ダイバーシティマネジメントと推進体制

メッセージ


東京急行電鉄株式会社
取締役社長
野元 弘文

わが国では、少子・高齢化の進行、女性の社会進出拡大、グローバリゼーションの加速など、社会環境は大きく変化しています。この大きく変化する事業環境のもと、当社が持続的に発展するためには、年齢、性別、国籍、障がい、性同一性障害など、背景の異なる社員一人ひとりが多種多様な視点を持ち寄り、その力を最大限に発揮し、組織として最大価値を創出する、多様性を生かす組織づくり=ダイバーシティマネジメントの推進が必須となります。


当社では、東急グループの経営理念において「個性を尊重し、人を活かす。」を掲げているとおり、従来から、従業員一人ひとりが健康で明るく生き生きと働くことが、安全の確保とお客さまに対する心のこもったサービス提供への第一歩と考え、自由闊達で明るく前向きな組織風土の醸成を目指してまいりました。近年、労働力が減少する環境下では、質の高い労働力の確保が難しくなる可能性があり、仕事と育児・介護の両立が難しいような状況は、企業と社員の双方にとって大きな損失となります。また、変化が速く多様化するニーズに応えるためには、女性、シニア世代、外国人、障がい者、LGBT等の性的マイノリティなど、さまざまなバックグラウンドの人々が活躍するフィールドを拡充するなど、当社組織にもさらなる変化が必要と考えております。なかでも、当社のビジネスは女性を対象にしているものが多いにも関わらず、それを提供する側の女性の絶対数が少ないのが現状です。今後の当社の成長にとって、お客さまの考え、気持ちを理解できるよう、女性社員がさらに活躍し、サービスや商品などに女性の考え方や価値観を反映することは大変重要であり、喫緊の課題と考えております。


こうした背景から、さらなるダイバーシティマネジメントの推進のため、2014年10月、人事開発部内に「ダイバーシティ・キャリア開発課」を設置し、「2020年度までに、2014年度と比較して女性管理職倍増」という目標を打ち出しました。さらに、2015年度からスタートした中期3か年経営計画の重点施策に「ライフスタイル&ワークスタイル・イノベーション」を掲げました。これには、二つの意味があり、一つは、事業として、様々なライフスタイルやワークスタイルを持つ人々の期待に応える街づくりを展開すること。もう一つは、社内において、ダイバーシティ・マネジメントを推進することにより、性別や年齢などの区別なく、意思と能力のある人材が活躍し、社員一人ひとりがいきいきと輝ける環境づくりを図ることです。


そして、当社が創立100周年を迎える2022年には、中長期ビジョンとして掲げている「東急沿線が『選ばれる沿線』であり続ける」「『ひとつの東急』として、強い企業集団を形成する」を実現し、「その先」も見据えながら、一歩一歩、着実に歩みを進めてまいります。

ダイバーシティマネジメント宣言

東急電鉄(連結)は、交通、不動産、生活サービス事業をはじめとしたお客さまの日々の暮らしに密着した事業を幅広く展開しており、私たちを取り巻く社会環境は大きく変化しそのスピードも増しています。
このような状況下において、当社が中長期的に発展するためには、先を見据えながら、多様なお客さまのニーズに的確かつしなやかに応える必要があり、そのためには、サービスを提供する側にも同様の「多様性とそれを活かす組織力(=ダイバーシティマネジメント)」が必須となってきます。
性別、年齢、国籍、障がい、性的指向、価値観といった違いを「その人が持つ個性」と捉え、それぞれの個性を尊重し、互いに高めあい、組織の強みとすることが、個人と組織の持続的な成長に繋がります。
人事制度、社内風土、従業員一人ひとりのマインド(意識)を向上させ、多様な力を結集することで、美しい生活環境を創造し、調和ある社会と、一人ひとりの幸せを追求していきます。
ここに、東急グループ経営理念のひとつである「個性を尊重し、人を活かす。」を具現化し、さらに実効性を高めるため、「東急電鉄(連結) ダイバーシティマネジメント宣言」を発表します。

東急電鉄(連結)ダイバーシティマネジメント宣言 1.あらゆる従業員の個性を尊重し、制度・風土・マインドの観点から活躍を推進します。 2.様々なお客様の期待に応え、新しい価値創造(イノベーション)を実現します。 3.ダイバーシティを経営戦略と位置付け、持続的な企業価値の向上を目指していきます。

中期経営計画 ~重点施策③ ライフスタイル&ワークスタイル・イノベーションの推進~

2015年度を初年度とする中期3か年経営計画(計画年度:2015年度~2017年度)における重点施策のひとつとして「ライフスタイル&ワークスタイル・イノベーションの推進」が掲げられ、さらなるダイバーシティマネジメントを推進します。

中期3か年経営計画(ダイバーシティ関連取組状況)

ダイバーシティ推進組織

取締役会における報告

ダイバーシティを推進するにあたり、ダイバーシティ推進ワーキングループが中心となって方針および施策を展開し、その結果を定期的に経営会議や取締役会において報告し議論しています。さらに、社外取締役を含めた議論の場として、人材戦略に関するアドバイザリー・ボードも設置し、中長期的な視点から検討を加えています。
また、2016年度より監査役監査計画でダイバーシティマネジメントの進捗状況の確認が重点項目となり、監査役会へ報告しています。

ダイバーシティ推進ワーキンググループ


ダイバーシティ推進ワーキンググループ

「多様性を生かす組織づくり」のさらなる推進のため、2013年5月から部門を横断した「ダイバーシティ推進ワーキンググループ」を発足しました。
このワーキンググループの活動によって、さまざまな新しいアイデアが生まれており、多様性を生かす制度変更や仕組みの導入につながっています。2016年度からは、全社横断の拡大ワーキンググループも開始し、現業および本社部門のダイバーシティに関わる各部門の課題点を抽出、意見交換、好事例の共有など行いました。

ダイバーシティ・キャリア開発課を設置

ダイバーシティ推進ワーキンググループの中核機能を含む組織として、2014年10月に「ダイバーシティ・キャリア開発課」を設置し、「制度、風土、マインド」の観点から各種施策を進めています。今後ともさらなるダイバーシティを推進し、お客さまに選ばれ、継続的に成長できる企業を目指していきます。また、産業カウンセラー、キャリアコンサルタントの資格保持者が「ダイバーシティ・LGBT相談窓口」を担当しています。

人材戦略に関するアドバイザリー・ボード(社外取締役を含めた議論の場)

2016年度より、東急電鉄および連結子会社における「人的資源」について、社外取締役を交え、社長を含むメンバーで議論する場として人材戦略に関するアドバイザリー・ボードを設置し、定期的に開催しています。中長期的な企業価値向上を目的に次代のダイバーシティ経営、人材戦略へと反映させていきます。

HRコミュニケーション

執行役員人材戦略室長と各部門長が定期的にダイバーシティを含む人材戦略について議論する場を設定しています。

連結人事コミッティ(連結会社を含めた議論の場)

2016年度より連結各社が一体となって社員一人ひとりが輝いている強い企業集団を目指した人事コミッティを設置しました。この中で、連結各社での働き方改革を推進するため、連結約30社が参加する「働き方改革分科会」を設置し、定期的に開催しています。
社員がいきいきと輝く環境づくりのため、ダイバーシティや健康経営といった働き方改革を推進、連結社員が共有すべき行動規範や価値観などに関する新たな共通認識も構築していきます。

イクボス企業同盟加盟

ダイバーシティを推進するうえで、中核となる管理職の重要性を認識し、そのマネジメント力・部下とのコミュニケーション力を強化するため、2014年12月「イクボス企業同盟」に設立時メンバー11社のひとつとして加盟しました。
「イクボス企業同盟」は、NPO法人ファザーリング・ジャパンが中心となり、女性活躍推進、育児や介護とによる時間制約者社員の増加、イクメン社員の出現など、多様化する時代において、「イクボス」の必要性を認識し、積極的に自社の管理職の意識改革を行って、新しい時代の理想の上司(イクボス)を育てていく企業ネットワークのことです。また、2016年度には、企業同盟参加企業の枠を越えた相互の意識改革、自社でのイクボス浸透を深めるために、イクボス企業同盟加盟社による管理職交流会『イクボス Action &Networking』へ当社の男性管理職が参加しました。

イクボス企業同盟について

ダイバーシティに向けた人材育成・評価

人材育成(自律的なキャリア構築に向けて)

ダイバーシティを推進するうえにおいては、社員各人の自律的なキャリア構築が重要であると認識しています。制度面・仕組みでは、これまでの各自のキャリアを登録する「キャリアの棚卸」および今後のご自身が描くキャリアプランを登録する「キャリアプランシート」、自らのキャリアゴールの到達に向け必要な、行いたい仕事への異動を希望する「キャリアコミットメント制度」、人材需要のある事業・部署への募集に対し、自らの意志で応募する「社内公募」、定期的に自らのキャリアプランを更新する「キャリアプランセミナー(6年目、40代、50歳、57歳)」、自発的学習をサポートする「チャレンジ制度」および「MBA派遣(公募)」や社外専門家による「キャリア相談窓口」などの各種施策を展開、研修や講習など自己資質の向上を図る目的で使用できる休暇の設定、また、経営人材を育成する東急アカデミーの卒業生の集いである「アルムナイ」を設立し、人材ネットワークの拡充も図っています。
また、2015年度には、事業を創造する意欲・能力を有する社員を支援し、広くフロンティア・スピリットを喚起する「社内起業家育成制度」を設立、さらに2016年度より、社員各人のキャリア志向を把握し各種施策に活かすべく、人事部門内の専任チームによる、全社員(管理職、専門職、現業を除く)を対象としたキャリアディベロップ面談を開始しています。その他、管理職のマネジメント力向上に資する360度評価を用いた研修の実施や、昇進要件において育児休職期間などの不在期間を除外しない運用、また、専門性や働き方にあわせたコースの新設(アソシエイトコース、事業エキスパートコース)および各コースからの転換制度もあわせて整備するなど、制度や運用面の見直しにも積極的に取り組んでいます。

人事評価(さらなるダイバーシティマネジメントの実現に向けて)

これまで、仕事における職位・役割の基準である職責要件に基づき人事評価を行ってきましたが、さらなるダイバーシティマネジメントの実現に向けて、2016年度より、管理職評価の視点に、ダイバーシティや働き方改革などの風土醸成を含む「風土」項目を追加。全管理職に対するアセスメント(部下と同僚による180度診断)も開始しました。2017年度より、一般社員の評価項目に従来から設定している「イノベーション」に加えて「生産性」も新たに設定しています。また、各人に対する複数人での評価も継続実施しています。

LGBT関連の規定・運用変更

2017年7月より、更なるLGBTへの理解促進のため、就業規則、死亡弔慰金支給規定変更や、LGBTのパートナーでも利用できる制度の拡大など各条件を見直しました。