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過去の公開講座

第53回 公開講座(1月22日開催)報告
「肝臓病教室」~B型肝炎・C型肝炎について~

講師 : 東急病院 内科医師 梶原 幹生

去る正月22日、本年初めてとなる肝臓病教室が開催され、小雨の降る中、40名もの方々に聴講いただきました。

わが国の肝臓がん(肝細胞がん)の年間死亡者数は約3万4000人で、がん死の第4位を占めます。その内、およそ9割が肝炎ウイルス感染を原因とする慢性肝炎や肝硬変を背景として発症します(B型肝炎ウイルスが約20%、C型が約70%)。これらのウイルスが肝臓がんを引き起こす詳細な原因は明らかにされていませんが、いずれにしてもこれらの肝炎ウイルスによる持続感染が慢性肝炎や肝硬変などの原因であり、また、これらのウィルスの感染者はわが国でも少なくとも200万人はいると考えられており、慢性B型肝炎、C型肝炎を適切に治療することが最善の発がん予防と言えます。

B型肝炎は血液が主な感染経路であり、輸血や臓器移植、注射器による針刺し事故、性交渉などが原因となりますが、慢性肝炎として問題となるのは主として母子感染をはじめとした幼少時の感染です。一方、C型肝炎についても血液が主な感染経路であり、かつては輸血による感染がみられましたが、現在では検査体制が確立したため、新たな感染者は少なくなっています。

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれる様に、慢性肝炎の自覚症状は少なく、全身倦怠感、食欲不振、易疲労感などを認めることが時にある程度ですが、血液検査などで状態を把握することが可能です。

慢性肝炎と診断されたら、B型肝炎についてはエンテカビルやインターフェロンなどの抗ウィルス療法により肝炎の鎮静化を図り(表1)、C型肝炎についてもインターフェロン療法を行なうことでウィルスの排除を目指します(表2、表3)。近年、週1回投与のペグ・インターフェロンとリバビリンの併用療法が導入され、C型肝炎の治癒率が飛躍的に向上しました。これらの治療も、ウィルスのタイプや量、そして肝臓の状態や年齢その他の条件により選択される方法が異なりますので、詳しくはかかりつけ診療所の先生や肝臓専門医におたずねください。

慢性肝炎がさらに進んでしまった状態である肝硬変や、そして肝臓がんの現状や治療については、今後の肝臓病教室でテーマに取り上げる予定です。

表1:慢性B型肝炎の治療法
    ウィルス量高値 ウィルス量低値
35歳未満 HBe抗原陽性 インターフェロン インターフェロン
HBe抗原陰性 経過観察
(進行例はエンテカビル)
経過観察
(進行例はエンテカビル)
35歳以上 HBe抗原陽性 ①エンテカビル
②インターフェロン
エンテカビル
HBe抗原陰性 エンテカビル エンテカビル
表2:慢性C型肝炎の治療法
治療法 目標 主な薬剤
原因療法(根治療法) C型肝炎ウィルスの排除 インターフェロン(注射)
ペグインターフェロン(注射)
リバビリン(内服・インターフェロンと併用)
対症療法 肝機能の改善 グリチルリチン配合剤(注射)
ウルソデスオキシコール酸(内服)
小柴胡湯(内服・漢方薬)
表3:慢性C型肝炎に対するインターフェロン療法(初回治療)
  ジェノタイプ 1 ジェノタイプ 2
ウィルス量高値 ペグインターフェロン
+リバビリン併用療法#(48週間)
ペグインターフェロン
+リバビリン併用療法#(24週間)
ウィルス量低値 インターフェロン単独療法(24週間~48週間)