
講師 : 東急病院 内科医長 林 文宏
「慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease=CKD)」は2002年に米国で提唱された概念であり、最近3~4年の間にわが国においても急速に受け入られ拡がりをみせている。
腎臓の障害(蛋白尿など)、もしくはGFR(糸球体濾過量)60mL/min/1.73m2未満の腎機能低下が3ヶ月以上持続するものである。GFRの算出は正確には蓄尿および採血から求められれるが、簡便法(採血のみ)として以下の推算式で算出する。(採血、年齢、性別より)
eGFR(mL/min/1.73m2)=0.741×175×Age-0.203×Cr-1.154(女性は×0.742)
実際には早見表や専用の計算機がある。
推算GFR値よりステージ1からステージ5まで分類されている。
CKDから透析療法が必要となる末期腎不全へ進行する患者が著しく増え、医療費を圧迫している。2007年12月末の統計で透析患者数は27万人を超えている。またCKD疾患では特に心血管疾患の合併が多く、対策が必要であることがわかってきた。日本の研究で男女共にCKD有りの人は無い人に比較して、心血管疾患の発症率は3倍に増加する。
1300万人以上に達し、成人の8人に1人はCKDである。
高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満・メタボリックシンドローム、慢性糸球体腎炎、加齢などがある。特に糖尿病による腎障害が増えている。
腎臓専門医が診るべき状態(かかりつけ医が腎臓専門医に紹介した方が望ましい)
1. 0.5g/gクレアチニン以上または2+以上の蛋白尿
2. eGFR=50mL/min/1.73m2未満
3. 蛋白尿と血尿がともに陽性(1+以上)
1. 生活習慣の改善 禁煙、肥満の改善BMI 25未満、飲酒、運動など
2. 食事療法 減塩6g/日、CKD3以上で蛋白質制限、時期をみてカリウム制限
3. 血圧管理 130/80mmHg未満、125/75mmHg未満(蛋白尿1g/日以上)
降圧にはACE阻害薬やARBを第一選択として、必要に応じて他剤を併用。
降圧薬開始後は血清クレアチニン値や血清カリウム値をモニターする。
4. 糖尿病性腎症ではHbA1cを6.5%未満に管理する。
5. LDLコレステロールを120mg/dL(可能なら100mg/dL)未満に管理する。
6. 腎性貧血が考えられる場合にはエリスロポエチン製剤を投与し、Hb値10~12g/dLに維持する。
7. 尿毒症毒素への対策として、経口吸着剤(クレメジン®)の投与
8. 血清カルシウム値、血清リン値の管理
9. 腎機能によっては非ステロイド性消炎鎮痛剤、造影剤、脱水は腎機能をより悪化させる。また、腎排泄性の薬剤は腎機能に応じて減量する。