
講師 : 心療内科 医長 赤松えり子
元気に暮らしているつもりでも、めまいや吐き気などの検査をしても大事はないといわれてしまうような不調を感じることはよくあります。今回はそういった方々からよく聞かれる言葉をご紹介しながら不調につながりやすい「行動の癖」と「考え方の癖」についてお話いたしました。
「庭の草が待ってくれないから」というAさんは、雑草がぐんぐん伸びてくる頃になるとほってはおけません。草取りをしているときはそうでなくても後でめまいがしたり、時にはちょっとふわふわしているけれども雨が降らないうちにと草取りをしてしまって案の定あとでぐるぐる眼がまわり動けなくなってしまったりします。
「そんなにやらなくてもいいのに・・・」と言われてもそうはいかないAさんの「ちゃんと草取りをする」という行動の癖の陰には「もうちょっとここまで、だってどんどん伸びてくるからほっとけない」とか「あそこもやってない、ここもやってないと気になってしまう」などの考え方の癖があります。この考え方に合った工夫をするとめまいを減らすことが出来ます。たとえば30 分だけと時間で区切るとか、玄関前だけと場所で区切って少しづつやることに決めて終了する。
「やってない」と気になってしまうので決めたところまで「やった」としっかり認識することがポイントです。
「旅行に行くたび具合が悪くなるんです」というBさんは、友達と出かける旅行を楽しみにしているのに、このところいつも当日になると気持ちが悪くなってせっかくのご馳走も楽しめません。一緒に行く友達にも悪いし何とかならないものかとおっしゃるBさんのお出かけ前の暮らしを伺うと・・・家のことは何にもできない夫のために旅行中の食事の支度や着替えの準備をし、旅行中になにかあったら恥ずかしいから少し部屋を片付けなくっちゃと大忙しのご様子です。出かける頃にはくたびれてしまって胃腸も悲鳴をあげているようです。もちろん帰った夜も溜まった洗濯をしてしまわないと気が済まない、汚れたものを置いておく訳にはいかないのだそうです。
「あれもこれもやっておく」というBさんの行動の癖の陰には「だってやらなきゃいけないことだから」という考え方の癖があります。この考え方にあった工夫としては、旅行の前後は数日ずつゆっくり過ごさ「なくてはいけない」という予定を立ててみるのも一案です。楽しくても疲れるので、また次の日は平気でもその次の日に疲れが出るようになるので、予定は続けないことがコツです。ゆっくり過ごすためには作業量を減らさ「ねばならない」と考え、手順の簡単な料理にする、出来合いのものを活用する、夫に外食やコンビニ利用を試してもらうなどの工夫も役立ちます。案外ご主人のほうは本人がやるから止めないでいるといった場合も多いようです。
他にも「いつもこうやってきたのだから」と「次から次へとぱっぱと動く」とか、「ちゃんとやりたい」から「あれもこれも断らずにやる」とか、「当たり前のことだから」「大したことはしていない(何にもしてないんです)という認識で行動する」とか、「せっかく時間があるのに寝るのがもったいない」と「時間があると用事を詰め込む」などと身体に無理をさせている事があるかもしれません。
繰り返す不調の背景には「行動の癖」があって、わかっちゃいるけどやめられない「行動の癖」の陰には「考え方の癖」が潜んでいます。この考え方に合った(納得しやすい)工夫をすることがポイントです。
さまざまな不調(症状)はどこかに無理があるよと身体が教えてくれるサインかもしれません。私たちは本来回復する力を持っていますので、いつもよくある体調不良に気がついたときは早めにこの回復力を発揮させて調整しましょう。
回復力の基本は食べること・寝ること・その後にぼちぼち動くこと、リラックス(ゆったり)が先でリフレッシュ(気分転換)する余裕があることです。不調を減らし、毎日の生活を快適にお過ごしください。