンポーネント(部品)を設置してその間に超高分子ポリエチレンを挿入します。人工股関節同様原則セメントは使用しませんが、リウマチや骨粗鬆症高度な患者さまにはセメントを使用することがあります。あらかじめ自己血貯血をして術後の輸血の準備をすることもあります。
関節の動きもよく、除痛効果は抜群ですが、人工の器械である以上耐用年数があります。15年以上使用しているとポリエチレンが磨り減るために、入れ替え(再置換)をしなければならないこともあります。また、この手術を受けた後は人工関節の寿命を延ばすためにも激しいスポーツ活動は控えることが望ましいです。入院期間は4~6週間程度。
【写真25-1】
【写真25-2】
【写真26-1】
【写真26-2】
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高齢者に多く、転倒によって起こりますが、骨粗鬆症の強い方では特に外傷がなくても骨折を起こすことがあります(骨脆弱性骨折)
受傷後早期に手術をして早期リハビリテーションを目指します。骨折のタイプによって手術の方法が異なります。
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股関節の関節包外での骨折
キャプチャードヒップスクリュー(CHS)という太いネジとプレートで骨折部を固定します。入院期間は4~6週間程度。
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股関節の関節包内での骨折。骨頭への血行障害から後に大腿骨頭壊死症になるタイプもあります。
若い人や転位(ズレ)の軽度な骨折には3本のネジで固定します(三本釘法)。入院期間は4~6週間程度。
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高齢者や転位の大きな骨折をした患者さまでは、骨癒合が期待できないことや早期のリハビリテーションを目的に人工骨頭置換術を行ないます。入院期間は3~4週間程度。
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新生児検診や3ヶ月検診などで股関節の開きが悪い(開排制限)ことで発見されます。X線写真やエコーで診断します。リーメンビューゲルというバンドの装具を装着してやく80%のものが2週間以内に整復されます。この間は入浴できません。整復されたら4~5ヶ月継続して装着します。整復されないものは一度はずして1ヶ月後に再装着をするなど、入院して牽引治療に変更します。それでも整復されないものは1歳を目処に手術をして整復します。臼蓋の発育の悪いものは就学前に骨盤の骨を切って被覆を改善するソルター手術などの補正手術が必要なケースもあります。
3~10歳に男児多く、大腿骨頭の骨端核の血行障害が原因です。痛みは徐々に強くなっていきますX線で判断できない超早期でも、MRIでは的確に異常所見が描出されます。免荷装具での治療と病巣が広範囲にわたるもの場合や高齢発症では大腿骨の内反骨切り術やソルター手術・ペンバートン手術を行ない、臼蓋との良好な適合性を作ってあげて、変形を防止する方法が取られます。
特に原因がなく、急激に足がつけなくなるような痛みで発症します。痛み以外には特に症状はなく、1日から数日の安静で自然に軽快します。MRIでは関節に水が溜まって見えます。
10歳前後の肥満気味の男児に多い病気です。あたかも帽子が後ろに脱げるかのように、大腿骨頭の骨端線で後方にズレる病気です。急激に発症するものと、じわじわ慢性的に発症するものがあります。30~40度くらいのズレならばそれ以上ずれないように一本のスクリューを入れて固定します。それ以上の大きなズレの場合は大腿骨を切って後方にズレた分だけ前方に屈曲骨切り術をして、プレートで固定します。
乳児に多く、風邪などの前駆症状に引き続き、高熱と股関節の痛みで発症します。オムツを替えるときに不機嫌に泣くなど、股関節を動かしません。直ちに関節に針を刺して膿を抜く、または手術をして関節切開して洗浄します。エコーの検査で関節に膿が溜まってみえます。後遺症として関節の変形が残ります。
【写真33】
半月板は大腿骨と脛骨の間に挟まっている三日月形のクッションのような組織です。膝を強くひねった時に引きちぎれて断裂したものが関節の間に挟まって痛みや引っ掛かりの症状を出します。
膝の前側に二箇所の1cmくらいの切開を加えて関節鏡を挿入し、関節内を観察して断裂した半月板を鏡視下に切除します。極めて低侵襲です。切除後1ヶ月は無理をしないようにしないと、関節水腫が続くことがあります。入院期間は1~2週間程度です。
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前十字靭帯は膝関節の前方の安定性ばかりではなく、回旋(ねじれ)に対する安定性にも関係している極めて重要な靭帯です。
断裂を放置してスポーツ活動を続けると二次的に半月板断裂を生じたり、早期に変形性膝関節症になったりします。今後も積極的にスポーツ活動を希望される方には再建術を行ないます。
当院での再建法は膝関節の前面にある強靭な膝蓋腱に膝蓋骨と脛骨結節の骨をつけて、これを断裂したACLの代わりに大腿骨と脛骨にトンネルをあけてスクリューで固定する方法(BTB法)を行なっています。入院期間は2~3週間程度です。
おのおの単独での断裂では原則、ギブス固定と装具での保存的治療をしています。
切れたアキレス腱を確実に縫合して2週間のギブス固定をします。その後装具装着し早期のリハビリテーションを行ないます。保存療法は装具による治療期間が極めて長くなるため、当院では行なっていません。
いわゆる「足首の捻挫」で重症なもの(III度)や小児でも剥離骨片のあるものは手術をして断裂した靭帯を確実に縫合します。軽症なもの(I度、II度)はギブス固定や装具で治療します。
小学生では一日50球、週3回程度の練習が目安になりますが、成長期の子供(10~15歳)の投球過多や不適切なフォームによって起こるもので、指導者の的確な認識が必要です。
肘外側(上腕骨小頭)の軟骨が剥がれ落ちる外側型(離断性骨軟骨炎)と内側の靭帯の損傷や裂離骨折を起こす内側型があります。初期のものは数ヶ月の投球の中止で改善しますが、完全に分節化・遊離したものは骨・軟骨片を固定したり、遊離骨片を関節鏡視下に摘出したりします。
重要なことは、腕だけではなく下半身を含めたフォームの改善をしなければ治癒してもまた同じことが起こる(再発する)ということです。
テニスのバックハンドでの打ちすぎで起こることが多いことからこの名前がついています。手首の関節を持ち上げる筋肉がついている肘の外側が炎症を起こして、タオルをしぼったり、ものを持ち上げたりする時に痛みを感じます。ほとんどのものは局所の安静と薬で軽快しますが、難地例では筋肉の付着している骨を切離して移動する手術をすることがあります。
現在のリウマチ治療は、抗リウマチ薬を主体に消炎鎮痛剤やステロイド剤を併用することが一般的です。しかし、これらの薬物療法では症状の軽減が見られない場合も多く、最近では抗サイトカイン療法とよばれる「生物学的製剤(注射剤)」を用いた治療を行ないます。これまで、これらの生物学的製剤リウマチに対する治療には、これらの薬剤の副作用がクローズアップされてまいりましたが、我々医療従事者もその使用に習熟し、副作用を起こさないように細心の注意を払うとともに、副作用の早期発見に努めれば何ら心配なく安心して治療できることを実感しております。
そこで、このたび平成21年6月より当院でもリウマチ専門外来を開設し、皆さまにより良い治療を提供させていただくことにいたしました。
手のこわばりが続くがリウマチではないといわれてもその中には血液検査には現れてこないリウマチも潜んでおります。また、これまでリウマチといわれて治療を行なっているが一向に良くならない方も、あきらめずにもう一度診断治療を見直す必要があると思います。また、最新の薬物治療を行なったにもかかわらず関節破壊が進行した場合には、手術(人工関節置換術・関節形成術ほか)により痛みが軽減するばかりか関節機能までもが再獲得されることは夢ではなく、決して手術を恐れずに一度ご相談いただければ経験豊富な当院の各専門医をご紹介させていただきます。
このように当院リウマチ専門外来では、診断・検査、保存療法、手術療法ならびに内科的合併症対策を含め、トータルに治療できる皆さまの主治医を目指してまいりますので、お気軽にお問い合わせください。